成果概要
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細胞内サイバネティック・アバターの遠隔制御によって見守られる社会の実現[2] 細胞内CAの設計・構築技術
2025年度までの進捗状況
1. 概要
細胞内サイバネティック・アバター(以下細胞内CA)の遠隔制御によって見守られる社会の実現には、以下のような機能が必要です。
- [1] 身体の不調の原因となる細胞を発見する機能
- [2] 発見した情報を増幅する機能
- [3] 増幅した情報を体外で検出できるように変換する機能
- [4] 原因の細胞を除去する機能
- [5] 機能を遠隔制御によって駆動・停止できるスイッチ
- [6] CA搭載細胞間あるいはCA搭載細胞と体内の免疫細胞と連携・協調によって把握・改善を達成する仕組み
本研究開発項目では、これらの機能を持つ細胞内CAの設計・構築します。構築した細胞内CAは、研究開発項目5で選定された細胞へ、研究開発項目3の技術で搭載し、研究開発項目4・5・6で評価します。
- (2-1)
シグナル変換機能を有する細胞内CAの開発 - 横森 真麻(東京大学)
- (2-2)
化合物ベースの細胞内CAの開発 - 闐闐 孝介(理化学研究所)
- (2-3)
遺伝子ベースの細胞内CAの開発 - 菅野 茂夫(産業技術総合研究所)
- (2-4)
細胞膜チャネル様の細胞内CAの開発 - 庄司 観(長岡科学技術大学)
2. これまでの主な成果
研究開発項目2では、[1]~[6]を実現するために、下記の通り、重層的に研究開発課題を設定し、細胞内CAの設計および構築という挑戦的な問題を解決します。これまでに次の研究を行って参りました。
- [1] 研究開発課題 (2-1)、(2-2)、(2-3)
- [2] 研究開発課題 (2-1)、(2-3)
- [3] 研究開発課題 (2-1)、(2-3)
- [4] 研究開発課題 (2-1)、(2-2)、(2-3)、(2-4)
- [5] 研究開発課題 (2-2)、(2-3)、(2-4)、(2-5) *1
- [6] 研究開発課題 (2-1)、(2-2)、(2-3)
*1 2024年度からは、他の課題に統合
これまでに、それぞれの研究開発課題において、下記のような成果を得ました。さらに、これらの成果物である細胞内CAを研究開発項目4・5・6に提供し、検査・除去という機能付与を行った細胞の機能評価実験に着手しました。
(2-1) ナノ粒子とDNAを活用して、生体情報を増幅し、光シグナルとして検出可能な細胞内CAを設計・構築しました。細胞質模擬環境で、標的miRNAをピコモルレベルまで高感度・高特異的に検出可能であることを確認しました。
(2-2) 化合物処理によって細胞機能を停止することができる細胞死スイッチの開発を進めました。その結果、化合物の処理により速やかに細胞死(アポトーシス)を誘導する細胞内CAの開発に成功し、導入実験や毒性試験を進め、生体適合性に大きな問題がないことを確認しました。
(2-3)植物ホルモン受容体遺伝子を活用し、if-then-else条件分岐を行う遺伝子スイッチ群、遺伝子回路をコア技術として、標的となる細胞や検査・除去を担当する細胞の連携について、テレオペレーターの外部入力も含め、全体で「設計された細胞間コミュニケーション」が実現されるよう、遺伝子ベースの細胞内CAを設計・実装・評価しました。
(2-4) CA搭載細胞の緊急停止機能として、合成DNA構造体を用いた細胞膜チャネル様細胞内CA、開閉動作の評価、膜貫通ペプチドとのハイブリッド型の細胞内CAなどを作製し、細胞死誘導実験にて有用性を確認しました。
【2025年度の代表的な成果】
- M. Yokomori; K. Yoshimoto; Y. Yamanishi“Engineering of LNA-Modified DNA-AuNP Nanomachines for Intracellular miRNA Imaging”, ChemRxiv, 2026
- doi: 10.26434/chemrxiv.15001686/v1
- H. Suzuki; J. Romsuk; A. Nakamura; K. Moriwaki; Y. Yamanishi; S. S. Sugano, “AistSeq: An in-house easy-to-purify Tn5-based plasmid sequencing platform using a compact benchtop sequencer”, Frontiers in Bioengineering and Biotechnology, 13, 1673510, 2026.
- H. Akai; T. Hirano; T. Mabuchi; K. Shoji, “Specific ATP Detection Using Molecule-Responsive DNA Nanopores.” Small, 21(29), 2409293, 2025. (Inside Front Cover)
3. 今後の展開
培養環境において、評価用の株化免疫細胞または、ヒト・マウス血液から回収した免疫細胞に対して、設計された細胞間コミュニケーションをもちいて、専門家の意思の反映が行われるように細胞内CAを複数構築し、他の研究開発項目と共同でその機能性の評価を進めます。また、CA搭載細胞の安心・安全な利用のため、構築した複数の異なる原理による強制停止用の細胞内CAの組み合わせ、その「強制停止」機能の評価を進めます。強制停止用細胞内CAについては、副作用の評価を進めます。