岡山細胞変換プロジェクト

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総括責任者 岡山 博人
(東京大学 医学部 教授)
研究期間:1991年10月~1996年9月

 

細胞の増殖と分化をうまく行うことによって、単細胞生物は生存の可能性を高め、多細胞生物は個体発生を行います。このプロジェクトでは分裂酵母ならびに哺乳動物細胞をモデル生物として、増殖と分化を制御するマスタースイッチ、すなわち、分化の開始機構と細胞周期の制御機構の解明を目指しました。
研究では、10数種の新しい制御因子を発見し、新しい分化制御シグナルの存在、常数分裂サイクルと減数分裂サイクルの開始制御機構、細胞周期のチェックポイントセンサー機構、哺乳動物のDNA損傷によるGI期チェックポイント機構の根幹を明らかにしました。それによって細胞の癌化機構の解明に重要な手がかりを得ることができました。

成果

細胞分化開始制御因子の発見

分裂酵母の分化を負に制御するとともに細胞周期開始に働く新しいB型サイクリンと、酵母から哺乳動物まで極めてよく保存された細胞分化の新規調節転写関連因子を発見し、分化開始制御の一端を解明した。

細胞周期チェックポイントセンサーの発見

S期をモニターするチェックポイントセンサーを発見した。cds1と名付けたこの因子はタンパク質リン酸化酵素で、DNAポリミラーゼαと作用してこの酵素からDNA合成の進行を検知し、チェックポイントシグナルを送ってcdc2キナーゼの活性化を阻止することを解明した。

DNA損傷に対するG1期チェックポイント停止機構の解明

cdk4キナーゼのチロシン残基のリン酸化、脱リン酸化制御が、哺乳動物における紫外線によるDNA損傷に対するG1期チェックポイント停止の主たる機構であることを明らかにした。

細胞分化の新しい開始シグナルの発見

ストレスシグナルを伝える、新しいMAPキナーゼを発見し、このシグナルが直接分化の開始に必要であることを明らかにした。

細胞周期開始制御因子の発見

常数分裂サイクルと減数分裂サイクルの開始に働く転写因子複合体(res1,res2,rep1,rep2)を発見し、両サイクルの主たる開始制御機構を解明した。

cDNAのインデックス化と遺伝子発現の検出

制限酵素切断と特殊プライマーを組み合わせてcDNAのインデックス化と遺伝子発現の違いを極めて容易に検出する方法を開発した。

fig1

▲動物細胞および酵母菌を宿主にしたcDNA発現クローニングシステム

fig2

▲細胞の増殖と分化

研究成果

プログラム

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