成果概要

身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発[6] CA時代の倫理と社会制度の設計(社会システム研究グループ)

2024年度までの進捗状況

1. 概要

CAで人々の身体が拡張される未来における社会ルールと倫理規範

人々が日常的にサイバネティック・アバター(CA)を活用する社会において守るべき権利や責任の所在、経験や技能のデータの流通と管理といった社会的な諸課題について、法学、社会科学、科学技術社会論など多角的な方面からの検討を行うことを通じ、CA時代の倫理と社会制度のデザインを探求します。誰もがCAを用いて自在に活躍できる社会を制度面から支えることで、目標1が目指す「サイバネティック・アバター生活」の実現に貢献します。

赤坂 亮太(大阪大学 ELSIセンター)

CAの法解釈学および法政策学的研究
赤坂 亮太(大阪大学 ELSIセンター)

江間 有沙(東京大学)

CA社会における倫理とガバナンスのデザイン
江間 有沙(東京大学)

大澤 博隆(慶應義塾大学)

デザインフィクションを用いたサイバネティック・アバター社会の探索【2024年度~】
大澤 博隆(慶應義塾大学)

2. これまでの主な成果

  • (1)CA社会におけるELSIを検討するCAS研究会の開催
  • (2)アバターロボットを用いた働き方の導入ガイドライン発行
  • (3)CAに関する国内でのフィールドワーク、書籍発刊および国際行政との連携と議論の推進
  • (4)SFプロトタイピングによる未来デザインワークショップ

人々が生活の様々なシーンでCAを活用し、新たな働き方・学び方・楽しみ方が日常となる社会を実現するためには、近未来のCAの具体的なユースケースを想定し、どのようなELSI(倫理的・法的・社会的課題)があるかを洗いだし、それらに対処する新たな倫理と社会制度をデザインすることが求められます。

そこで(1)では、専門家や事業者、CAを利用しはじめている当事者とともにCybernetic Avatar Society (CAS) 研究会を開催し、関係するステークホルダーに関する倫理的・法的・社会的課題について議論しています。米国からサイバー法の専門家をお招きし、日米の法制度の違いを超えてCAが国際的に用いられる社会に必要な制度について検討しました。2024年にはこれらの議論をまとめ、(2)アバターロボットを用いた働き方の導入ガイドラインを策定し公開しています。

(3)では、分身ロボットOriHimeの、学校や職場での利用に関するフィールドワーク調査を行っています。これまでのCAの利用調査とともに、小学生を対象にOriHimeパイロットとの会話や、OriHime操作体験を行えるワークショップを開催しました。これらの調査に基づき、小中高生を対象とした書籍「分身ロボットとのつきあい方」を刊行しました。また国連やEUなど国際機関のGlobal Partnership on AI等のイベントでOriHime利用当事者と登壇するなど国際的な議論の場を創出しています。

(4)では、SFプロトタイピングの手法を用いて未来の形を描き、問題点を洗い出す研究活動を行っています。SF作家や目標1の他プロジェクトの研究者も交えて複数のワークショップを開催し、2050年までにCAが普及する社会に向けた近未来のロードマップを作成し、その分析を行っています。

(1)
(1) CAS研究会
(2)
(2) アバターロボットを用いた働き方の導入ガイドライン
(3)
(3) 書籍 『分身ロボットとのつきあい方』
(3)
(4) SFプロトタイピングによるCA未来社会デザインワークショップ

3. 今後の展開

これまでの活動で得られた知見を踏まえながら、CAを用いて自らの能力を発揮し発展させてゆく社会を見据えて、CAに関わるELSIの包括的なマッピングを行い、ガイドラインやガイドブック等を通じて現行制度上の対応方策を発信していきます。
特に、CAがよりコモディティ化していく際に必要となるELSI対応を可視化することで、CAが浸透する社会にどのような環境づくりや仕組みづくりが必要か、どのような懸念が想定されどのように対処するべきか、ELSI的観点から検討し、実社会における適切なCA利活用の普及啓蒙に努めます。また国内外の関連する政策動向も踏まえた上での、適切な制度のあり方を提言するとともに、国際的議論への発信を行います。