人材育成プログラム

技術移転人材実践研修

TLO・研究支援組織開催コース(旧:TLO実践コース)[研修事例]

事例1(旧ライセンストータルコース 2019 年度)
O大学知的財産センター産学連携コーディネーター T. Y. さん

プロフィール:O大学知的財産センター在籍5年目
講師:中部TLO 羽田野泰彦事業部長
研修参加期間:2019年7月~2020年2月

・本研修へ参加されたきっかけについて教えてください。
産学連携に関する経験は現職以前にはありませんが、技術移転に関する座学の基本的な研修は受けていました。しかし物足りないところもあり、実践的な研修を望んでいました。そのような中、無償で実践的な研修を受けられるところがいいなと思い参加しました。
・この研修に参加して良かったことはどんなことでしたか。
研修前は座学が多いのかと思っていましたが、研修内容を私の希望に合わせ、実践的な内容にしていただけたので非常に満足しています。講師の中部TLOの羽田野事業部長には、東京と名古屋の両方でご指導いただきました。研修に参加して一番よかったと感じたことは、企業とのネットワーク構築ができたことです。普段はこちら(大学)から企業の方へ出向いて話をする機会はほとんどないので、この研修の一環での企業訪問はとても貴重な経験でした。
羽田野事業部長は企業の方と良い関係を築かれており、そうしたコネクションを生かして企業を訪問し本学の案件を紹介した際には、私の説明の仕方や資料について、企業の方からもアドバイスを頂くことができました。
他にも、自分の所属部署内だけの考え方にとどまらず、企業目線で技術移転をとらえることができるようになりました。さらに、医工連携に関して、バイオデザインに関する外部セミナーへの参加やバイオデザインと同じ趣旨で医工連携に独自に取り組まれている医療機関への訪問など、最新の動向を把握することができたのは大きな収穫でした。外部セミナーへ参加した際には、同じく参加されていた企業の方へ本学のニーズをご紹介し、現在連携を検討している案件もあります。
・2年目の研修はどのように進めていきたいとお考えですか
羽田野事業部長からは、次年度は創薬案件も取組めるとよいのではないかとアドバイスを頂いています。現在、本学が有している案件は医療機器開発に関するものが多いので、今後羽田野事業部長と相談して進めていきたいと思っています。
・応募を検討されている方へのメッセージをお願いいたします。
実践的な内容で、自分の希望に合わせて研修を進めていただけるので、業務に直結して役立っています。企業とのネットワーク構築や実践的な研修の機会を望まれている方に、受講をお薦めします。
事例2(旧ライセンストータルコース 2019年度)
信州大学学術研究・産学官連携推進機構リサーチアドミニストレーション室 助教(URA)(農学主担当)
三宅誠司さん

プロフィール:15年研究に従事した後、信州大学URAとして2年目
講師: 信州TLO 篠塚由紀氏
研修参加期間:2019年7月~2020年2月

・本研修へ参加されたきっかけについて教えてください。
2019年2月に信州大学の農学部担当のURAとして着任しました。これまで経験がないことや、学内同キャンパス内のURAは私ひとりであったことから、分からないことばかりでした。URAの初任者が受ける外部研修を受けてみましたが、URAのバックグラウンドや置かれている環境は様々なので、講師の話を聞いてもそういうこともあるのだなという程度で、URAとして成長するためにはどうすれば良いのか、何をすれば良いのか、手探りの状態でした。URAの業務に関連するような研修があれば積極的に参加したいと考えていたため、今回の研修への参加を希望しました。
・この研修に参加して良かったことはどんなことでしたか。
私自身は15年間研究者としての立場だったので、これまで特に気にしていなかった企業ニーズや社会実装である「出口戦略を意識する」という視点を得ました。これらの観点は研究者や学生にも必要だと感じるようになりました。自分が研究者として研究をしているときに理解していれば良かったと思いました。当時、研究資金の申請書などの書類には、新規性や独創性ということで文言としては書いていましたが、実際にそのような気持ちにはなっていませんでした。この研修を通して、展示会でシーズ紹介をするなど、実際に体験することで、社会の不満や解決したい課題が何なのかということについての意識が高まったと思います。さらに、展示会で感じたことは、来場者に見せる物(商品や試供品、サンプルなど)があったほうが、より企業の関心につながるのではとも感じました。大学の取り組みを発信することも大切ですが企業に試してもらう状況を作らないといけないと感じました。
また、学内で使用している契約書や共同研究申込書などの書類を使って研修を進めたので、学内全体の仕事の流れや事務職員の方々の業務を知ることができました。
研修を通して一番良かった点は、仕事に取組む意識の変化です。今回の研修内容の産学連携・技術移転は、URA職として、直接関係しているところではありませんでしたが、研修を通して、教員と事務職員の間に入り調整する人材の必要性を感じました。着任当初は、URAとはどのような立場なのだろうかと考えていましたが、重要な気づきを得られたように思います。
・今後さらにどのようにステップアップしていきたいとお考えですか
教員と事務職員との間をつなぐ人材が求められていると感じていますし、私自身もURAとしてそうした役割を果たせるような人材になりたいと考えています。特に教員の考え・要望を事務職員へ伝えるニーズはあります。URAは研究資金の獲得が使命とされているように言われますが、それだけではなく、学内の仲介役としての役割も重要だと思います。 2年目の研修では、1年目に篠塚さんから教わったことの実践、例えば、篠塚さんのサポートのもとでライセンス交渉の場への同席をしていきたいと考えています。また、農学部教員のうち、約半数の方にしか着任の挨拶ができていませんので、今後もご挨拶を続けていく予定です。ただ、この時にご挨拶してなんとなく研究のお話を聞いて終わりとするのではなく、今回の研修で得た経験を踏まえ、例えば発明ヒアリングを実施するつもりでお話を伺い、先生方のご研究を掘り下げたいと考えております。
・どのように研修を進めていましたか
これまでも篠塚さんは伊那キャンパスに定期的にこられていましたが、研修を受講したことで、メリハリがついたように思います。
月に4~5回篠塚さん教えて頂き、それ以外にもメールや電話で質問したりアドバイスを頂いたりしました。現在は発明者ヒアリングに同席頂いています。何を聞き出さないといけないのかなど、アドバイスを頂くことができました。
座学は初期の頃に、研修1回あたり2時間程度行って頂きました。知的財産について全く知らない状態でしたので、最低限の知識を得て実践的な研修に入れたので座学は必要だと感じました。座学では学内案件の契約書の内容を一つ一つご説明頂きました。これまではすでに完成された契約書を見るだけでしたが、座学のおかげで契約書の中身についての理解が深まり、契約当事者双方の考え方がわかるようになり、自分事として捉えるようになりました。
その他、この研修の一環として、UNITTアニュアルカンファレンス やライセンスアソシエート研修などの外部研修や展示会へも参加しました。自分で参加費を出すには高額なので、とても助かりました。
・応募を検討されている方へのメッセージをお願いいたします。
URAとして何を求められているのか、研究戦略推進支援・プレアワード・ポストアワードなど多岐にわたるのか、専門に特化するのかなど、どのような立場で仕事をされるのか、前職で何をされていたかにもよると思いますが、私のような経験のない人間がURAとして研究という入口から社会実装という出口まで研究者と伴走するような(可能性がある)場合は、それぞれの段階でどのような業務が必要になるのか、その業務の中身を知る良い機会になると考えております。また、研修を通じて多くの方と出会い、様々な考え方に触れることも刺激になりました。
事例3(旧ライセンストータルコース 2019年度)
大阪府立大学研究推進本部 URAセンター URA・弁理士 西田泰士さん

プロフィール:大学卒業後民間企業で半導体、知財、法務に従事後、大阪府立大学URAとして6年目。弁理士。
講師:TLO京都 石田政隆氏
研修参加期間:2019年7月~2020年1月

・本研修へ参加されたきっかけについて教えてください。
上司の方から応募しないかとお誘いを頂きました。
・この研修に参加して良かったことはどんなことでしたか。
実際に自分が担当している案件を進めながら、石田さんから具体的なアドバイスを頂けたことは大変役に立ちました。特にTechシートと言うテクノロジーシートの作成や、企業訪問についてOJT指導を頂けたことが大きな収穫でした。
テクノロジーシートの作り方については、恐らく石田さんの指導がなかったら、研究者の研究発表ポスターを貼る程度で終わらせていたと思います。
石田さんからは、
・技術に惚れてもらえるように企業が関心を持つポイントを記載する
・企業にお渡ししたテクノロジーシートが社内でどのように活用されていくか、担当者が上司に説明しやすいように作成する
など読み手の立場に立ったシート作りをアドバイス頂きました。
また、企業訪問については、実際に石田さんに同席頂き、大学内ではなかなか学べない、自分の案件を企業担当者に紹介するまでの道筋について実践を通して学ばせて頂きました。その際にプレマーケティングなどTLOが培ってきたノウハウを伝授頂きました。石田さんに寄り添っていただいたからこそ、頭ではわかっている地道な仕事を実際に行動へ移せ、成果を出すことができたと思います。頭でわかっていても実際に行動に移せるかどうかは、大きな違いです。
キャリア面では、この研修を通して、RTTP(Registered Technology Transfer Professional:国際認定・技術移転プロフェッショナル)申請に向けての実績作りをすることができました
この研修を通して発明発掘から技術移転に至る一連の流れをOJT指導頂けたことを応用して、さらに次の案件の技術移転を成功させていきたいと思います。そのようなモチベーションが湧きました。
※2020年5月にRTTP認定されました。
・本研修に参加するにあたり、どんなスキルがあると望ましいと思われますか。
知財と契約の知識はあった方がよいですね。
この2つの基礎がないと技術移転の前線でやっていけませんから。
・応募を検討されている方へのメッセージをお願いいたします。
TLOのノウハウを学ぶ貴重な機会です。技術移転の一連のプロセスを石田さんに寄り添ってもらいながら経験でき、仕事の全体像が把握できたので、独り立ちできそうです。