成果概要
細胞内サイバネティック・アバターの遠隔制御によって見守られる社会の実現[4] 培養環境における細胞内CAの遠隔制御評価
2023年度までの進捗状況
1. 概要
研究開発項目2で設計・構築し、研究開発項目3で細胞に搭載した細胞内サイバネティック・アバター(以下細胞内CA)が設計通りに動作するかを詳細に解析します。

一般に、細胞は機能・特徴に不均一性を有するため、CA搭載細胞の時間依存的な細胞状態・遠隔制御性を詳細に評価・解析する必要があります。
本研究開発項目では、研究開発項目3で作製したCA搭載細胞から、細胞レベルでの詳細な動態計測・評価を培養環境において行います。また、研究開発項目2で設計・構築した細胞内CAにより、研究開発項目3で作製した細胞の遠隔制御機能や、細胞の検査・除去に至る細胞内CAの連携・協調の仕組みが設計通り制御されていることを、培養環境で細胞を分取して(4−1)オミクスデータの取得(4−2)・解析によって確認(4−3)します。
2. これまでの主な成果
細胞内CAによって細胞に組み込んだ機能の遠隔制御を確認するために、一つ一つの細胞を自在に取り扱うマイクロ流体技術および細胞の様子を詳細に撮影するライブ顕微鏡技術、細胞の動態や細胞内の分子情報を解析・評価する技術を開発します。
【2022年度】
細胞内CAおよび搭載対象の細胞に対して、均質な細胞集団に選別・回収できるオンチップ技術(4−1)、形状や蛍光を使ってCA搭載細胞の活動を測定する顕微鏡技術(4−2)、顕微鏡動画や遺伝子発現データからCA搭載細胞の機能のばらつきを把握・解析・予測する情報解析技術(4−3)の開発に着手しました。
【2023年度】
蛍光の強度を指標にCA搭載細胞を複数の集団に流し分けるオンチップ技術、および顕微鏡下で狙った細胞を自在に採取する1細胞ピペット技術を開発しました(4−1)。CA搭載細胞の分泌などの活性を撮影するライブ顕微鏡を開発しました(4−2)。CA搭載細胞の状態を顕微鏡画像から解析する深層学習モデル、およびトランスクリプトーム解析によってCA搭載細胞の遺伝子発現を評価する技術の開発を進めました(4−3)。
3. 今後の展開
培養環境で、細胞内にCAを持つヒト・マウスの血液から回収した免疫細胞を対象にして、選別・回収(4−1)、機能の計測(4−2)、機能の解析(4−3)を統合したプラットフォームを確立し、CAを持つ細胞の機能を遠隔で詳しく制御できるかを評価する仕組みを開発します。この開発した仕組みは、今後、新たに開発される様々な細胞内CAに対して、細胞内の分子が設計通りに制御できているか、または制御できなかった場合、その原因を評価するための基盤となり、細胞内CAの精密な設計を可能にします。