成果概要

最終更新日:

細胞内サイバネティック・アバターの遠隔制御によって見守られる社会の実現[1] 細胞内CAに関するE³LSIの調査・検証

2025年度までの進捗状況

1. 概要

細胞内サイバネティック・アバター (以下細胞内CA) の利用には、その技術的な安全性や公正性を担保することが必要不可欠です。本研究課題では、E3LSI(倫理的、経済的、環境的、法的、社会的課題)の観点に基づいて実施された細胞内CAの安全性評価についての情報を幅広く共有できる仕組みとセキュリティを確保した形での情報管理基盤を開発しています。特に、研究開発項目2から6の各研究によって実施された個々の実験データ等を散逸させることなく、セキュリティを確保しながら保存・管理・共有する仕組みを構築、研究開発項目の担当者間の速やかな情報共有と円滑な項目間の連携を実現します。また、既存の分子間相互作用データや遺伝子発現データ等を統合したデータベースを構築し、最適なCA候補分子等を提案可能な情報解析ツールの開発を行うことで、細胞内CA研究開発を促進します。

(1-1)
細胞内CAのE3LSI課題の調査・検証
山西 陽子(九州大学)
(1-2)
細胞内CA開発促進のための情報基盤の構築と運用
土方 敦司(東京薬科大学)

2. これまでの主な成果

研究開発課題 (1-1)では、細胞内CAに関するE3LSI調査・検証を担当しています。
2022年度は、E3LSIを専門とする、法務、科学技術社会論、生命・医療倫理等の有識者の人選を行いました。また、企業ヒアリングなどにより、細胞内CAの製造、設計部分のコンソーシアム立ち上げのための動向調査を行いました。
2023年度は、法務、科学技術社会論、生命・医療倫理等の有識者に、産業界のアドバイザーと共にE3LSI検討部会を設立しました。細胞内CAの製造、設計部分のコンソーシアムを立ち上げるために、細胞内の文献調査を行CAいました。また、他社特許調査による先行技術調査を行い、当該研究の新規性を明確にしました。

2024年度は、E3LSIの管理体制及び知財管理体制の立ち上げを行い細胞内CAの利用に対するガイドライン作成のためのワーキンググループ活動、細胞内 CA の利用に対する情報収集及び研究動向調査を行いました。サイエンスアゴラ2024にプロジェクトのブースを出展しアンケートによる社会受容性の調査を開始しました。
2025年度は、周辺技術のベンチマークや将来的な技術マップなどの評価軸を中心としたアップデートを行いました。また、代表研究機関である九州大学科学技術イノベーション政策教育研究センターとの連携により、サイエンスアゴラ等においてサイエンスカフェを開催し、発表及び社会受容性の調査を行いました。さらに、科学技術社会論の専門家の主導により、プロジェクトメンバーへのインタビューを実施し、研究当事者の社会受容性の考察を記録としてまとめました。

研究開発課題 (1-2)は、細胞内CAの安全性評価についての情報を幅広く共有できる仕組みとセキュリティ確保を目的とし、2023年度11月に追加され、細胞内CA開発促進のための情報基盤の構築と運用を担当しています。
現在までに、細胞内CAに関する実験データを登録・管理できるシステムを構築し、ウェブブラウザ経由でプロジェクトメンバーに公開し、細胞内CAを搭載した細胞のトランスクリプトームデータや、連携・協調中のライブセルイメージングデータなど、実験データを継続的に収載しています。特に、トランスクリプトームデータおよびライブセルイメージングのデータをウェブ上で可視化するツールなどの開発により、情報共有の活性化と細胞内CA開発の加速に貢献しています。
また、大規模言語モデル(LLM)を活用して、細胞内CA関連の文献テキストデータを自動収集するシステムを開発し、CAR-T細胞の開発や合成生物学による改変細胞の設計に関する1万件以上のアブストラクトを継続収集しました。これらの取り組みにより、データの統合・共有・活用が円滑に進み、細胞内CA開発の効率化と加速が実現しています。

【2025年度の代表的な成果】
ワークショップ開催
International Conference on Manipulation, Automation and Robotics at Small Scales (MARSS2025), Purdue University in West Lafayette,USA, 2025/7/30
ワークショップ開催
大学見本市, 東京ビッグサイト, 2025/8/21-22
ワークショップ開催
サイエンスアゴラ,テレコムセンタービル日本科学未来館, 2025/10/25-26

3. 今後の展開

E3LSI検討部会を中心に、研究初期段階から細胞内CAの利用に関する課題を研究者と共に考えていきます。また、検討部会内に設置した産業化検討委員会が主導するコンソーシアムにて、細胞内CA利用の社会実装へ向けて、流通や保存などの実行的な経済的課題の洗い出し等の検証をしていきます。さらに、細胞内CAの安全性評価についての情報を幅広く共有できる仕組みとセキュリティを担保する情報基盤においては、データ駆動型細胞内CA設計システムを構築し、細胞内CAの開発・設計を効率的に支援するための情報基盤を構築しセキュリティを確保しながら保存・管理・共有を行っていきます。