私たちはどうつながっているのか
ネットワークの科学を応用する
増田直紀
中央公論新社 2007年
私たちの社会は、人と人のつながり、すなわちネットワークでできている。本書は、数学や物理学による複雑ネットワーク科学と、社会学による社会ネットワーク分析の近年の研究成果を平易に紹介するとともに、ネットワークのレンズを通して私たちの社会を見ることを教えてくれる。少数のハブが情報伝達を支配するネットワーク、小さなコミュニティが「よそ者」によって思いがけず外の世界に広がるネットワークなど、ネットワークの構造にはいくつかの類型があるが、その中でつながりを探索する個人や組織の存在、そして彼らのつながり方の質は無限に多様である。ネットワークのレンズを手にすることで見えるものは、そうした相互作用の多様性であるのかもしれない。
(清水万由子:総合地球環境学研究所研究推進戦略センター 特任助教)