研究開発の概要

細胞内サイバネティック・アバターの遠隔制御によって見守られる社会の実現

1.プログラムにおける位置づけ

本プロジェクトは、細胞レベルで遠隔(体外)から体内環境を見守られた社会を目指しています。
身体が持つ免疫能力を拡張するために、複数体の細胞内サイバネティックアバター(以下細胞内CA)を遠隔操作する技術を開発し、安心が担保された社会基盤を獲得します。
この日常生活の大きな変革は、ムーンショット目標1で指す「人が身体、能、空間、時間の制約から解放された社会」に貢献します。
下図に示すように、よい体内環境を保つために、細胞内CAを搭載した細胞を、体外から機能させます。

2.研究開発の概要及び挑戦的な課題

2050年までに医師や専門家が、ナノからマイクロメートルの大きさの細胞内CAを遠隔操作する技術の開発を実現します。
私たち一人ひとりが、体内の健康(体調や体質)の変化や状態を専門家と相互的に知ることで、生活の質の向上や健康寿命の延伸を目標としています。
この目標の達成のために、6つの研究開発テーマを実施いたします。

研究開発項目1
細胞内CAに関するE3LSI検討部会による管理体制
研究開発項目2-3
細胞内CAを設計し、設計した細胞内CAを細胞へ搭載する工程(CA搭載細胞を作製)。
研究開発項目4-6
細胞内CAを搭載した細胞の動態を、培養環境・生体内・生体内模擬環境において評価することで、細胞内CAの遠隔制御を介した細胞操作の安全性・制御性を確認する(遠隔制御を評価)。
プロジェクトではバックキャスティングにより達成目標を設定しており、2050年までの目標では、検査用、除去用の細胞内CA、マーカー用の細胞内CAを中心とした開発と評価が課題となっております。広範な分野の研究者が一丸となり、挑戦的なテーマに取り組んでいます。

3.今後の展開

遠隔制御によって細胞状態に応じた動作選択を、医師や専門家が判断できるように、細胞内CAの遠隔制御や、CA搭載細胞による検査・除去の検証を体内に近い環境において実施していきます。
また産学官にシームレスな研究支援体制を獲得するため、初期の研究段階から、企業の有識者と気軽にブレインストーミングが行える環境を整備し、共創型のコンソーシアムの構築に挑戦しています。
産学連携には企業と大学との担当者間の信頼関係も重要な要素です。企業コンソーシアムによって、企業と研究者の関係を醸成することで、速やかな研究導出の達成に繋げていきます。