成果概要

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細胞内サイバネティック・アバターの遠隔制御によって見守られる社会の実現[5] 生体内における細胞内CAの遠隔制御評価

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本研究開発項目では、細胞内サイバネティック・アバター(以下、細胞内CA)を搭載する細胞やその標的となる細胞(以下、標的細胞)を選定し、選定した細胞やCA搭載細胞をマウス検体またはヒト検体から抽出します。研究開発項目4の培養環境評価、および、研究開発項目6の生体模擬環境評価と連携することで、細胞内CAの設計、細胞内CA搭載技術の検討に取り組み、研究開発項目2、3にフィードバックします。

(5-1)
CA搭載細胞の抽出による生体情報取得技術の開発
鳥取 直友(九州大学)
(5-2)
がん・老化細胞を用いた細胞内CAの遠隔制御性の体内評価
高橋 暁子(がん研究会/東京大学)
(5-3)
免疫細胞を用いた細胞内CAの遠隔制御性の体内評価
四元 聡志(東京薬科大学)

2. これまでの主な成果

本研究開発項目では、CA搭載細胞の作製や機能評価を行うために、CAの搭載対象となる細胞やCA搭載細胞の高効率抽出法を構築します。また、研究開発項目2、3、4と共同で、生体外において細胞内CA搭載細胞が、標的細胞に対して良好な機能制御性(検出・除去機能および機能停止)を有しているかそれぞれ評価します。さらに、細胞内CA搭載細胞の機能制御性評価を動物実験でも実施します。このため、下記の通り、研究開発課題を設置し、研究開発を実施しています。

(5-1) マウス・ヒト検体からの抽出技術
体内の状態を体外で情報として取得するための手段として、血液検体等から目的細胞を分離する技術の開発に取り組んでいます。マイクロ流体システムを開発し、微量のヒト検体から目的の細胞を高い生存率を維持した状態で分離し、分離後の細胞が増殖能を維持していることを確認しました。また、微量のマウス血液から目的細胞の分離試験を実施し、高い分離効率・生存率で分離可能であることも確認しました。
(5-2) 腫瘍・老化細胞の選定と体内評価
細胞動態計測プラットフォームを用いて、主として(5-2)と(5-3)が連携し、標的となる細胞や、検査・除去を担当する細胞との共培養によってそれぞれの機能の評価を行うとともに、遺伝子発現解析によって細胞内CAの動作確認を行い、3者の連携・協調を明らかにしました。また、マウスに細胞内CA摂動を可視化するためのレポーター細胞を移植し、シグナル分子の投与によって体内で細胞内CAが作動することを生体イメージングによって検証するとともに、生体内安全性試験と、細胞内CAの摂動評価を実施しました。
(5-3) 免疫細胞の選定と体内評価
細胞内CAを搭載した免疫細胞の挙動および機能評価を目的として、細胞設計・評価・供給の各プロセスを統合的に推進しています。細胞内CAを搭載する細胞として、プロジェクト内で容易に相互利用が可能な免疫細胞を選定しました。CA搭載細胞間で連携して標的細胞を除去するために必要な遺伝子の設計・構築を行いました。設計・構築した遺伝子がCAの搭載対象となる細胞に発現することをフローサイトメトリー解析により確認しました。
【2025年度の代表的な成果】
  • H. Fukunaga, N. Tottori, T. Tsubouchi, T. Kumazaki, S. Sakuma, Y. Yamanishi, “Spatially constrained encapsulation of cells in microdroplets enables continuous cell fusion within a microfluidic flow environment”, Sens. Actuator B-Chem., 458, 139779, 2026.
  • Loo, T.M., Zhou, X., Tanaka, Y., Sugawara, S., Yamauchi, S., Kawasaki, H., Matsuoka, Y., Sugiura, Y., Sakuma, S., Yamanishi, Y., Yotsumoto, S., Dodo, K., Shirasaki, Y., Kamatani, T. and *Takahashi, A. Senescence-associated lysosomal dysfunction impairs cystine deprivation-induced lipid peroxidation and ferroptosis. Nature Communications, 16, 6617, 2025.

3. 今後の展開

In vivo環境下での機能発現および挙動解析に向けた基盤を整備し、作製したCA搭載検査細胞およびCA搭載除去細胞が標的細胞を起点として想定した機能制御性を有するかどうか、構築した実験系や細胞動態計測・分取プラットフォームを用いて評価をさらに行います。これらの評価を通じて、各研究開発項目と連携することで、CA搭載細胞がより安定した機能制御性を有するように必要に応じて改良し、将来的に個体内で機能することを目指します。また、CAを搭載する細胞種の選定や、他課題推進者への安定供給体制の構築を継続し、各研究拠点において同一品質のCA搭載細胞を用いた検討、さらには、研究全体の効率化と再現性の向上に貢献します。