成果概要
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細胞内サイバネティック・アバターの遠隔制御によって見守られる社会の実現[4] 培養環境における細胞内CAの遠隔制御評価
2025年度までの進捗状況
1. 概要
一般に、細胞は機能・特徴に不均一性を有します。そのため、細胞内サイバネティック・アバター(以下細胞内CA)が、設計通りに動作するかを評価するためには、培養環境において細胞内CAを搭載した細胞(CA搭載細胞)の時間依存的な細胞状態の変化や、細胞内CAに設計した機能の遠隔制御を1細胞単位で詳細に評価する必要があります。
これを実現するために、本研究開発項目では、研究開発項目3によって作製されたCA搭載細胞を、(4-1) マイクロ流体制御によって高速・高精度に抽出して均質化する微細操作技術、(4-2) ライブ顕微鏡によって形態・動態・活性および連携・協調動態を時系列に沿って多角的に計測し、特定の機能を示したCA搭載細胞および標的となる細胞を実時間で分取する動態計測技術、(4-3) 深層学習画像解析によってCA搭載細胞の形態・動態・活性および連携・協調動態を、オミクス解析によって分取したCA搭載細胞から細胞内CAによる細胞内分子機能の遠隔制御性を評価する詳細分析技術、さらに、(4-4) 分子認識によってCA搭載細胞が出力する信号を選択的に検出する精密検出技術を開発します。これにより、細胞内CAによる遠隔制御性の評価と改善を高効率に行う技術基盤を確立します。
- (4-1)
CA搭載細胞の高速・高精度分取技術の開発 - 佐久間 臣耶(九州大学)
- (4-2)
CA搭載細胞の動態計測・分取プラットフォームの開発 - 白崎 善隆(東京大学)
- (4-3)
CA搭載細胞の遠隔制御性のモデル化技術の開発 - 鎌谷 高志(がん研究会)
- (4-4)
CA搭載細胞の出力信号検出素子の開発 - 勝田 陽介(熊本大学)
2. これまでの主な成果
研究開発項目4では、各課題推進者が得意とする技術に基づき、研究開発課題間の連携によって構築する細胞動態計測・分取プラットフォームを用いた培養環境における細胞内CAの遠隔制御の評価を進めおり、各課題で、下記のような必要とされる要素技術に関して、発明・研究・開発を進めています。
(4-1) 高速・高精度流体制御に基づき、CA搭載細胞を複数の集団に振り分ける、世界最高速のオンチップセルソーター技術、および顕微鏡下で狙った細胞を自在に採取する世界最高精度のピコリットルピペット技術を開発しました。また、ナノ粒子作製装置のプロトタイプ機を設計・開発し、脂質ナノ粒子の大量作製の基礎検証を実施しました。
(4-2) 細胞同士が細胞表面分子や分泌分子を介してコミュニケーションする様子を実時間で可視化することに成功し、連携中の細胞の動態を評価しました。また、ライブイメージング中に狙った細胞を適切なタイミングで回収することで、細胞活性に関連した遺伝子発現の特異的検出に成功しました。また、多光子励起蛍光顕微鏡システムを基盤とした細胞動態3次元計測プラットフォームを構築しました。
(4-3) ライブセルイメージから、細胞を時間的に抽出・追跡するAI自動アノテーションシステムを構築し、細胞機能の定量評価を開始しました。また、標的となる細胞、検査や除去を担当する細胞の経時的な1細胞トランススクリプトーム解析から、細胞種のクラスターを同定し、遺伝子発現変動解析によって各細胞種の特徴を明らかにしました。
(4-4)ランダム核酸配列から、CA搭載細胞が放出する低分子化合物を高選択的に認識する核酸アプタマーの取得を実施し、オーキシンに対するアプタマーの取得および、それに応答するセンサーの開発に成功しました。また、従来では標的化が難しかったmRNAにも適用可能な、Staple核酸の開発に成功しました。
【2025年度の代表的な成果】
- “Single-cell analysis reveals cell death as driver of NLRP3-mediated secretion of IL-1β in human monocytes”, Nature Immunology, 26(12), 2148–2158, 2025.
- “Clonal diversity shapes the tumour microenvironment leading to distinct immunotherapy responses in metastatic urothelial carcinoma”, Nature Communications, 16(1), 7995, 2025.
- “Longitudinal Analysis of Somatic Mosaicism and Clonal Hematopoiesis in Cryopyrin-Associated Periodic Syndrome”, Arthritis Rheumatol., 78(1), 231–242, 2025.
- “Expanded Gene Targeting in RNA Hacking With G-Tract-Supply Staple Oligomers”, Angewandte Chemie International Edition, 2026.
doi:10.1002/anie.202521666
3. 今後の展開
本研究開発項目で構築したin vitro評価技術をプロジェクト内に展開し、株化細胞やヒト・マウス血液由来の免疫細胞に細胞内CAを搭載したCA搭載細胞の遠隔制御による機能発現を多角的かつ統合的な評価を推進します。一方で、出力信号検出素子やピコリットルピペットなどの開発技術の統合を進め、CA搭載細胞の機能発現の瞬間を採取することで、細胞内CAによる連携・協調を実現する細胞内情報の解析と制御設計に貢献します。