成果概要

細胞内サイバネティック・アバターの遠隔制御によって見守られる社会の実現[5] 生体内における細胞内CAの遠隔制御評価

2023年度までの進捗状況

1. 概要

本研究開発項目では、細胞内サイバネティック・アバター(以下、細胞内CA)を搭載する細胞やその標的となる細胞(以下、標的細胞)を選定し、選定した細胞やCA搭載細胞をマウス検体またはヒト検体から効率よく抽出します。

CA搭載細胞の作製や機能評価を行うためにCAの搭載対象となる細胞やCA搭載細胞の高効率抽出法を構築します(5-1)。
機能を遠隔制御によって駆動・停止できるスイッチ経路の研究開発を行う研究開発課題2−4(細胞膜チャネル様の細胞内CAの開発)と共同で、生体外において細胞内CA搭載細胞(5-3)が標的細胞(5−2)に対して良好な機能制御性(検出・除去機能および機能停止)を有しているかそれぞれ評価し、細胞内CAの設計・改良、細胞内CA搭載技術の検討・改良に取り組みます。

さらに、細胞内CA搭載細胞の機能制御性評価を動物実験でも実施します(5-2、5−3)。

図5−1 研究開発項目5の課題推進者
図5−1 研究開発項目5の課題推進者

2. これまでの主な成果

本研究開発項目では、標的細胞に対して検査・除去する機能をもった細胞内CA搭載細胞(CA搭載検査細胞およびCA搭載除去細胞)の作製に適した細胞を選定します。さらに、標的細胞は、CA搭載検査細胞およびCA搭載除去細胞の標的となることが可能な細胞から選定する必要があります。そこで、本研究開発項目では、標的細胞は、がん細胞や老化細胞などから、CA搭載細胞の作製に適した細胞は免疫細胞から選定します。さらに、各研究開発項目と共同で生体外において作製した細胞内CA搭載細胞が標的細胞に対して良好な機能制御性(標的細胞の検出・除去および機能停止)を有しているか動作確認を行います。また、必要に応じて改良にも取り組みます。
研究開発項目5において、当該年度は以下の研究開発を実施しました。

【2022年度】

標的細胞や細胞内CAの搭載対象となる免疫細胞を各1種類以上選定し、CA搭載細胞の機能制御性の評価のための実験系構築を開始しました(5-1、5-2、5−3)。

【2023年度】

微量のヒト検体から目的細胞の高効率抽出に着手しました(5-1)。さらに、標的細胞に対するCA搭載細胞の機能制御性を評価するための実験系を2種以上構築しました。また、CA搭載細胞の機能制御性をより詳細に解析するために細胞動態計測・分取プラットフォームの導入と運用を開始しました(5-2、5−3)。

3. 今後の展開

作製したCA搭載検査細胞およびCA搭載除去細胞が標的細胞を起点として想定した機能制御性を有するか、構築した実験系や細胞動態計測・分取プラットフォームを用いて評価を行います。この評価は、各研究開発項目と連携して進め、CA搭載細胞がより安定した機能制御性を有するように必要に応じて改良し、将来的に個体内で機能することを目指します。