自分をいかして生きる
西村佳哲/編
ちくま文庫 2011年
著者は「人間の一番の大仕事は『自分をいかして生きること』なんじゃないか?」と、ワークスタイルとライフスタイルを探求する「働き方研究家」。本書は著者自身が自分の働き方を学びなおすために、いろいろな分野で活躍する人々の仕事場を訪ね、「働くとはなにか、仕事とはなにか」についてインタビューしたものをまとめたものである。「どの時代にも、それまでになかったことや、まだ教科書が編まれていないこと、誰も教えてくれないようなことを手さぐりではじめた人たちはいて、彼らはどうそれをやったかというと、ただ無我夢中でやったのだと思う」という言葉や、「やり方が違うから結果も違う」「彼らの働き方は日々の仕 事の中で練り上げられてきたもので、方法論としては、あとから言語化されている側面が多々あるように思える」という著者のつぶやきは、そのまま、「科学とは何か?」に対するつぶやきのようにも思える。
(萩原なつ子:立教大学社会学部社会学科 教授)