成果概要
細胞内サイバネティック・アバターの遠隔制御によって見守られる社会の実現[3] 細胞内CAの搭載
2023年度までの進捗状況
1. 概要
細胞内サイバネティック・アバター(以下細胞内CA)の技術の達成には、研究開発項目2(細胞内CAの設計・構築)で設計・構築された細胞内CAの搭載方法を、研究開発項目5(生体内における細胞内CAの遠隔制御評価)にて選定される細胞種ごとに複数検討し、適した搭載方法を選択する必要があります。
本研究開発項目では、研究開発項目2で設計・構築した細胞内CAを、研究開発項目5にて選定された細胞の細胞膜表面または細胞内部へ効率よく搭載するために、3つの手法に着目して細胞内CAの搭載技術を開発します。
- 細胞への局所的な高効率搭載が期待される物理刺激を利用した搭載技術
(3-1) - 低侵襲な搭載が期待される細胞の嗜好性に基づいて設計したナノキャリアを利用した搭載技術
(3-2) - 細胞融合法を利用した複数の細胞内CAの同時搭載技術
(3-3)

2. これまでの主な成果
研究開発項目3では、細胞内CAを細胞へ搭載して、検査細胞と除去細胞を作製し、また、標的のがん細胞・老化細胞に対して正確な検査・除去をサポートするためのマーカー分子を搭載するための技術を開発します。
これまでに次の研究を行って参りました。
【2022年度】
各研究開発課題にて、搭載検討用の株化細胞を用いた培養条件下でのモデル分子搭載評価を開始しました。
【2023年度】
各研究開発課題にて、培養条件下で細胞内CAまたは細胞内CA相当の分子・構造体を搭載検討用のモデル細胞に対して搭載し、搭載後の細胞の生存率や状態の評価を行いました。また、開発した細胞内CAの搭載技術の生体への適用性の評価を開始しました。
3. 今後の展開
培養環境において、評価用の株化免疫細胞または、ヒト・マウス血液から回収した免疫細胞に対して、3つの搭載技術を選択的に適用することで、細胞内CAを搭載し、開始・条件分岐・中止のいずれかの遠隔制御が確認できるCA搭載細胞を作製していきます。細胞内CAの搭載後の細胞の状態等は、画像解析、フローサイトメーター等の計測手法、RNAシーケンシング等により確認します。細胞内CAの搭載効率および、搭載処理後の細胞状態の詳細な評価を行うことで、より安心・安全な細胞内CA搭載細胞の作製技術の開発を目指します。
また、3−1、3−2、3−3において、複数の細胞内CAの搭載技術を検討することによって、今後、新たに開発され得る多種多様な細胞内CAの搭載に対応できるような体制を整えます。さらに、搭載先の細胞の種類を加味して細胞内CAの搭載技術の選択ができるような、細胞内CA搭載細胞の生産体制の構築を目指します。
構築した細胞内CAは、研究開発項目5により選定された細胞へ、研究開発項目3の技術で搭載され、研究開発項目4・5・6により評価されます。