「科学的」って何だ!
松井孝典・南 伸坊
ちくまプリマー新書 2007年
「環境問題でも明らかなように人類は選択の時を迎えている。まずは世の中で科学的だと言われていることを、疑ってかからねばならない。前提はなんだと問い続け、自分の頭で考えねばならない。それが科学的っていうこと」──人々の科学に関する知識レベルが下がっていることを憂える惑星専門家のこんな話に路上観察学会創始者がからめば、地球もおにぎり型に見えてきて、自然科学の世界にも思わず手が伸びそうになる。もちろん「『何が分かっていて、何が分からないか』を分からない限り、分からない世界は分からない」という文章に出会うと、びくつく人もいるだろうが、がまんして読めば、おにぎりの具のようにやがて腑に落ちることになるのである。
(青野 透:金沢大学大学教育開発・支援センター 教授)