支援課題一覧(研究シーズ)

2009年度採択

*所属・役職は研究終了時のものです

低炭素社会づくり関連分野

光の反射効率を高めた砂漠適応型植物の創製
明石 欣也(奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 助教)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、地球上の陸地の約50%を占める乾燥地における植物の生存能力を高めCO2固定効率を増大させるために、過剰な光の反射能力を高めた植物創製のための基盤開発を目的とします。具体的には、葉の表面のクチクラ層のワックスについて、(1)砂漠植物におけるワックス形成メカニズムの理解を図り、(2)バイオ燃料植物ヤトロファ等にこのメカニズムを導入し、乾燥地でのバイオマスおよびCO2固定効率の増大を図ります。
評価
事後評価結果
太陽光による二酸化炭素の資源化を目指した新規光触媒系の創製
石谷 治(東京工業大学 大学院理工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、CO2を太陽光エネルギーのリザーバとして利用し、有用なエネルギー資源を得る人工光合成システムの創製を目的とします。具体的には(1)水の酸化を高効率で行う半導体光触媒を、我々の開発した高効率にCO2を還元する金属錯体光触媒とハイブリッド化し、水によるCO2還元を駆動する新規光触媒系を創製します。(2)CO2を多電子還元し、より有用な有機分子を直接生成する光触媒を開発します。
評価
事後評価結果
新規錯体触媒による水系酸化反応プロセスの開発
小川 昭弥(大阪府立大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、環境にやさしい省資源・省エネルギー酸化技術の開発とプロセスの確立により、技術立国における先進的な酸化技術の工業化を目指し、低炭素社会の確立のための基盤研究を行います。具体的には(1)安全かつ無尽蔵の空気(または酸素)を共酸化剤とし、(2)二酸化炭素排出削減のために水を反応場とし、(3)リサイクル容易な前周期遷移金属触媒を用いる新酸化触媒系を開発します。
評価
事後評価結果
原形質膜CO2透過性の分子機構解析と利用
且原 真木(岡山大学 資源植物科学研究所 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、CO2の原形質膜透過を担っている蛋白質アクアポリン分子種の同定・解析を目的とします。具体的には酵母を用いた新規スクリーニング系を使って、原形質膜で機能する複数のアクアポリンをCO2透過活性の有無で分別します。同時にホモロジーモデリングを実施して、CO2分子の認識と透過を実現しているアクアポリンの分子構造を明らかにします。
評価
事後評価結果
二酸化炭素を重合単位とする新しい合成高分子の開発と機能付与
榧木 啓人(東京工業大学 大学院理工学研究科 助教)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、二酸化炭素固定による新たな高付加価値高分子の創製を実現するために必要な合成手法の開発を目的とします。具体的には、アジリジン類をはじめとするアミンモノマーと二酸化炭素の共重合法の開発と、二酸化炭素由来のウレタンおよびカーボネートの重合による新規な脂肪族ポリウレタン・ポリカーボネートの合成を試み、低炭素社会づくりに資する機能性高分子材料の候補となる化合物群を開拓します。
評価
事後評価結果
二酸化炭素を利用する高効率アルケン製造触媒の開発
宍戸 哲也(京都大学 大学院工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、二酸化炭素を穏和な酸化剤として利用する低級アルカン脱水素反応に有効な触媒系を設計・構築することを目的とします。具体的には、クロムおよびバナジウム系触媒を中心に反応機構の解明、活性種の動的挙動のその場観測を行い、得られた知見を基に高い活性・安定性を示す高機能触媒系を設計・構築を行います。
評価
事後評価結果
生物的な炭酸同化作用によるCO2リサイクリングを目指した樹木に特異的な環境適応能力による光合成制御とストレス耐性機構
柴田 勝(長岡工業高等専門学校 物質工学科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、樹木が本来備えている環境適応能力を高めることで、劣悪な条件下で生育できる樹木の開発を目的とします。具体的には、樹木特異的な環境応答を証明すると共にオルガネラネットワークによる光合成の最適化機構を示し、新規ストレス耐性についての実験を行います。
評価
事後評価結果
光合成生物を用いたプロパノール産生技術の開発
鈴木 石根(筑波大学 大学院生命環境科学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、ブドウ糖から、プロパノールあるいはプロパンジオールを生産する代謝経路を、光合成生物ラン藻細胞内に構築し、光エネルギーを利用してバイオ燃料及びバイオマテリアルを高効率に生産するシステムを創出することを目的とします。具体的には細菌の5つの遺伝子をラン藻の染色体中に導入し、新規な代謝経路を創出します。導入した代謝経路を効率的に駆動するため、細胞のプロパノール及びプロパンジオールに対する耐性の増強と、代謝経路の隘路を見出して遺伝的改善を試みます。
評価
事後評価結果
電力の地産地消を目指した自律分散型直流スマートグリッド実現の為の人工知能による電力取引機構の研究
谷口 忠大(立命館大学 総合理工学院 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、低炭素社会へ向け、再生可能エネルギー利用を爆発的に普及可能させる自律分散型スマートグリッド実現のための人工知能を有した地域電力融通のための機械学習に基づく人工知能の実現を目的とします。具体的には、実環境に適用可能な機械学習則を開発し、実験では、異なる生活パターンで生活をする居住者が住み、太陽光パネルと蓄電池を有する住居が相互に接続された系を模擬した大規模シミュレーションモデルを構築し、有効性及びその安定性を検証します。
評価
事後評価結果
光励起型水分解によるグリーン水素製造
成田 吉徳(九州大学 先導物質化学研究所 主幹教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、水の光分解触媒系を創製し、太陽光を用いた水素・酸素分別製造のための技術基盤構築を目的とします。具体的には、半導体電極上に合理的設計した水分解錯体触媒と光増感色素とを組み合わせて修飾し、可視光域全般の光利用を可能とする高い太陽光利用効率での水の分解反応系を作成します。
評価
事後評価結果
赤外まで透明な酸化スズ系透明導電体の開発
長谷川 哲也(神奈川科学技術アカデミー 重点研究室透明機能材料グループ グループリーダー)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、赤外領域まで高い透明性を示す酸化スズ系透明導電体を開発し、太陽電池の変換効率向上に貢献する事を目的とします。具体的には、酸化スズとの格子マッチングに優れた二酸化チタン/二酸化ニオブ混晶系あるいは酸化物よりもさらに格子マッチングの良いフッ化物系をシード層として用い、酸化スズ薄膜の配向ならびに粒径制御を行うことで、高い移動度と赤外までの透明性を兼ね備えた透明導電薄膜を開発します。
評価
事後評価結果
二酸化炭素無放出天然ガス発電の可能性
圓山 重直(東北大学 流体科学研究所 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、低炭素社会構築にむけた新発電システムを提案し、メタンハイドレートを使った発電で排出される二酸化炭素と廃熱をメタンの再生に使う画期的システムのフィージビリティスタディを行うことを目的とします。具体的には、熱力学/伝熱工学計算によりどのような発電システムが二酸化炭素無放出発電システムに適合するか検討を行い、二酸化炭素無排出メタンハイドレート発電プラントの可能性について定量的評価を行います。
評価
事後評価結果
天然リグニンの逐次構造変換による芳香族原料化およびその利用
三亀 啓吾(三重大学 大学院生物資源学研究科 特任准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、植物主要構成成分リグニンから石油代替芳香族化学原料を得ることを目的とします。具体的には、天然リグニンから相分離系変換システムにより得られるリグノフェノールをアルカリ処理やルイス酸処理、微生物変換などにより逐次構造変換し、最終的にモノフェノールへと誘導します。リグニンをカスケード的に長期循環利用し、石油代替原料として現在の工業原料から少しずつ変更することにより低炭素社会をつくります。
評価
事後評価結果
シリコン精錬を目指したナトリウム蒸発法の開発
森戸 春彦(東北大学 多元物質科学研究所 助教)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、Na溶媒蒸発による高純度Siの結晶化を利用した革新的Si精錬法を開発することを目的とします。具体的には、Na溶媒蒸発法を用いてSi結晶を作製し、溶液組成やNa蒸発速度などの精錬条件がSi結晶の形態や不純物の分配挙動、精錬効果などに及ぼす影響を明らかにします。
評価
事後評価結果
既存住宅の低炭素化に向けた省エネルギー・健康環境計測診断システムのプロトタイプの開発
吉野 博(東北大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、住宅部門のエネルギー消費量およびCO2排出量を削減するため、圧倒的な数を占める既存住宅の低炭素化を図ることを目的とします。具体的には、既存住宅の用途別・時刻別のエネルギー消費および室内環境を測定し、省エネルギー性と健康性を診断するとともに、断熱改修、高効率機器の導入、ライフスタイルの変更等による効果の情報を居住者に提供する「省エネルギー・健康環境計測診断システム」のプロトタイプを開発します。
評価
事後評価結果

物質・機能探索分野

人工光合成を目指した高配向集光アンテナ薄膜の創製
浅岡 定幸(京都工芸繊維大学 大学院工芸科学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究では、光合成の集光アンテナを模したナノ構造体を、膜中で位置と配向方向を正確に規定して配列させる手法を確立し、生ずる長寿命励起状態に基づく人工光合成膜材料を創製することを目的とします。具体的には、高規則性のシリンダー型ミクロ相分離構造の界面にポルフィリンを自己組織的に配列させることにより、集光アンテナ構造を一定の異方性を保って膜中に組み込み、物質変換膜材料へ展開するための基盤を確立します。
評価
事後評価結果
ダイヤモンド/窒化ホウ素ヘテロ接合の作製と電子デバイス応用
植田 研二(名古屋大学 大学院工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
ダイヤモンドはその優れた特性から次世代高周波高出力デバイスとして期待されています。しかし、室温で十分なキャリア濃度と信頼性を併せ持つドーピング技術が無いため、実用化に至っていません。本研究ではこのドーピング問題解決のために、ダイヤモンドより広い禁制帯幅を有し、格子整合性も良好な立方晶窒化ホウ素とダイヤモンドのヘテロ接合を作製し、窒化ホウ素へ変調ドーピングすることによりヘテロ接合界面でのキャリア生成を図ります。
評価
事後評価結果
スメクチック液晶相をテンプレートに用いたナノ構造構築
大越 研人(東京工業大学 大学院理工学研究科 特任准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、①棒状高分子のスメクチック相をテンプレートに用いた、スメクチック層間へのミクロ相分離構造形成における自発的な構造形成のメカニズムの解明、②発現する10-50nmのメゾスコピック領域の層間隔を有する巨大スメクチック相を、基板上に展開しテンプレートとして用いた、高度に配向が制御された長相関のナノ構造の構築およびその機能の解明の2点を目的とします。
評価
事後評価結果
分子回転運動に同期した単電子移動現象のデバイス化の研究
久米 晶子(東京大学 大学院理学系研究科 助教)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究では、分子の回転運動をトリガーに、分子内の単電子移動を起こす基本骨格を用いた分子特異的な方向的応答性を示すデバイスの構築を目的とします。具体的には、銅中心に回転を経て双安定的に配位するピリミジン環に、光応答や、水素結合を行う機能性部位導入による回転運動の駆動、また回転方向による電子移動方向変換特性を検出します。さらに電極界面へ分子を展開することで回転の電気化学・伝導性による応答検出を行います。
評価
事後評価結果
新規低温酸素イオン伝導酸化物の探索とイオン伝導機構の解明
島川 祐一(京都大学 化学研究所 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、ペロブスカイト構造酸化物における酸素イオン伝導機構の解明を通して、中低温で動作可能な燃料電池への応用展開を含めた新規な酸素イオン伝導酸化物の探索を目的とします。具体的には、単結晶薄膜を用いた原子レベルの酸素の動きに注目し、基板からの格子歪みを利用して低温で異方性をもった酸素イオン伝導の制御を試みます。さらには、薄膜イオン伝導材料のマイクロ燃料電池への展開の可能性を探ります。
評価
事後評価結果
マンガン窒化物を用いたゼロ応答材料の開発
竹中 康司(名古屋大学 大学院工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、逆ペロフスカイト型マンガン窒化物Mn3AN(A:遷移金属など)の組成最適化により、ゼロ熱膨張材料とゼロ抵抗温度係数材料の開発を目的とします。電気抵抗率などの特性が外部変数に依存しない「ゼロ応答材料」は、環境変化に対する安定性が必要な精密機器に不可欠であり、広範な応用分野を有しています。各種精密機器の計測精度やプロセス精度を飛躍的に向上させる革新的機能材料創製へ展開します。
評価
事後評価結果
酵素インスパイアード触媒表面の創製によるテイラーメイド触媒反応空間の設計と選択触媒反応制御
唯 美津木(分子科学研究所 物質分子科学研究領域 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、目的とする物質合成のためにテイラーメイド設計された形状選択的触媒反応空間を構築し、目的分子に応じた選択触媒反応の自在制御を可能にする酵素インスパイアード触媒表面を創製することを目的とします。具体的には、固定化金属錯体の配位子を鋳型分子とするモレキュラーインプリンティング法を基盤として、目的物質のみを作り出せる高機能触媒表面を設計します。
評価
事後評価結果
メカニカルエネルギーの段階的化学変換によるトップダウン物質合成
津田 明彦(神戸大学 大学院理学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究課題では、従来よりも短い波長の超音波による機械的な物理エネルギーで、(1)マイクロスケールあるいはナノスケール物質の一時的構造変化を引き起こし、(2)その変化の摂動のさらなる分子レベルへの伝播を利用して、機械エネルギーの段階的化学変換によるトップダウン物質合成に挑戦します。
評価
事後評価結果
半導体ナノ結晶の超構造形成とタンパク質との複合化
中嶋 琢也(奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究では、半導体ナノ結晶間またはナノ結晶-タンパク間相互作用の階層的制御による自発的キラル超構造形成と革新機能発現を目的とします。具体的には、ナノ結晶間の長距離、短距離相互作用の制御によるキラル自己集合の方法論を確立し、キラル超構造におけるナノ結晶間の励起子相互作用に基づくキロプティカル特性を明らかにします。さらに、ナノ結晶と同次元のタンパク質とのヘテロ超構造を作製し、超光電子機能の探索を行います。
評価
事後評価結果
自己組織性糖鎖高分子による超分子ナノワイヤーの創製
三浦 佳子(九州大学 大学院工学研究院 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究では糖鎖高分子を用いた水溶性ナノワイヤーの創製を目的とします。具体的には、糖鎖を側鎖に持つ高分子が、水溶液中で疎水性のコアを持つ筒状となることから、これをホストとした超分子複合体の形成を行います。ゲストとして、共役高分子、ナノカーボンを検討し、有機エレクトロニクス分子の可溶化と、超分子ナノワイヤー化による機能の向上、水溶性の確保による集合性の制御、そして糖の機能を利用した生体機能の検討を行います。
評価
事後評価結果
有機π電子物質を用いた蓄電デバイスの創出
御崎 洋二(愛媛大学 大学院理工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は次世代の蓄電デバイス用活物質として用いられる新規な有機材料の開拓を目的とします。具体的には、TTPおよびTTPY骨格を有する様々な分子系を合成し、それらの酸化還元挙動を解明すると共に充電状態における蓄電デバイス中の活物質の構造・充放電機構を解明し、1)高エネルギー密度化、2)酸化状態・還元状態両方における有機活物質の安定化、3)有機溶媒に対する活物質の難溶解性の実現、を図ります。
評価
事後評価結果
酸化バナジウムナノ細線における金属-絶縁体ドメイン壁の電流駆動ダイナミクス
守谷 頼(東京大学 生産技術研究所 特任助教)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は金属-絶縁体ドメインの境界面(金属-絶縁体ドメイン壁)を電流によって移動させる技術を確立し、金属-絶縁体転移を低消費電力で制御することを目的とします。具体的には強相関電子系材料の酸化バナジウム(VO2)において、ドメイン壁を電子が通過するときの局所的熱電効果を利用することでドメイン壁の電流駆動を実現します。更にAC電流励起によるドメイン壁の共鳴効果を利用して、駆動電流の低減を目指します。
評価
事後評価結果
新奇な金属絶縁体転移を示す酸化物探索とデバイス応用を目指す研究
山浦 一成(物質・材料研究機構 超伝導材料センター 主幹研究員)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は新物質・新現象の研究を進展させ、先端機能スピン素子の開発を促進し、情報処理や通信システムの飛躍的な性能向上を目指すものです。具体的には、提案者らが最近合成に成功した新物質(NaOsO3)に着目し、それが示す有益な新現象(室温スレーター転移)の研究を進展させ、電流/電圧による固体磁化制御に向けた基盤技術を整備します。
評価
事後評価結果
単分子接合素子におけるスピン検出に関する研究
山田 亮(大阪大学 大学院基礎工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、分子が発する多彩な情報を電気的に読み取る単分子エレクトロニクスの基盤を形成することを目的とします。このために必要な基本技術である一分子の電気特性、特にこれまで計測された例がない電子のスピンに関連した、(a)強磁性電極に架橋した分子による磁気抵抗効果と(b)通常の金属電極に架橋された単分子内の不対電子由来のスピン検出に注目します。
評価
事後評価結果

融合分野

生態系の機能的階層構造と非線形相互作用に基づく環境複雑系研究 (融合分野:非線形科学分野と生態環境学分野)
雨宮 隆(横浜国立大学 環境情報研究院 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、物質科学の分野で大きな成功を収めてきた非線形科学と生態環境学を融合し、生物・生態系の非線形相互作用と階層構造に着目した、新しい環境複雑系科学の開拓を目的とします。湖沼の富栄養化を事例研究とし、数理モデル解析と微小生態系実験により、生物(ウキクサ-根圏細菌)間の共生的相互作用を利用した効果的な生態環境修復(藍藻類の増殖抑制)手法を非線形科学の視点から提示し、環境複雑系研究分野の確立を目指します。
評価
事後評価結果
化学的拡張進化分子工学による機能性分子の創成 (融合分野:有機化学分野とバイオテクノロジー分野)
伊藤 嘉浩(理化学研究所 基幹研究所 主任研究員)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
生物の生存戦略である「進化」を模倣する進化分子工学を化学的に拡張することで新しい「バイオものづくり」の方法論を確立し、この方法で様々な新しい原理に基づく機能性分子の創成が可能となることを示します。具体的には、阻害剤をモチーフにしたペプチドアプタマーにより阻害効果や選択性を高める創薬原理と、蛍光分子をモチーフとして標的分子に結合するだけで蛍光を変化できるセンシングできるプローブ構築原理を、実証します。
評価
事後評価結果
コンシステンシーに基づく情報セキュリティ技術 (融合分野:情報セキュリティ分野と非線形力学分野と光・レーザ工学分野)
内田 淳史(埼玉大学 大学院理工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、非線形ダイナミカルシステムにおける普遍現象であるコンシステンシーを用いて、新たな情報セキュリティ技術の実装可能性を示すことを目的とします。具体的には、ハードウェアダイナミクス依存型の情報暗号方式および高秘匿な動的情報メモリへの応用を目標として、超高速不規則振動するカオス的レーザデバイスにおけるコンシステンシーの実証実験を行います。
評価
事後評価結果
マウス脳深部内埋埴イメージングデバイスの無線化とその超低侵襲化に向けた試み (融合分野:半導体集積回路分野とバイオ医療分野)
太田 淳(奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、脳内神経活動の時空間ダイナミクスの超多点リアルタイム計測を可能とする埋植デバイスの実現を目的とします。具体的には、マウスなどの実験用小動物の脳深部への埋埴を可能とするイメージングデバイスの無線化および埋植用超小型イメージングデバイスの開発を行い、これの結果をもとに無線機能を内蔵した超小型イメージングデバイスを多数分散埋埴する超低侵襲分散型アーキテクチャ実現可能性を検討します。さらにこのアーキテクチャを生体とのインタラクションを行う極小半導体集積回路チップ「マイクロコミュニケータ」として発展させていきます。
評価
事後評価結果
原子間力顕微鏡を利用した力学的生物界面のナノスケール現象解析 (融合分野:生物工学分野と物理学分野)
荻野 千秋(神戸大学 大学院工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究では、生体分子と細胞の分子間相互作用を解析するために、原子間力顕微鏡(AFM)を適用します。AFMのカンチレバー先端への生体分子修飾し、「7回膜貫通型受容体認識機能性核酸分子の探索」を行い、生体分子によるナノスケール(細胞空間)における機能創発の制御を目指します。更には、これまでの”リガンドによる細胞全体への一様な刺激”では捉えることが出来なかった、新しい情報伝達機構に関して解析を目指します。
評価
事後評価結果
多能性幹細胞の未分化維持に関与する糖鎖の探索 (融合分野:化学分野と医学分野)
佐藤 智典(慶應義塾大学 理工学部 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究では、iPS細胞やES細胞等の多能性幹細胞の未分化に関与する糖鎖構造の解析を行います。特に、フィーダー細胞との共存の意義、多分化能を獲得する際の糖鎖生合成経路の変化に焦点を当てます。そのために、フィーダー細胞に発現する糖鎖構造の解析、フィーダー細胞の有無による幹細胞での発現糖鎖の相違、iPS細胞の親株であるヒト胎児肺組織由来細胞MRC5の発現糖鎖との比較解析などを行います。
評価
事後評価結果
遅延評価手法を用いた大規模統計システム構築法の確立 (融合分野:情報通信分野とライフサイエンス分野)
篠崎 隆宏(東京工業大学 大学院情報理工学研究科 助教)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究はバイオインフォマティクスや音声認識において使用される大規模な統計モデルを用いたシステムの構築・改造・改良を容易にする、システムの新しい部品化および構築法の確立を目的とします。具体的には、重みつき有限状態トランスデューサ(WFST)の枠組みを遅延評価戦略に基づく純粋関数型プログラミング手法内に取り込んだ、時系列データ処理のための統計プログラミング言語・処理系を開発します。
評価
事後評価結果
磁気交換相互作用の原子分解能計測手法の開発 (融合分野:ナノ計測分野と磁性研究分野)
菅原 康弘(大阪大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、物質表面の磁気交換相互作用を原子分解能で測定できる磁気交換力顕微鏡を開発することを目的とします。具体的には、顕微鏡探針の磁化状態の変調に強磁性共鳴を利用するという独創的なアイディアを導入し、磁気交換相互作用だけを分離して原子分解能で測定できるようにします。このような革新的な研究手法の出現は、磁性材料の原子スケールの機能発現機構を解明することを容易し、磁性研究の仕方を質的に変える可能性が高いと期待されます。
評価
事後評価結果
組織特異的生理活性物質を指標にした心筋分化細胞選別法 (融合分野:生化学分野と再生医療分野)
竹内 純(東京大学 分子細胞学研究所 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、特定組織や器官分化形成期における生理活性物質ATP分解酵素群が組織・領域特異的に発現することに着目し、心臓発生おける特定細胞運命決定機構を明らかにし、分化細胞を構築することを目標とします。具体的には、未だ不明である心臓構成細胞(心筋、ペースメーカー細胞、心臓幹細胞、刺激伝導系細胞、内皮細胞)の分化決定機構を明らかにしていきます。特定の細胞運命にプログラムされるメカニズムを解明し、分化誘導技術を開発することは、多くの組織再生、創生医学に大きく寄与すると考えられます。その中でも心臓心筋は壊死すると再生困難な細胞集団であり、心機能の低下による2次的な影響を生じ壊死が加速することからも、心筋再生、心機能回復に向けた研究は重要です。
評価
事後評価結果
生物時計移植による時間制御型薬物送達システム (融合分野:植物分子生理学分野と薬学分野)
寺内 一姫(立命館大学 生命科学部 准教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、生物時計を利用することで薬物投与を「必要な時」に行うための新規な時間制御型ドラッグデリバリーシステム構築の基盤開発を目的とします。具体的には、シアノバクテリアの生物時計遺伝子を導入した乳酸菌を作出し、乳酸菌内で治療用タンパク質の発現を時間的に制御することで、一定の時間周期で治療用タンパク質をヒト腸内で生産させる薬物投与送達システムの基盤構築を目指します。
評価
事後評価結果
全身のin vivo免疫細胞動態、機能可視化プロジェクト (融合分野:光科学・光学分析分野と蛍光プローブ開発分野と免疫学分野とコンピューターシミュレーション分野)
戸村 道夫(東京大学 大学院医学系研究科 特任助教)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
新規蛍光タンパク質発現マウスを用い、全身のinvivoレベルで免疫細胞の時間・空間・数量的な制御を可視化して評価するシステムを構築します。従来の細胞レベルの解析と組み合わせ、免疫応答制御の新たな概念の提唱を目指します。更に、免疫細胞の動態及び機能発現の時間・空間・数量的な制御機構をモデル化及び視覚化し、最終的に免疫系を緻密に制御された一つの統合された高次機能システムとして理解することを目指します。
評価
事後評価結果
人工合成分子の1分子メカノケミストリー (融合分野:一分子生物物理分野と合成分子機械分野)
野地 博行(東京大学 大学院工学系研究科 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、我々がこれまで開発してきた1分子ナノバイオ技術を、合成分子機械の研究に応用することで、合成分子機械の化学状態を1分子レベルで力学的に制御する「1分子メカノケミストリー」分野を創出することを目的とします。具体的には、ダブルデッカーやメタロポルフィリンの1分子計測・1分子操作を実施することで、回転ポテンシャルを実測し、反応速度を力の関数として実測し、より合理的な分子機械設計に還元させます。
評価
事後評価結果
ホストゲスト化学に基づく薬物送達システムの開発 (融合分野:ホストゲスト化学分野と薬物送達システム分野)
林田 修(福岡大学 理学部 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
狙った細胞に薬物を効率よく送り届ける分子システムを開発することを目的とします。具体的には、可逆的で”弱い共有結合”を利用して5個のシクロファンを連結したホストを合成し、クラスター効果を反映して薬物(ゲスト)を強く捕捉させます。さらに、細胞内へ送達させ、リソソームの弱酸性環境下においてホストが酸加水分解され単量体に解裂することで、クラスター効果の解消と伴に薬物が放出される薬物送達システムを構築します。
評価
事後評価結果
タンパク質ポリマー化の機構解明とタンパク質超分子の創成 (融合分野:タンパク質科学分野と超分子科学分野)
廣田 俊(奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 教授)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、タンパク質ポリマー化の機構解明とそれに基づいた新規タンパク質超分子の創成を目的とします。具体的には、タンパク質としてヘムを有するcytcを取り上げ、cytcにおける初期凝集体の構造をX線結晶構造解析やNMRなどにより見積もり、これまで不明であるcytcポリマー化の生成機構を解明します。そして、アミノ酸部位特異的置換法などにより、タンパク質多量体の形成制御を行い、新しいタンパク質超分子の創成を目指します。
評価
事後評価結果
In vivo神経活動・分子変化検出可能な蛍光顕微内視鏡システムの開発 (融合分野:実験脳科学分野と理論脳科学分野)
船曳 和雄(大阪バイオサイエンス研究所 システムズ生物学部門 研究副部長)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は、申請者が開発したinvivoで個々の神経細胞を観察可能な蛍光顕微内視鏡システムのレーザー光源、光検出部を蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)プローブの蛍光変化の検出に対応させることで、覚醒状態の動物の脳内でおこる神経細胞・神経回路の形態ならびに活動変化、さらにはFRET信号による分子変化を、細胞レベルの分解能でリアルタイムに捉えることを可能にする研究ツールを開発することを目的とします。
評価
事後評価結果
SHG顕微鏡とナノ・マイクロ力学試験を融合した非接触光応力測定 (融合分野:マイクロメカニクス分野と光計測分野)
吉木 啓介(兵庫県立大学 大学院工学研究科 助教)
研究期間(年度) 2009~2010
研究概要
本研究は生体組織中の内部応力を非接触、非侵襲に計測する応力顕微鏡の開発を目的とします。まず、任意の太さのコラーゲン線維を作成、把持します。次に、微小力学試験器によって応力負荷を与え、微小変形分布を計測したコラーゲン線維をSHG(第2高調波発生)光顕微鏡で観察することによって応力、歪みとSHG光信号の相関を求め、SHG顕微画像を応力分布画像に変換します。
評価
事後評価結果

2011年度採択

*所属・役職は採択時のものです

生理活性脂質リゾPSの免疫抑制機構の解析
青木 淳賢(東北大学 大学院薬学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
リゾリン脂質がGタンパク質共役型受容体を介してメディエーターとして機能することが明らかとなってきています。私達はこれまでリゾホスファチジルセリン(リゾPS)に関する研究を行い、リゾPS産生酵素、リゾPS受容体の同定に成功しています。また最近、リゾPSがマウスにおいて自己免疫疾患を抑制する作用を有することを見出しています。本研究において、リゾPSがどのようなメカニズムで機能を発揮しているのか明らかにすることを目指します。
高圧パルス噴霧による燃焼の高効率化
青木 秀之(東北大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
新燃焼法として着目されるパルス噴霧燃焼法の可能性を実験により検証し、高負荷かつ低環境負荷な噴霧燃焼を実現すべく検証します。60MPaを超える高圧パルス噴射燃焼では不輝炎が観察され、噴霧流で誘起される急速な乱流拡散作用により予蒸発予混合燃焼を実現していることが示唆されました。そこでパルス噴射の圧力、時間および間隔や燃焼用空気の混合制御によって、従来燃焼では得られない噴霧燃焼場を実現すべく実験的検討を行います。
共感覚クロスモダリティを用いたメディアデザインツール開発
浅井 信吉(会津大学 コンピュータ理工学部 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
共感覚現象のクロスモーダル・メカニズムのモデル化と、従来のWeb共感覚テストを拡張し、色のピックアップの後、質感・イメージの選択も可能なWeb共感覚テストを行い共感覚テストと共感覚色の特定、得られた共感覚クロスモーダルモデルと音楽理論のシンメトリー性を音楽イメージビジュアライザ・映像色彩編集ソフトに組み込み、共感覚のメカニズムを反映した音楽と色彩・質感のインタラクティブアートツールを開発します。
骨構造を模倣した三次元培養骨の構築
穴田 貴久(東北大学 大学院歯学研究科 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
生体外で血管網を有する骨組織を構築する技術は未だ確立されていません。本研究の目的は、生体内骨構造を模倣した三次元機能性培養骨のモデル構築及びその骨再生治療への応用です。我々は幹細胞活性化技術、骨再生材料合成技術、生体外血管構築技術を独自開発し、これらを集約、融合することで目的の達成を図ります。本研究により、骨形成機序解明や大きな骨欠損の迅速な再生への応用が期待できます。
網膜疾患動物モデルを利用した薬剤徐放システムの評価
阿部 俊明(東北大学 大学院医学系研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
新規デバイスを利用して強膜上から眼内に薬剤の精密で持続的な徐放を行い、動物モデルで網膜疾患保護効果を検討します。点眼では網膜へ薬剤が届きにくく、また眼疾患は高齢者に多く点眼ができなかったり全身への薬剤投与が困難なことがあり、超高齢化社会を迎えた日本では喫緊の課題です。これまで臨床応用の報告がなく網膜疾患以外にもさまざまな組織に応用できる可能性があり、疾病横断的な観点から見ても研究価値があります。
微生物資源としての粘液細菌株コレクションの構築
阿部 直樹(東北大学 大学院農学研究科 助手)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
新奇な生理活性物質の供給源として様々な生物資源が求められています。粘液細菌は可能性を秘めた生物資源の一つとして期待されていますが、自然界からの単離が容易でないことから、日本国内において大規模な菌株コレクションを保有している研究機関は存在しません。唯一我々が保有していたコレクションも今回の大震災に伴う長期間の停電で全滅してしまったことから、生物資源としての活用と提供を目的として、粘液細菌株コレクションの再構築と拡充を行います。
有機フッ素化合物合成のための遷移金属触媒探索
有澤 美枝子(東北大学 大学院薬学研究科 講師)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
有機フッ素化合物は医農薬あるいは機能性材料として広く用いられています。有機分子の特定の位置をフッ素原子で置換すると、薬効・機能が向上したり、毒性が低下するためです。しかし、従来のフッ素化には毒性・腐食性が強く安定性の低い試薬が用いられています。申請者の提案する遷移金属触媒法は、毒性・腐食性が少ない中性の化合物をフッ素化剤として用いる、有機フッ素化合物の新しい環境調和合成法です。
新規作用メカニズムにもとづく細菌感染症克服
有本 博一(東北大学 大学院生命科学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
人類の歴史は感染症との闘いの歴史でもあります。20世紀半ばの抗生物質発見は、私達の生活を劇的に向上させました。しかしながら、現在でも難治性の感染症は残っていますし、抗生物質に対する耐性も問題になっています。この研究提案では、これまで着目されてこなかった新しい作用メカニズムを使って、抗菌性を示す有用化合物を開発します。
画期的なヒト白血病モデルの開発
石井 直人(東北大学 大学院医学系研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
超免疫不全(NOG)マウスでは、拒絶反応が完全に欠損することから、ほぼ全てのヒト細胞が生着可能です。実際に、ヒト造血幹細胞(HSC)をNOGマウスに移植するとヒトリンパ球の正常発生・分化がマウス内で観察できます。本研究では、NOGマウスのこの画期的な特性を利用して、白血病癌遺伝子を導入したヒトHSCをNOGマウスに移植することにより、ヒト正常HSCが正常分化を逸脱し白血化するまでを生体内で解析可能な白血病モデルの確立を試みます。
PI3K/HDAC2重阻害作用を有する新規がん分子標的薬の探索
石岡 千加史(東北大学 加齢医学研究所 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
独自に作成した酵母を用いた薬剤スクリーニング系により、PI3KとHDACをともに阻害するようなシード化合物を同定しました。この化合物はPI3K/HDAC2重阻害剤として極めて有望です。難治性がんに対して有効な新しいがん分子標的薬の開発に繋がる可能性があるため、この継続してPI3K阻害活性の詳細な評価を行い、さらに構造活性相関の検討などから、より阻害活性の強い化合物を合成・探索します。
電子材料のための環状芳香族分子構造多様化
磯部 寛之(東北大学 大学院理学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
この研究は、電子材料のための環状芳香族分子構造多様化と題し、新分子設計と新合成戦略に基づき、有機半導体となる分子群を迅速に合成することを目指しています。この課題では、震災前後にまとめた成果を下地にし、震災による時間的損失を取り戻すために、多様な構造をもつ分子群を、効率的に構築する戦略を立てました。多様な分子構造から、有機エレクトロニクス分野の発展に資する新構造を見いだすことを目的とします。
パーキンソン病における青斑核の病態的意義
井樋 慶一(東北大学 大学院情報科学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
パーキンソン病では黒質ドパミン(DA)ニューロンの変性・脱落により運動障害が出現しますが、青斑核(LC)のノルアドレナリン(NA)ニューロンもまた変性に陥り、しかも、LCの変性は黒質に先行するといわれます。NAが黒質DAニューロン変性の防御にはたらく、という仮説を検証するために、私共の研究室で開発されたLC選択的NAニューロン破壊マウスを用いて分子生物学的および行動学的実験を行います。
いわきの魚メヒカリの生活史に関する研究
岩田 惠理(いわき明星大学 科学技術学部 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
メヒカリ(アオメエソ)は、福島県の底曳網漁業における重要な漁獲対象種で、特にいわき市では「市の魚」として指定され、市のイメージアップや水産物の消費拡大に大きく貢献しています。しかし、現在国内で漁獲されているメヒカリはすべてが未成熟魚で、繁殖生態をはじめとした生活史はほとんど不明です。そこで本課題では、メヒカリの回遊ルートや着底機構及び繁殖・発光生態を明らかにすることを目的として研究を実施します。
第二世代「超高活性アルコール酸化触媒」の開発
岩渕 好治(東北大学 大学院薬学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
アルコールの酸化反応は、医薬品、香料、化成品等の高付加価値化合物を化学合成する際の基本となる反応の一つです。しかしながら、酸化反応には、歴史的に重金属等の有害廃棄物を生じる反応が用いられてきました。本研究では、申請者らが開発した有機酸化触媒と空気をバルク酸化剤として用いた酸化反応の事業展開に向けて、触媒の大量供給を可能とする合成法を検討するとともに、その適用性を明らかにします。
ケイ素の高度活用を目指したケイ素クラスターの合成と物性探索
岩本 武明(東北大学 大学院理学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究では地殻中に豊富に存在するケイ素を基軸とする新物質を創製し、ケイ素化合物の潜在的物性を引き出すことを目的としています。具体的には、三次元的に広がったケイ素-ケイ素鎖のシグマ共役に由来する特異な物性を示すケイ素化合物群であるケイ素クラスターに着目し、穏和な条件下でこれらを合成する新たな方法の開拓と、精密合成されたケイ素クラスターの構造解析と物性の探索を行います。
強相関電子低次元ナノ構造による新デバイス原理の構築
岩谷 克也(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
最先端の実験技術を駆使して、真に原子レベルでオーダーした基板表面上に遷移金属酸化物薄膜を初期成長の段階から真に原子レベルで制御して成長させます。これにより、真に原子が規則正しく配列した強相関電子低次元ナノ構造を作製し、微視的・巨視的性質を明らかにすることによって強相関電子がもつ可能性を最大限に活かした物性発現を実現し、低消費電力型・新機能ナノデバイス原理の構築を目指します。
食虫植物の”記憶”現象に関与する分子の生物有機化学
上田 実(東北大学 大学院理学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
食虫植物ハエトリソウの捕虫運動は、捕虫葉中の「感覚毛」に30秒以内に二回触れると起こり、一回の刺激では決して起こりません。これは、植物における「記憶」とも言うべき現象です。ごく最近、我々は、運動を引き起こす分子を同定しました。2回の刺激でこの分子が段階的に分泌されることが、「記憶」の分子的本質と推定しています。この分子の標的細胞である”植物神経細類似細胞”を探索し、植物における「記憶」現象の解明を目指します。
ヒトでの新しいシナプス可塑性誘導法(OPS)の開発
宇川 義一(福島県立医科大学 医学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
長期的にヒトの中枢神経の機能を変化させる方法があると、神経疾患の治療に応用できる可能性があります。このため、ヒトの脳に可塑性を誘導する脳刺激の方法がいくつか提案されて来ました。これらの中で、最も効力があるものが、4連発単相性磁気刺激法(QPS)です。更に強力で、効果持続時間が長い可塑性を誘導できる刺激法として、8連発単相性磁気刺激法(OPS)の開発を試みます。この方法が開発されれば、脳血管障害から神経変性疾患に至るまで、多くの神経疾患での新しい非侵襲的治療法の開発が実現すると思われます。
ナノドットを利用した高効率結晶シリコン系太陽電池
宇佐美 徳隆(東北大学 金属材料研究所 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
太陽光発電を大規模に普及させ、安全なエネルギー源を確保するには、太陽電池の高効率化による発電コストの低減が不可欠です。本研究では、実用太陽電池の主流である結晶シリコン太陽電池に、ナノドット結晶を融合することで光吸収の増大をはかり、結晶シリコン系太陽電池の飛躍的な高性能化が可能であることを実証することを目指します。
プラズモニック構造体の形成とデバイス応用
内田 裕久(東北工業大学 工学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究は、プラズモン共鳴を利用するための構造体の形成法を開発し、磁気、光、電子に関連するセンサやデバイスへの応用を探索するものです。広い範囲でAu粒子のサイズと密度を制御するための粒子形成技術を開発し、磁気光学効果を増大させるためのAu粒子と磁性ガーネットとの複合体を作製します。これにより空間の磁界を可視化する磁界センサ、光検出センサ、空間光変調器などへの応用の可能性を検討します。
シリサイド半導体の育成と電気・光・磁気特性の探索研究
鵜殿 治彦(茨城大学 工学部 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
ベータ鉄シリサイド(β-FeSi2)を代表とするシリサイド半導体は,その多くが資源量が豊富で無害な元素で構成されるため、資源・環境リスクに対応するエコ・エレクトロニクス材料として期待されます。本研究では独自に開発した溶液温度差法によってシリサイド半導体単結晶を育成し、その電気・光・磁気特性の探索を行います。これによって光・磁気機能を集積したシリコン系デバイスの開発につなげます。
地震・津波流出土壌の生物浄化技術の開発
遠藤 銀朗(東北学院大学 工学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
地震によって崩落したり津波によって流出した有害なヒ素化合物を含む汚染土壌を、特殊な能力を備えた微生物と植物によって浄化するための研究を行います。崩落や流出した土壌中のヒ素化合物を酸化したり還元して植物に吸収しやすくする微生物の探索や、ヒ素を高度に吸収して蓄積する植物との協力関係を強化する方法の開発を行ったり、ヒ素化合物変換微生物による前処理工程を組み合わせた植物環境浄化技術の開発を目指します。
歯周炎分子標的治療法の開発
大島 光宏(奥羽大学 薬学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
歯周病、なかでも歯を失う歯周炎には確実な原因療法が存在していません。私たちは三次元培養法を用いて、歯周炎患者の歯肉にはコラーゲンを極度に分解する線維芽細胞が存在すること、すなわち歯周炎原因細胞が存在することを見出し、生体外歯周炎モデルを確立しました。このモデルの遺伝子発現変化を網羅的に解析することで、歯周炎の原因遺伝子が特定でき、原因療法を可能にする分子標的治療薬の開発ができると考えています。
脳腫瘍形成における神経堤由来細胞の関与について
大隅 典子(東北大学 大学院医学系研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
脳腫瘍は、脳細胞だけでなく頭蓋内に存在するあらゆる組織から発生し、多様な病態を示します。これまでに、胎生期に末梢神経系の元になる神経堤由来細胞が脳組織内に侵入し、毛細血管を取り巻く周皮細胞へと分化することが報告されていますが、我々は少数の神経堤由来細胞が周皮細胞以外の細胞に分化する可能性があることを明らかにしました。そこで本研究では、この幼若な状態を保持した神経堤由来細胞が、脳腫瘍形成に寄与する可能性について検証します。
生体内での新たなDNA断片化誘発機構
尾形 雅君(東北大学 大学院医学系研究科 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
マウス小腸絨毛上皮細胞の、DNA断片化誘発因子の探索とその局在、さらにその発現動態を免疫組織学的に解析します。さらに分離分取したinvivo刺激後のiIELについて同様にDNA断片化誘発因子の分子生物学的解析を行います。iIELの活性化によって引き起こされる絨毛全体の上皮細胞に短時間にDNA断片化誘導を惹起・連鎖する新たな機序を解明し、小腸絨毛上皮組織に存在するiIELの生物学的意義を考察します。
力刺激の受容反応系による循環制御、代謝制御
小椋 利彦(東北大学 加齢医学研究所 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
細胞は力刺激を受容し、反応するシステムを持っていますが、力刺激を感知する分子、生物学的反応への変換機構を含め、ほとんど解明されていません。申請者は、心臓をモデルに心拍や血流が作る力刺激が、心臓発生、循環恒常性の維持に果たす役割を解析し、力感知に直結する因子を複数見出してきました。本研究では、これら新しい力感知因子を使って、先天性心疾患の原因、循環制御と代謝制御のための新しい創薬ターゲットを探索、研究します。
巨大超弾性歪を生み出す鉄系形状記憶合金線の開発
貝沼 亮介(東北大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
最近、提案者らはFe-Ni-Co-Al合金の板材が、室温で15%にも及ぶ巨大な超弾性(ゴムの様な性質)を示し、振動エネルギーを効率的に吸収できることを確認しました。これは、建物を地震から守る制震部材として利用出来る可能性を示しています。しかし、実用的に広く利用しやすい線材では、材質が脆くなる欠点があります。そこで本研究は、Fe-Ni-Co基合金の化学成分や内部組織の制御により、線や棒材における巨大超弾性の実現を目指します。
高速構造化照明法に向けた最適照明パターンの探索
梶本 真司(東北大学 高等教育開発推進センター 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
溶液中を自由に動き回る生細胞や拡散するナノ構造体の可視化を目的として、高い時間分解能と高い空間分解能を同時に実現する、高速超解像顕微鏡の構築を試みます。特に、ナノ秒パルスレーザーと最適化された照明パターンを用いた構造化照明顕微鏡を実現することによって、ナノ秒程度の時間分解能で光の回折限界を超える分解能を持った顕微鏡を目指します。本研究では、特に最適照明パターンの探索に力を入れます。
分光イメージガイド用SERS基板の製作
片桐 崇史(東北大学 大学院工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
生体内ラマン分光イメージングの実現を目指し、不要光の発生を抑制した中空イメージファイバと、表面増強ラマン散乱(SERS)活性を有するレンズにより構成される超高感度分光イメージガイドの開発を行います。スパッタリング法により基板上に形成される島状金属薄膜の物理特性を明らかにし、イメージガイド開発の指導原理を確立します。
革新的プラズマナノプロセスによる高性能n型グラフェントランジスタの創製
加藤 俊顕(東北大学 大学院工学研究科 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究では、独自に開発したプラズマナノプロセスを活用することにより、様々な環境下で安定に動作するn型グラフェントランジスタを創製することを目的としております。本研究成果を応用することにより、グラフェンの極めて優れた諸特性を活用した次世代イノベーションの創成が大いに期待できると考えられます。
新しい水素化合物高温超伝導物質の創製
加藤 雅恒(東北大学 大学院工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
最も軽い元素である水素を含む化合物では、極めて高い振動数で水素原子が振動するため、銅酸化物高温超伝導物質を超える超伝導転移温度を有する最も有力な候補物質です。本研究では、まず、危険な水素ガスボンベの代わりに還元剤を用いて、簡便で安全な水素化合物合成法を新しく開発します。そして、この手法を用いて種々の水素化合物を合成し、その基礎物性を調べ、水素化合物における高温超伝導物質創製の指針を構築します。
園芸生産用の発光ダイオード照明装置の開発と利用
金浜 耕基(東北大学 大学院農学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
市販の発光ダイオード(LED)照明装置は、青色と緑色と赤色の光から白色光を作っていて、白熱電球や白色蛍光灯と比べて格段に省エネルギーであることから急速に普及しています。しかし遠赤色光が含まれていないので、園芸生産現場で昼の時間帯を長くする(日長延長)目的に利用されている白熱電球の代替光源とはなりません。この点について提案者らは、省エネルギーで日長延長効果の高いLED照明装置を試作したので、その実用性を試験します。
オーダーメード型特異的殺菌剤作出技術開発
金子 淳(東北大学 大学院農学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
ファージ療法は抗生物質に頼らない次世代感染症対策実現への一つの解答ですが、ファージの管理の問題やファージによる生態系汚染、病原因子の伝播のリスクが避けられません。本研究では、申請者らが発見した生態系の汚染や病原因子の伝播を起こさないファージ尾部のみで殺菌活性を持つバクテリオシン(Ctv)とその宿主認識機構に関わる研究成果を活用し、Ctvを基盤としたオーダーメードの特異的殺菌剤作出技術を開発します。
携帯型無線BCI装置の開発と実用化
加納 慎一郎(東北工業大学 工学部 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
日常生活環境下で使用可能なBCI(ブレイン・コンピュータインターフェース)の開発とその実用化のための研究を行います。まず、脳波を計測し無線でPCに伝送する、携帯型脳波計測装置を開発します。また、少ない電極から得られた脳波から高い精度で情報を検出するための信号の計測・解析の方法を検討します。さらに,開発した携帯型BCIシステムの動作検証を日常生活環境下で行い、本システムの有効性を示します。
水溶性機能物質の開発と生体分子への応用
金原 数(東北大学 多元物質科学研究所 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
タンパク質、核酸などの生体分子を安定化し活性を制御する物質の開発は、特に医学や生物学的な研究分野で強く望まれています。これらの生体分子のほとんどは水中で機能しますが、その制御に利用できるような水中で機能を発揮できる水溶性有機化合物の開発は十分に行われていませんでした。これを踏まえ、本研究課題では広範な生体分子に適用可能な水溶性機能物質の基本骨格となる分子設計を新たに提案し、実際の特性を検討します。
UMS技術による機能性ガラス材料の評価法の開拓
櫛引 淳一(東北大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
超音波マイクロスペクトロスコピー(UMS)技術を機能性ガラス材料の評価に適用します。市販の合成石英ガラスインゴットの均質性を評価し、仮想温度評価法としての有用性を実証し、屈折率分布の小さいガラスインゴットの作製に貢献します。また、UMS技術により超均質TiO2-SiO2超低膨張ガラスを開発し、それを用いて光キャビティーを作製し、長期的・短期的安定性に優れた光キャビティーを実現します。
衛星画像データベース再開と黄砂の可視化
工藤 純一(東北大学 東北アジア研究センター 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
今回の震災で被災した気象衛星ノアの直接受信を再開することで、1990年から本学で行われている「国立大学法人東北大学ノア画像データベース」の公開を再開します。そのために、最小限の受信システムの復旧とデータサーバの再構築を行い過去のデータまで救出を試みます。また、得られたノアデータより、気象の非専門家でも容易に理解できるような黄砂の可視化解析方法を確立します。さらに、MODISデータへの応用研究を行います。
金属資源回収のための生物資源ライブラリ構築
久保田 健吾(東北大学 大学院工学研究科 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究では、廃水から金属資源を、微生物を用いて効率的に回収する技術の開発(環境メタルバイオテクノロジー)を行います。その一環として本プログラムでは、1.廃水処理汚泥の微生物群集構造を明らかにする、2.メタゲノム解析のためのライブラリを構築する、3.金属蓄積・耐性微生物のカルチャーコレクションを構築して、それらの生理学的特徴を明らかにすることで、生物資源ライブラリの構築を行います。
自然免疫系を制御する新規シグナル伝達経路
倉田 祥一朗(東北大学 大学院薬学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
自然免疫系は、感染防御の要をなす免疫系です。近年では、自然免疫系が、感染症のみならず、慢性炎症疾患や、ガン転移、生活習慣病などとも深い関わりがあることが示されてきています。したがって、それらの疾患の理解と、それを標的とした創薬を考える際には、自然免疫系の解明は不可欠です。本研究では、申請者が見いだした新規シグナル伝達経路による自然免疫系の制御を明らかにします。本研究の社会への影響は大きく、医学・創薬の分野で様々な技術革新をもたらすことが期待できます。
ローカルなハイブリッドパワーサプライシステム
呉 国紅(東北学院大学 工学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
ローカルな地域(公共施設、町、工場、商業ビル、住宅等)を対象とし、再生可能エネルギー発電の安定利用かつ電力系統状況に依存せずに自立運転可能な、簡易で低コストの小規模電力供給システムの研究開発を行います。特徴としては、交流と直流電力を同時に供給できるハイブリッド構成、電力貯蔵による電力品質の確保及び負荷シフト、電力系統への影響の低減および系統側の要請に応じて出力可能で系統安定化に貢献できる点などが挙げられます。
高効率電力デバイス用の新規電極材料開発
小池 淳一(東北大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究で扱うSiC半導体は、電源システムやモーター駆動システムにおいて、電力変換や電力制御を高効率で行うための新規省エネルギーデバイスとして期待されています。本研究では、炭化物形成元素からなる多層膜電極を作製し、電極とSiCとの界面における密着性とオーミック特性を調査し、次世代SiCパワー半導体用新規電極材料を開発することを目的とします。
半導体を用いたスピンフィルターの構築
好田 誠(東北大学 大学院工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
半導体のみを用いたスピン生成・検出を実現するため、スピンフィルターを構築します。その実現に向け、半導体における内部有効磁場に着目し研究を進めてきました。電子スピンが磁場勾配の中を通過した場合、上向きスピンと下向きスピンを空間的に分離することが可能となります。この原理を適用し、半導体内で生じる内部有効磁場に空間勾配を生み出すことで、偏光や強磁性体そして外部磁場を必要としないスピン分離手法を確立します。
バイオ人工膵島のための医療用ドナー動物の構築
後藤 昌史(東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
バイオ人工膵島は、次世代糖尿病療法の一つです。ドナー動物としては、倫理・生理的背景からブタが最適でありますが、ブタは膵島分離が最も困難な哺乳類です。申請者等は、高品質な膵島を大量に回収するために、レーザーマイクロダイセクション及び質量分析システムを活用しブタ膵臓のマトリックス組成の解析を行ってきましたが、震災により解析用サンプルの一部を消失しました。本研究では、膵島提供に至適化された医療ブタを構築するための基礎データを収集する事を目的としています。
高度に歪んだフタロシアニンを用いた超分子構造の構築と物性制御
小林 長夫(東北大学 大学院理学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
平面構造を持つフタロシアニン分子は重なり合うことで、電気伝導性などの特性を示すことが知られています。また球状分子であるフラーレンも同様の性質が知られていますが、こちらを規則正しく配列させることは困難です。そこでサドル型に歪んだ構造を持つフタロシアニンを、フラーレンと混ぜることで、これらの分子の規則正しい配列を試みます。また本研究では両方の分子の性質をうまく利用することで新規な物性の発現を試みます。
マグネトプラズモニック構造体の磁化のダイナミクス
齊藤 伸(東北大学 大学院工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
超Tb/in2級超高密度磁気記録システムの実現には、ナノサイズの単磁区磁性結晶粒(スピンクラスター)を整然と並べた構造体を媒体とし、超高速化を図った読み出し/書き込み技術を実現しなければなりません。本研究では、光-原子スピン相互作用を利用した新原理に基づく書き込み技術の可能性を追求するため、局在プラズモンを励起したスピンクラスター中でのスピンダイナミクスを把握することを目指します。
膵島機能を評価するための超音波検査法の開発
坂田 直昭(東北大学 肝胆膵外科 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
膵島移植は、重症の糖尿病患者さんにドナーの膵島を移植し、良い血糖のコントロールをはかる糖尿病の新しい治療法ですが、現状では、いろいろな原因により移植された膵島が失われます。そのため、移植された膵島が患者さんの体内で働いていることを知るための検査は、膵島の状態に応じた治療を行う上で重要と考えます。今回の研究で私たちは、超音波検査(エコー)を使って、移植された膵島を確認する検査手法の開発を目指します。
ハーフメタル高スピン偏極電流源を用いた新規ナノサイズ熱電冷却素子の開発
桜庭 裕弥(東北大学 金属材料研究所 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究の目的は、ナノピラー化したハーフメタル/非磁性体の積層素子において、ハーフメタル層から高スピン偏極電流を非磁性層に注入した際に生じる冷却効果を観測することです。震災によりリソグラフィー装置が使用できないおよそ半年間を利用し、新規ハーフメタル材料の開拓と熱電効果を光学的に直接観測する測定系を構築することにより、装置復旧後に効率的な研究遂行をするための基礎を構築します。
高解像度PETによる骨代謝動態ならびにFEA骨内応力解析を応用したインプラント治療における骨メカノバイオロジーの解明
佐々木 啓一(東北大学 大学院歯学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
歯根インプラントや人工関節を取り囲む骨には、機能時に大きな力が加わり、その結果、骨の吸収などを起こします。これは時にインプラントの脱離や骨折などの原因となります。本研究は、放射性同位体を用いた画像(PET)による骨代謝動態、骨内部の力解析(FEM)などの先端的手法を駆使し、力による骨改造を定量的、経時的に評価することにより、力による骨制御機構を利用した革新的なインプラント治療の開発に役立てます。
石灰化と骨成熟におけるMMPの役割の検討
笹野 泰之(東北大学 大学院歯学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
骨芽細胞と骨細胞が未熟な骨を特徴づける基質タンパクを細胞外基質分解酵素MMPで分解し、石灰化を促進して骨を「硬く」成熟させるという私たちの仮説を検証することを目的とします。ラット胎児頭蓋骨の成長過程を研究対象として、MMPファミリーの酵素活性を一括して阻害し、ミネラルの沈着と結晶構造へ与える影響を検討します。さらにMMPの作用で分解されて生じる骨基質タンパク分解産物の特性について検討します。
酸化ストレス制御による新しい心血管病治療法
佐藤 公雄(東北大学 大学院医学系研究科 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
心血管病の成因には、酸化ストレスが重要因子として働いていると考えられています。酸化ストレスは新しい炎症蛋白サイクロフィリンAの分泌を促進し、各種の心血管疾患を促進することを、これまで動物モデルで示してきました。本研究では、そのメカニズムをより詳しく解き明かすことを目的としております。サイクロフィリンAによる酸化ストレス増幅系に焦点し、その制御機構の解明と新しい治療法開発を目指します。
水素化による準結晶の局所構造変化の解明
佐藤 豊人(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
可逆的に水素を吸蔵・放出するTi-Zr-Ni系準結晶について水素化後の構造及び水素化前後の局所的な構造変化はいまだに未解明です。そこで、本研究の目的は、非晶質の構造解析に非常に有効である中性子全散乱実験から二体分布関数を導き解析する手法(PDF解析)とリバースモンテカルロ法をこのTi-Zr-Ni系準結晶水素化物の構造解析法に取入れ、水素化前後の局所的な構造変化から構造解析を行うことです。
生殖細胞系列完全連続培養法確立を目指す幹細胞の受精可能卵子への分化誘導技術の開発
佐藤 英明(東北大学 大学院農学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
「幹細胞からの受精可能卵子の分化誘導」を目標として萌芽的な研究を進めつつありましたが、今回の地震でこれらの研究基盤となる機器や実験資材が損壊を受けました。そこで今回申請する研究費により、研究基盤を復旧させて、「生殖細胞系列連続培養法確立を目指す幹細胞の受精可能卵子への分化誘導技術の開発」に挑戦することを可能にしたく思っています。特に始原生殖細胞(PGC)から受精可能卵子を分化誘導させる技術開発を目標としています。
溶融塩電解による珪化モリブデン皮膜の形成
佐藤 讓(東北大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究は、ニッケル基超合金などの耐熱材料の耐酸化性を向上させるために、材料表面に珪化モリブデンの耐酸化性皮膜を形成することを目標とします。具体的には、モリブデンおよびシリコンの電解析出が原理的に可能な溶融塩電解法を用い、ニッケル等の基材に珪化モリブデンの皮膜を形成します。そのために、溶融塩中のイオンの電気化学的挙動を解析し、それに基づき皮膜の形成実験を行います。
放射能建屋内ロボットの五覚センシングを開発
島田 邦雄(福島大学 共生システム理工学類 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
震災により被害を受けた福島県の原子炉建屋内における高濃度の放射線内でロボットが作業出来るようにするために,本申請者がこれまで研究してきた五覚(触覚、温覚、冷覚、圧覚、痛覚)を感知できるMCFゴムからなるセンサをロボットハンド等に搭載した時における、温度を検知したり、せん断力を感知出来るセンシング技術の開発研究を行います。これによって、ネジ回しや高温物体接触するなど困難な作業を可能にすることを目指します。
耳石分析と産卵場調査によるニシン生態の解明
白井 厚太朗(東京大学 大気海洋研究所 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
重要水産魚種であるニシンに関して、(1)卵から成魚産卵期までの回遊経路や水温・水質などの四次元回遊生態の履歴を耳石の分析により明らかにし、(2)産卵生育域である海洋沿岸環境が津波後どうなっているかを現地調査により把握する事で、ニシン資源量がどのようなメカニズムで変動するのか、資源管理のために何が必要なのか、そして津波によりニシン資源が今どのような状態で、今後どうなっていくのかを明らかにします。
次世代型バイオエタノール生産酵母株の開発
新谷 尚弘(東北大学 大学院農学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
木質系バイオマスはグルコースとキシロースを主成分とします。元来発酵できないキシロースをエタノールに変換できる酵母が開発されていますが、グルコース存在下でキシロースの取込みが抑制されるグルコース効果が観察されます。本研究ではキシロース代謝に対するグルコース効果をトランスポーターやキシロース代謝酵素の分解制御という側面からアプローチし、グルコースとキシロースを並行発酵できる高効率酵母の作出を試みます。
エリスロポエチン遺伝子におけるクロマチン制御系
鈴木 教郎(東北大学 大学院医学系研究科 講師)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
エリスロポエチン(EPO)は、腎臓で産生・分泌され、赤血球増殖因子としてはたらきます。その産生量は、遺伝子の転写の段階で厳密に制御されており、低酸素ストレスによって発現レベルが著しく亢進することが知られています。本研究では、EPO遺伝子の発現変動に伴うクロマチン構造の変化を明らかにし、転写制御の2大要素である組織特異性とストレス誘導性を規定するクロマチン制御系の理解を進めるとともに、成果を貧血治療法の開発に繋げることを目指します。
白亜紀中期の超温暖化による環境・生態系変動解明
高嶋 礼詩(東北大学 学術資源研究公開センター 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
白亜紀中期の9410~9385万年前には、現在に匹敵する急速な二酸化炭素濃度の増加による”超温暖化事件”が起こったことが知られています。本研究は、この時期に堆積した地層の堆積物の化学組成、微化石群集、化石の殻の安定同位体組成などを高解像度で解析することにより、当時の陸域、浅海~深海のそれぞれ異なる環境でどのように気候・環境・生態系が変化したかを高解像度で解析する「極限温暖期の全環境復元」を行います。
生体内の膵臓β細胞の新生効率測定方法の確立
高橋 智(筑波大学 大学院人間総合科学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
この研究では、マウス体内でインシュリンを産生する膵臓β細胞がどの程度あるか、インシュリンを産生する能力がどの程度あるかを、マウスを生存させたまま体外から測定する方法を、蛍光イメージングの技術を利用して確立することを目的としています。その方法を用いて、体内でβ細胞の新生を促進するする薬剤や遺伝子治療法をスクリーニングし、糖尿病に対する有効性のある再生医療現実を推進させたいと考えています。
肝再生医療に向けた肝前駆細胞の増殖機構の解明
滝川 康裕(岩手医科大学 医学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
肝は本来,旺盛な再生能を持つにもかかわらず,重症の肝炎では,時として再生が進まず致命的な結果をもたらします.重症肝炎では肝前駆細胞と呼ばれる細胞が増殖しますが、この細胞の増殖能は決して高くはありません.今回の研究では、重症肝炎の血液の中のどの成分がどのような働きで、この細胞の増殖を促しているのかを突き止めることにより、最終的に.正常な肝細胞の最適な増殖環境を解明する足がかりにしたいと思います。
多バンド型多成分超伝導の位相的ソリトン
田中 康資(産業技術総合研究所  研究員)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
エレクトロニクスに登場する量子位相は、電磁場と一体化し、電磁的U(1)ゲージ場と呼ばれます。超伝導が持つただ一つの量子位相はこの電磁的ゲージ場でした。しかし、多バンド超伝導体では、バンド毎に量子位相が定義でき、量子位相が複数になります。このような超伝導は多バンド型多成分超伝導と言われ、磁束の量子化条件が変わるなど、特徴的な事が起きます。本研究では、その実験的制御法や観測法を研究します。
新p53安定化因子の作用機構の解明と創薬
田村 眞理(東北大学 加齢医学研究所 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
私共はタンパク質脱リン酸化酵素の一種であるPP2Cδが、癌抑制遺伝子産物であるp53の新規の安定化因子であることを見出しました。本申請では、震災により損壊・損失した備品の再整備と生物研究資材の再調製や購入を行って、PP2Cδによるp53安定化機構の研究を継続して推進することを提案致します。本研究によりPP2Cδによるp53の安定化の仕組みが解明され、新規制癌剤の開発に繋がることが期待されます。
電子ビーム積層造形による人工関節成形の高度化
千葉 晶彦(東北大学 金属材料研究所 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
電子ビーム積層造形(EBM造形)技術は人工関節などの医療用製品の標準的な製造法として普及しつつあります。申請者の研究グループはネットシェイプ加工法で製造されたコバルト合金製人工関節の高強度化を熱処理技術のみで行うことを可能にする技術を有しています。当該技術をベースとしてEBM造形技術と新規な熱処理技術を融合させ、高強度コバルト合金製人工関節製造技術に関する学理と造形加工・材料技術開発を行います。
新規癌抑制分子の機能解析による癌治療法の開発
千葉 奈津子(東北大学 加齢医学研究所 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
家族性乳癌原因遺伝子産物BRCA1の関連分子を同定し、その機能を解析したところ、細胞分裂において重要な働きをすることが明らかになりました。本プログラムでは、本分子の細胞分裂制御機構と癌抑制機構を生化学的・細胞生物学的に解析し、さらにノックアウトマウスの作製により、個体レベルでの機能と発癌メカニズムへの関わりを解析します。また、癌の診断や治療のバイオマーカーや治療の分子標的としての可能性を探索します。
ヒト特異的輸送機構の解明による脳関門の種差の克服
寺崎 哲也(東北大学 大学院薬学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
独自に開発した定量的標的プロテオミクスによるヒト脳関門解析の結果、脳関門におけるトランスポーターのタンパク質発現には、マウスとヒトの間で質的・量的な種差が存在する事を明らかにしました。本研究では、新規に見出したヒト特異的脳関門トランスポーターの基質薬物と膜局在の同定によってヒト脳関門での役割を解明し、さらにヒト脳関門での輸送活性予測系の基盤を開発することで薬物脳移行性の種差克服を目指します。
基質認識型超強塩基性有機分子触媒による高度分子変換
寺田 眞浩(東北大学 大学院理学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
環境負荷の軽減を目的とした高度分子変換法の開発は、モノづくりの原点を支える有機合成化学において重要な課題の一つとなっています。本研究は、ブレンステッド塩基、なかでもこれまで触媒としての利用がほとんど検討されていない超強塩基性有機分子に着目し、不斉認識や分子認識などの基質認識能を付与した「超強塩基性有機分子触媒」を設計開発することで、「先例の無い触媒活性」「高い立体選択性」「回収再使用系の構築」を実現することを目的とします。
タンパク質間相互作用を阻害する化合物の創製研究
土井 隆行(東北大学 大学院薬学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
タンパク質間相互作用を阻害する小分子化合物について、本研究ではこの化合物をもとに多置換型芳香族化合物ライブラリー構築法を開発し、コンビナトリアル合成による類縁体化合物ライブラリーを合成し、有用なシード化合物を見出すことを目的とします。
瞳孔反射に関与する脳内部位の特定
富田 浩史(東北大学 国際高等研究教育機構 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
緑藻類より見出されたチャネルロドプシン-2(ChR2)を神経細胞に発現させることによって、光感受性の神経細胞を作ることができます。本研究では、瞳孔反射や概日周期を制御する脳内部位を特定するために、脳内局所にChR2を導入し、光刺激を行うことによって、その部位の役割を明らかにすることを目的としています。
30nm分解能で実時間観測できる軟X線高倍率顕微鏡の開発
豊田 光紀(東北大学 多元物質科学研究所 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
波長20nmから2nm程度の軟X線は可視光より短波長であり、原理的に数10nmの空間分解能が得られます。また、波長2.2-4.4nmの水の窓領域では厚さ数µmの生体試料を染色・脱水処理せずに生きたまま観察できます。このため、軟X線顕微鏡は生体・多元物質や磁性材料等の試料でナノスケール構造の動的変化をビデオ観察できる究極の光学顕微鏡として注目されています。本提案では、独自に考案した多層膜光学系をさらに発展させ、実験室環境でも安定して回折限界分解能(30nm)で観察できる低収差かつ高結像倍率(1000x)をも
チタン合金の生体適合表面加工プロセス開発
仲井 正昭(東北大学 金属材料研究所 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
生体用β型チタン合金中において汎用塑性加工法の施行では認められない特異相が高圧ねじり加工により形成することが最近見出されました。この特異相は、エッチング溶液により腐食されないことから優れた耐食性を有する可能性があり、耐食性と関連づけられる毒性・アレルギー性が極めて低いことが期待されます。そこで、本研究では、特異相の形成制御法を確立し、生体用β型チタン合金の生体内安全性の飛躍的改善を試みます。
震災後の心臓病と血管病の実態調査
中村 元行(岩手医科大学 医学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
今回の自然災害により大きな精神的・身体的ストレスに晒された地域の住民に、どのような心臓病や血管病がどの程度増減したかを過去の状況と比較し、被害地域全体を調査して明らかにします。また、その病後の様子(予後)がどのようになったかに関しても調べます。この結果を元にして、今後このような災害時の心臓病や血管病に対してどのような医療対策をとるべきかを明らかにします。
アモルファス合金ナノファイバーの創発
中山 幸仁(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
アモルファス合金ナノワイヤやナノファイバーはカーボンナノチューブやSiナノワイヤ等の結晶質から成る一次元ナノ構造とは全く異なるユニークな新実用ナノ機能性材料として期待を集めており、CO2固定化技術に用いられる新しいタイプの触媒開発を視野に入れ、ナノファイバーを触媒として活用するための基礎的知見を得ることを目的とします。
東北地方における窒素過多塩害農地の土壌改良手法の開発
西村 修(東北大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
日本の農地は窒素過多による国土肥満化が確認されています。沢川へ流出した窒素は湖沼・貯水池などで有害な植物プランクトンを発生させる主要原因であり、飲料原水の安全性の低下という深刻な水資源問題が生じています。本研究では、従来の窒素過多問題に加え、今回の震災で新たに生じた塩害問題の同時解決を目標としており、衛星画像解析による広域の土壌負荷情報および試験栽培した窒素過多塩害土壌における農作物成長データに基づいた東北地方の農地土壌改良手法の開発を目指します。
自己免疫性脱髄疾患の髄液診断マーカー
橋本 康弘(福島県立医科大学 医学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
視神経脊髄炎は進行が早く、数週間の間に失明する重篤な疾患です。診断は血清アクアポリン4抗体の検出によりますが、これは培養細胞を使った高難度の検査であり、臨床ニーズに対して迅速な対応が困難です。我々は予備実験により、髄液に特徴的なGP-Aタンパク質が本疾患で上昇することを見出しました。本研究の目的はGP-Aを診断マーカーとして確立し、GP-Aの病的意義を調べて新たな治療ターゲットとして検討することです。
逆X線光電子ホログラフィー装置の高度化と応用
林 好一(東北大学 金属材料研究所 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
大型放射光実験施設でしか実現できなかった原子分解能ホログラフィー技術を、一般の電子顕微鏡において実現できる逆X線光電子ホログラフィーを提案しました。ここでは、システムの要となる高精度ステージやX線検出器を大幅アップグレードすることによって、半導体チップにおける一素子など、極めて微小な薄膜試料に対しても測定できるように、装置の最適化開発を行います。また、応用研究として室温強磁性半導体薄膜を測定し、逆X線光電子ホログラフィーの実力を示します。
有機合成を基盤とする天然物の新機能・新物質の創製
平間 正博(東北大学 大学院理学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
様々な生理・生物活性を持った天然有機化合物は、構造も活性発現機構も人知の及ばない興味深いものであることが非常に多い。本プログラムで申請者は、複雑で不安定な構造を有しながらかなり普遍的に存在し、物理有機化学的にも非常に興味深い構造と活性の相関を持つクロモプロテイン系エンジイン化合物、神経毒シガトキシンTX1Bおよびカゴ型複雑分子であるリモノイドの人工合成、分子レベルでの活性発現機構の解析、新物質・新機能の創製を行います。
容易に遠隔操作可能な震災復旧支援ロボット
福岡 泰宏(茨城大学 工学部 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
申請者は、キャタピラ車両の上に人型上半身をつけた遠隔操作型ロボット”鉄”を開発しており、これにより、震災被害建物内での瓦礫除去・搬送・ドア開閉などの「作業」だけでなく、震災で崩れた瓦礫や倒れた物の上・階段などの「障害物走破」をも、ロボットと遠隔操作者の上半身が同期して同じように動くマスタスレーブ操作法で行うことで、誰でも簡単に操作できる災害復旧支援ロボットの実用化を目指しています。
三次元LSI積層用ウェーハ転写技術の開発
福島 誉史(東北大学 未来科学技術共同研究センター 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
微細化に頼らず高性能化と省電力化を両立できる三次元積層型集積回路を安価に高い信頼性を備えて作製するための基盤となるウェーハ転写技術を開発します。ウェーハ転写は、被着体に仮接着したウェーハを研削により薄化して高温工程を経た後、剥離して別のウェーハに貼り返え積層する技術です。精密に分子設計した耐熱性接着剤、被着体、剥離液を用い、新しい剥離原理を導入してこの高度な「貼って剥がす」技術の創出を目指します。
脳発達障害モデルを用いた新規創薬基盤の開発
福永 浩司(東北大学 大学院薬学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
脳発達障害には注意欠陥多動性障害(ADHD)、精神遅滞、広汎性発達障害および軽度脳障害(学習障害、コミュニケーション障害等)があります。ADHDを除いて薬物治療法は確立していません。本研究では精神遅滞と広汎性発達障害(自閉症)に焦点を絞って、薬物治療の基盤を開発するために脳障害モデル動物の開発と発症機構の解明を目指します。さらに、脳発達障害モデルを用いて新規脳機能改善薬を開発します。
臨床的放射線耐性機構の解明と克服に向けた基礎研究
福本 学(東北大学 加齢医学研究所 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
標準的な放射線療法と同じ、X線2Gy/日を30日間以上照射し続けても増殖する臨床的放射線耐性細胞を樹立し、耐性獲得機構を明らかにしました。耐性細胞をヌードマウスに移植した腫瘍も耐性を示しました。親株腫瘍に比べて、耐性腫瘍では腫瘍血管の密度が高く血流が多いことが示唆されました。低酸素腫瘍は放射線抵抗性であることと矛盾します。放射線に対する生物応答の解析に重点を置いて、放射線耐性の分子機構の解明と臨床応用を目指します。
スターチテーラリングの食品加工への応用
藤井 智幸(東北大学 大学院農学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
デンプンを利用した食品製造における加工ニーズに自在に対応することを目的とした「スターチテーラリング」のコンセプトを米粉で実現するために、糊化度を調整した米粉を作成し加工特性との関係を解明します。そして、離水を抑制しながらカマボコ状製品を製造する新規プロセスを開発するとともに、米粉の糊化度と添加量を操作パラメータとして最適条件を探索し、そのプロセスで製造された高付加価値製品を水産加工事業者に提案します。
植物の高二酸化炭素環境への適応分子の探索
藤井 伸治(東北大学 大学院生命科学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
高CO2濃度環境下において通常の植物に比べてより高い光合成能力を植物に付与できる技術の創出は、大気中のCO2濃度を減少させ、低炭素社会の実現に大きく貢献すると考えられます。そこで、本研究では、分子生物学のモデル植物であり、ゲノム基盤が完備されているシロイヌナズナを用いて、高CO2環境下でより高い光合成能力を持つ突然変異体の探索を行います。
ナノポーラス金属のエネルギー貯蔵デバイス
藤田 武志(東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
脱合金化プロセスとは、電解液中で合金中の特定の元素のみを溶出する方法です。近年、脱合金化プロセスで作製したナノポーラス金属には、バイオ、化学、物理分野にまたがって大きな学術領域が形成され、大きな可能性・潜在性が秘めらていることがわかってきました。本研究では、経済効率的なナノポーラス金属と機能性セラミックス粒子との複合材料を用いることで、高性能かつ実用的なエネルギー貯蔵デバイスを提案します。
水質情報に基づく水道管老朽化診断手法の構築
藤田 昌史(茨城大学 工学部 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
水道管ネットワークから採水して、Feを中心とする水質情報から、水道管の老朽化状況を診断する手法を構築することを目指します。1.水質情報と腐食劣化度のデータベース化2.老朽化診断の解析能の評価に主眼を置き、本手法のフィージビリティーを示すことを研究目的とします。1.では、未知の水質情報から腐食劣化度を推定するための情報を得ます。2.では、水質情報の代表性や診断可能な距離間隔を明らかにします。
光学整合法による超透明結晶化ガラスの研究
藤原 巧(東北大学 大学院工学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
物質・材料の新たな機能は新規な構造制御から発現します。この構造制御にガラスは限りない多様性を持っています。本研究では、材料科学の未踏領域であるガラス結晶化に挑戦し、独自の材料デザインにより、従来にはない高透明性を持つ結晶化ガラスを開発します。通常の単結晶材料では困難な高次構造によって、ガラスを舞台として「結晶機能とガラス特性を併せ持つ夢の材料」が実現できる革新的な材料創製アプローチを確立します。
創薬を目指すATPaseの回転触媒と細胞機能
二井 將光(岩手医科大学 薬学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
代表者は生物エネルギーの研究で成果を上げてきました。本研究では、プロトン(H+)を輸送する酵素(ATPase)の回転を伴うユニークな反応機構を微小金粒子を用いて、タンパク構造と対比して詳しく明らかにします。酵素を構成するサブユニットとアミノ酸残基の役割とを明らかにし、阻害する抗生物質やポリフェノール、阻害機構の研究を通じて創薬の為の探索系を構築します。さらに、細胞や組織のレベルでATPaseの機能を明らかにします。
シグナル伝達スイッチとしてのキナーゼ複合体に関する研究
本間 美和子(福島県立医科大学 医学部 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究は、生体における代謝機能の改善とシグナル異常疾患の理解を目的として、シグナル伝達系の分子スイッチとして機能するリン酸化酵素(以下、キナーゼ)の特異性がどのように決定され、またその活性が制御されるメカニズムについて、生化学ならびに構造化学的な観点からプロテオミクス技術を用いて明らかにします。シグナルの時系列に対応するキナーゼ複合体構成要素と活性制御の仕組みを明らかにすれば、病態の解明、診断・治療法の確立等へ資する情報を得ることができ、情報伝達系をターゲットとする創薬への道を拓きます。
水素化したジルコニウム合金の変形機構領域図の構築
松永 哲也(東北大学 金属材料研究所 助教)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
燃料被覆管ジルコニウム合金は、腐食反応等で生じた水素を吸収し水素化物が形成されることで脆化します。しかし水素化した合金の変形機構について詳細な調査はなされていません。そこで本研究では、水素化物と転位の相互作用に注目し、同合金の変形挙動の温度及び水素吸収量依存性を明らかにします。そして変形機構領域図をジルコニウム‐水素系で作成して、燃料被覆管の機械的性質を予測する基礎データを構築します。これは、通常運転時や事故時の燃料被覆管の挙動を知る上で、重要な知見となります。
ナノ粒子のサイズ−構造相関マップの系統的解明
美齊津 文典(東北大学 大学院理学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究では、構成粒子数(サイズ)100個以上までのナノ粒子・クラスターイオンをサイズと構造(異性体)毎に分離して分光法を適用し、世界で初めてサイズと異性体構造の相関図を作成します。これによってナノ粒子のサイズ・構造を整理して、電子状態や反応性などを解明するための指針をつくります。本研究の結果、機能性を持つナノ粒子の探索を系統的かつ網羅的に、試行錯誤することなく行うことが可能となります。
リボソーム工学に基づく細胞機能の多様化
宮崎 健太郎(産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 研究員)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本課題では、大腸菌を宿主とした細胞機能の多様化に関する技術開発を行います。より具体的には、リボソームを構成する因子の遺伝子変異などを通じ、翻訳プロファイルを大規模に改変する技術を開発します。また、代謝機能の変化した大腸菌変異株の選抜とライブラリー化を行います。こうして開発されるリボソーム工学に基づく細胞創成技術を微生物による物質生産などに活かしていきます。
高分子ナノ集積体による光電子機能材料創製
宮下 徳治(東北大学 多元物質科学研究所 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
申請者が世界に先駆け独自に開発した高分子ナノシートを基盤とし、有機・無機ナノ材料を明確なナノ界面を保持しつつ構造制御したハイブリッド高分子ナノ集積体を構築します。ハイブリッド高分子ナノ集積体の特徴である明確な構造を利用し、異種ハイブリッドナノ材料間のナノ界面・表面における「光・電子-物質相互作用」を自在にデザイン・構築することで、環境・エネルギーに配慮した省エネルギー/低環境負荷型の革新的な光電子機能を追求します。
半導体デバイス中のナノ界面におけるトンネルダイナミクスの研究
村口 正和(東北大学 学際科学国際高等研究センター 研究員)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究では、次世代のナノスケール半導体デバイスの中核技術である、ナノ界面における電子のトンネル制御の新たな指針を与えることを目的とします。具体的には、ナノ界面において顕在化することが予想される、電子の動的相関に基づく協調的トンネル現象などの新奇な電子ダイナミクスを検討します。これによりナノスケールにおけるデバイス動作の新原理となりうる新たなトンネル制御法を提案し、さらには半導体デバイス中のナノ界面におけるトンネルダイナミクス理論の革新を目指します。
刺激応答性自己組織化ナノ粒子の創製
森本 展行(東北大学 大学院工学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
本研究では、繰り返し単位中に正電荷と負電荷を共に有した高分子、ポリベタインを用います。このポリベタインを会合部位として、水中で自己組織的に形成される刺激応答性ナノ粒子を調製します。ナノ粒子の水溶液特性を、サイズや安定性、精密熱応答挙動により評価します。さらに、ナノ粒子をタンパク質や核酸と、温度や塩濃度などの因子を考慮して、それらの相互作用挙動を解析することでバイオ機能の探索を行います。
光を用いた双方向的高次脳機能解析システムの開発および評価
八尾 寛(東北大学 大学院生命科学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
脳のニューロンの活動が高次機能を作り出しているしくみを解明するにあたり、個々のニューロンの活動とその操作を、ネットワークの活動や動物行動と関連付けながら、双方向的に解析することが重要です。これを行うにあたり、光受容能のある機能分子を遺伝子工学的に目的の細胞に組込み、光学的にこれを制御する手法(オプトジェネティクス、光遺伝学)と光の出力と電気の多点入力をあわせ持つ双方向プローブを一体化したシステムを開発します。
放電プラズマ法による廃熱発電用熱電変換モジュールの開発
安野 拓也(いわき明星大学 科学技術学部 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
大規模で一極集中型である現在の火力発電や原子力発電に依存したエネルギーの供給形態に関して、新エネルギーを中心とした分散型のエネルギー供給形態に転換していくことが急務となりました。そこで本研究では、新エネルギーのひとつである熱電変換素子による廃熱発電用モジュールの開発を目指し、放電プラズマ法による粉末からの1回の焼結・接合により金属電極の直接接合を試み、直列に複数対接続可能な熱電変換モジュールの作製方法を確立することを目的としています。
新規α線シンチレータと撮像検出器の開発
柳田 健之(東北大学 未来科学技術共同研究センター 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
α線用ZnOシンチレータおよびそれを搭載したリアルタイムα線撮像検出器の開発を行います。シンチレータとしてはLED用材料として有名なZnOがα線計測に最適であることが分かったので、この特性向上を目指し、核医学用装置の技術を流用することで撮像検出器までの開発も行い、既存の据え置き型、可搬型検出器両者の良い点を併せ持つセンサーを実現します。
有機THzエミッターと広帯域TDS系の開発
山内 智(茨城大学 工学部 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
テラヘルツ波を用いた分光法は、これまで明らかにされてこなかった材料物性を解明する手段として期待されてきています。このような分析をより高精度で行うためには広帯域THzエミッターが必要で、これまでに大きな非線形光学特性を有するDAST結晶が開発されてきています。これに対して本研究では、新規なTHzエミッター用有機結晶材料とその作製法を開発し、より広帯域で且つ高出力なTHzエミッターの開発を行います。
iPS細胞を用いた形態制御再生歯に関する研究
山本 照子(東北大学 大学院歯学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
申請者らは、iPS細胞を用いた形態制御再生歯に関する研究のために、再構築歯胚のIGF-Iによる形態制御メカニズム、新規歯胚形態制御遺伝子の同定、エピソーマルiPS細胞から歯胚形成細胞を樹立するための研究を行います。本研究成果は、人工材料の補綴によって機能代替していた先天欠如歯や喪失歯の既存の治療から、自己のiPS細胞由来再生歯によって永久的に口腔機能を獲得する全く新規の治療への転換に繋がることが期待されます。
発酵生産技術の飛躍的向上を目指した基盤研究
米山 裕(東北大学 大学院農学研究科 准教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
微生物を用いた物質生産効率の飛躍的向上を達成するためには生産菌株の変異・分子育種等既存の手法には技術的限界があり、この壁を克服するためには新しい視点からの研究開発が必須です。本研究は、微生物の一次代謝産物に特異性を有するアラニン排出輸送体及びアスパラギン酸:アラニン交換輸送体に注目し、それらの機能強化による次世代型の微生物発酵生産技術の構築を目指し、これら輸送体の機能特性に関する基盤研究を行います。
食品成分による温熱療法の効率化
若森 実(東北大学 大学院歯学研究科 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
TRPV1はカプサイシンや酸で活性化される他、腫瘍の温熱療法で用いる温度(43度)で活性化される温度感受性チャネルであり、Ca2+透過型チャネルです。口腔腫瘍組織ではTRPV1チャネルの発現が増加していることが報告されています。細胞にとって高い濃度の細胞内Ca2+は細胞毒であるため、本研究ではTRPV1チャネルを食品成分や温度で過度に活性化させ、治療に用いることを目指します。
人工坑体を活用した超分子不斉光反応の創製
和田 健彦(東北大学 多元物質科学研究所 教授)
研究期間(年度) 2011~2011
研究概要
不斉合成は、薬や食品等多くの分野で需要が増大している光学活性化合物を得る方法で、現在最も重要な研究テーマの一つです。本研究ではクリーンで環境負荷の少ない光を用いた不斉光化学に、近年注目されているナノバイオ材料の一つで、生体の免疫系で活躍する坑体を適用し、人工坑体をキラル反応場とする環境調和型超分子不斉光反応系の創製に取組みます。高効率不斉反応系の構築と適用基質範囲拡大を実現し、有効な方法論としての確立を目指します。

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