成果概要
身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発[5] 多様性と包摂性を拡大するCA社会の共創的デザイン(社会共創研究グループ)
2024年度までの進捗状況
1. 概要

CAで障碍や社会課題を克服し、
Well-beingなライフスタイルをつくる
生まれ持った身体の個人差に依らず、個々の能力を最大限に発揮し、身体・空間・社会的な制約を超えて活動できるサイバネティック・アバター(CA)社会の実現に向けて、障害・高齢化など様々な社会課題の当事者との共創を実践します。これらの当事者との共創を通じて、CAがもたらす未来の暮らし・働き・学び・楽しみを具現化することで、目標1が目指す「サイバネティック・アバター生活」の実現に貢献します。

CAを通じた障碍克服の実践的研究
吉藤 健太朗(株式会社オリィ研究所)
2. これまでの主な成果
- (1)障害当事者の就労の場である分身ロボットカフェDAWN ver.βにおいて認知拡張、並列化、技能融合の各コア技術を適用した実証実験を実施
- (2)分身ロボットカフェDAWN ver.βがArs ElectronicaにおけるGolden Nica(最優秀賞)など国内外で受賞
- (3)障害当事者参画のもと、移動台車型CAの屋外実証実験を実施
- (4)特別支援学校の生徒を対象とした、CAによる就労体験プログラムを実施
- (5)デンマーク・オーフス市にて分身ロボットカフェDAWN ver.βの初の国外における実証実験を開始
分身ロボットカフェDAWN ver.βでは、延べ110名の「パイロット」と呼ばれるCA操作者が自宅や病院から分身ロボットを操作し、来客との会話や配膳などのサービスの提供を実現しています。パイロットには、ALS、SMA、筋ジストロフィー、心疾患、脊髄損傷などの身体障害の当事者が数多く含まれています。
(1)では、2023年にCAを活用した障害当事者の新たな働き方の1ヶ月間に及ぶ実証実験を実施しました。①当事者自身がデザインしたバーチャルCAを用いた接客、②複数のCAを並列に操作する接客、③2人が1体のCAを操作し遠隔から協力しケーキ等のトッピングを行うサービス、を実施し、CAを用いた継続的な就労がもたらす影響について検証しました。
(2)では、分身ロボットカフェがArs Electronica Golden Nica(デジタルコミュニティ部門最優秀賞)、グッドデザイン賞大賞、ドバイ・ザイードサステナビリティアワードなどを受賞しました。
(3)では、神奈川県藤沢市で、障害当事者が操作するアバターロボットと、別の操作者が操縦する移動台車を組み合わせた融合型CAが屋外を走行し、街案内や物品販売等を行う実証実験を通じて、屋内のみならず屋外での活用を示しました。
(4)では、2022年度から特別支援学校の障害児童を対象としたCAによる就労体験プログラムを開始し、これまで4都市19校の特別支援学校の生徒26名に体験いただくことで、障害を持つ若年利用者が実社会でCAを利用して就労する上での有用性や重要な環境要素を検証しました。
(5)では、2025年4月よりデンマーク・オーフス市にて半年間の分身ロボットカフェ「Bunshin Robot Cafe Øens Madhus」を実施することが決定し、現地在住の障害当事者を対象としたCA操作者としての雇用・育成と遠隔就労を推進しています。




3. 今後の展開
身体の障害や空間の制約を超えて、誰もがCAを通じてコミュニティへの参加や就労を自分の意志で行える社会の実現を目指して、障害当事者によるCA就労の国外への展開、より多様な産業領域へのCA就労の拡大、そしてこのような新しい社会参画の形態を社会としてサポートする国内外の社会制度設計への提案に取り組んでいきます。