社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築|RISTEX

RISTEX社会技術研究開発センター

プロジェクト
2022年度採択

いきいき・つながり職場づくり:孤立・孤独を予防する包摂組織の社会実装

研究代表者:川上 憲人

東京大学 大学院医学系研究科 特任教授

労働者、社会的包摂、コロナ禍、効果評価研究、社会実装

研究開発期間:2022年10月~2027年3月

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プロジェクト概要

コロナ禍の働き方の変化が労働者の孤立・孤独リスクを増大

コロナ禍における対人距離の増大、テレワークの普及、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展は、労働者の働き方を自律・分散化させ、企業・組織でのコミュニケーションを低下させました。この傾向はポストコロナ時代でもさらに進むと予想されてます。メタバースで勤務する新しい労働形態も出現しています。こうした新しい働き方の中で、労働者が社会的ネットワークから切り離された「孤立」状態や、労働者が主観的に「孤独」状態に陥るリスクが高まっています。そのことは生産性の低下や離職の増加など企業・組織にもマイナスの影響を与えます。

「いきいき・つながり職場づくり」の考え方とツールを確立して、社会実装を目指す

このプロジェクトでは、経営者、労働組合、人事、産業保健専門職、行政などの代表による関係者会議およびインタビュー調査により「いきいき・つながり職場づくり」の概念枠組みを検討します。また心理学、経営学、医学、情報工学などの関連する理論を整理・統合し、離職者、外国人労働者などのマイノリティ労働者へのインタビュー調査、ソーシャルネットワーク実験を加えて労働者の孤立・孤独の発生メカニズムを解明します。企業・職場の組織特性と孤立・孤独リスクとの関連を解析し、評価指標を開発します。社員の位置情報、オンラインコミュニケーションツール使用、メタバースオフィスでのコミュニケーション行動などのデータを時系列的に収集することで、孤立・孤独の早期サインの評価指標を検討します。さらに職場の孤立・孤独を予防するための1)組織レベルでの対策、2)管理監督者教育、3)個人向けプログラムを開発し、効果評価・実証実験を行い、社会への普及・実装をはかります。

Q&A

社会的孤立・孤独の一次予防のために、本プロジェクトが目指す社会像についてもう少し教えてください。
多様な労働者が孤立・孤独の状態に陥らず、仲間として尊重され、いきいきと活躍できる職場を、私たちは「いきき・つながり職場」と呼んでいます。こうした職場は労働者にとってだけでなく、企業・組織にとっても重要です。労働者と企業・組織がともに恩恵を受けられる「いきいき・つながり職場づくり」の考え方が全国の企業・組織に普及し取り組まれることで、労働者が孤立・孤独に陥らないでいきいきと働けるようになる、そんな社会を目指しています。
上記の社会像を実現するための最大の課題(ボトルネック)は何ですか?
本プロジェクトの終了後、どのようにして全国の企業・組織に「いきいき・つながり職場づくり」の重要性を理解してもらい、取り組んでもらうかが課題です。人的資本経営や「ビジネスと人権」などのビジネス枠組みと関連づけて普及することが効果的と考えています。また、ひとりでいたいという労働者もいるかもしれません。労働者個人の価値観や選択を尊重しつつ、「いきいき・つながり職場づくり」の取り組みに参加してもらう方法を探ることも課題と考えています。

参画・協力機関

  • 東京大学、慶應義塾大学、産業医科大学、早稲田大学、九州大学、横浜市立大学、甲南大学、株式会社クオレ・シー・キューブ、名古屋大学、公益財団法人日本生産性本部、株式会社富士通ゼネラル、株式会社オカムラ、SBアットワーク株式会社、oVice株式会社、特定非営利活動法人プラスアイ、キャンサー・ソリューションズ株式会社 など

実施報告書

プロジェクトウェブサイト等