成果概要

細胞内サイバネティック・アバターの遠隔制御によって見守られる社会の実現[6] 生体内模擬環境を利用した細胞内CAの遠隔制御評価

2023年度までの進捗状況

1. 概要

細胞内サイバネティック・アバター(以下細胞内CA)が、設計通りに動作するかを解析するために、本研究開発項目6では、3次元的な生体模擬モデルを開発し、CA搭載細胞の動態評価のための計測・評価システムを統合することで、CA搭載細胞の評価プラットフォームを開発します。本研究開発項目で開発する実験動物を用いないCA搭載細胞の評価技術は、研究開発項目4の培養環境評価、および、研究開発項目5の生体内評価と連携することで、ブラックボックスが内在する生体内評価に代わる定量的評価が可能となるだけでなく、実験動物の削減に資する技術となり、細胞内CA搭載技術の開発の短期間化に貢献できます。

図6−1 研究開発項目6の課題推進者
図6−1 研究開発項目6の課題推進者

本研究開発項目では、6-1でCA 搭載細胞の動態を集団的に評価できる3次元的な生体模擬モデルを開発し、6-2でCA搭載細胞を経時的に観察可能な環境制御技術を開発し、動態計測・評価システムと統合することで評価プラットフォームを開発します。

2. これまでの主な成果

検査用または除去用細胞内 CA を搭載した免疫細胞が、マーカー用細胞内CAを搭載した標的細胞を認識して、選択的に検査または除去する。この過程での開始・条件分岐・中止の遠隔制御を、3次元的な生体模擬環境で評価するための培養環境または生体模擬環境で評価するための3次元的な生体模擬モデル、および、プラットフォームの開発を開始しました。

【2022年】

実験動物を用いないCA搭載細胞の相互作用・遠隔制御性の評価プラットフォームの開発を担当しました。3次元評価プラットフォームの開発に必要な3次元生体模擬デバイスの部材選定・加工条件の検討を開始し、流体制御システム、細胞内CAおよびCA搭載細胞の投入システムの設計・試作に着手しました。

【2023年】

生体模擬モデルの造形に着手し、モデル内で細胞を培養することで生存率等の生体適合性評価を行うとともに、3次元生体模擬モデルを基盤とした3次元評価プラットフォームの基本機能の検証を行いました。

生体模擬評価

3. 今後の展開

3次元生体模擬モデル内で、標的細胞を播種・培養し、細胞内 CAを搭載した検査用または除去用の細胞を導入することで、検査あるいは除去する過程の開始・条件分岐・中止の遠隔制御性を、観察・評価していきます。
具体的には、現在開発中の、本プロジェクトでターゲットとしている生体組織を模した3次元生体模擬モデルを開発し、評価プラットフォームを用いてCA搭載細胞の評価を行います。また、これらの技術をプロジェクト内外に展開し、ユーザビリティや安定性などの向上を行い、プロジェクト全体を加速します。さらに、細胞内CAおよびCA搭載細胞の評価だけではなく、細胞内CAやCA搭載細胞の働きを見える化するデバイスの開発し、アウトリーチ活動などを通して情報発信を行います。

イラスト