成果概要
身体的共創を生み出すサイバネティック・アバター技術と社会基盤の開発[5] 多様性と包摂性を拡大するCA社会の共創的デザイン(社会共創研究グループ)
2023年度までの進捗状況
1.概要

CAで障碍や社会課題を克服し、
Well-beingなライフスタイルをつくる
生まれ持った身体の個人差に依らず、個々の能力を最大限に発揮し、身体・空間・社会的な制約を超えて活動できるサイバネティック・アバター(CA)社会の実現に向けて、障害・高齢化など様々な社会課題の当事者との共創を実践します。これらの当事者との共創を通じて、CAがもたらす未来の暮らし・働き・学び・楽しみを具現化することで、目標1が目指す「サイバネティック・アバター生活」の実現に貢献します。

CAを通じた障碍克服の実践的研究
吉藤 健太朗(株式会社オリィ研究所)

身体的共創の産業応用的実装と評価
安藤 健(パナソニックホールディングス株式会社)
2.これまでの主な成果
- (1) 障害当事者の就労の場である分身ロボットカフェDAWN ver.βにおいて認知拡張、並列化、技能融合の各コア技術を適用した実証実験を実施
- (2) Ars ElectronicaにおけるGolden Nica(最優秀賞)など国内外の受賞
- (3) 障害当事者参画のもと、移動台車型CAの屋外走行の実証実験を実施
- (4) 特別支援学校の生徒による分身ロボットのトレーニング・就労体験プログラムを実施
分身ロボットカフェDAWN ver.βでは、77名のパイロットと呼ばれるCA操作者が自宅や病院から分身ロボットを操作し、来客との会話や配膳などのカフェサービスの提供を実現しています。パイロットには、ALS、SMA、筋ジストロフィー、心疾患、脊髄損傷など、上肢下肢障害の当事者が多く含まれています。
(1)では、2023年にCAを活用した障害当事者の新たな働き方の実証実験を実施しました。実証実験では3つのCA技術を接客に展開し、①当事者自身がカスタマイズしたバーチャル上のキャラクターを用いた接客、②複数のCAを並列に操作する接客、③2人が1体のCAを操作し遠隔から協力しケーキ等のトッピングを行うサービスを実施し、CAを用いた長期的な就労がもたらす影響について検証しました。
(2)では、分身ロボットカフェDAWN ver.βが、世界的な賞であるArs Electronica Golden Nica(デジタルコミュニティー部門最優秀賞)や、グッドデザイン賞大賞、ドバイ・ザイードサステナビリティアワード入賞など、国内外の賞を受賞しました。
(3)では、神奈川県藤沢市において、障害当事者が操作するアバターロボットと、別の操作者が操作する移動台車を組み合わせた融合型CAを構築し、屋外を走行しながら街の紹介や接客・販売などをする実証実験を実施しました。案内を行うアバターロボットの操作者と、複数台の移動台車の操作者が円滑に協調し実サービスを行うことで、実社会におけるCAのユースケースとしての有効性の検証に取り組みました。
(4)では、2022年度から特別支援学校の障害児童を対象としたCAによる就労体験プログラムを開始し、これまで4都市(福岡、札幌、広島、京都)19校の特別支援学校の生徒26名に体験いただくことで、障害を持つ若年利用者が実社会でCAを利用して就労する上での有用性や重要な環境要素を検証しました。




3.今後の展開
CA技術の普及と社会への影響を拡大するため、分身ロボットカフェによるCA実験環境を国内だけでなく国際的に展開することを目指します。