木村融液動態プロジェクト

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総括責任者 木村 茂行
(科学技術庁 無機材質研究所 総括無機材質研究官)
研究期間:1990年10月~1995年9月

 

融液は単結晶材料の合成の中間段階として用いられます。融液の処理によっては材料の品質が大きく変わります。本プロジェクトではシリコン融液の奇妙な挙動をテーマとして取り上げました。
研究の結果、融点(1415℃)の近くで融液の熱膨張率が異常に大きくなることや、ある種の不純物添加で異常が消えることがわかりました。表面張力や粘性係数にも異常が見られました。X線によって融液の構造を調べた結果、原子間に特殊な力が働いていて、これが不純物により妨害されることなどを解明しました。
融点近傍の膨張率異常は融液の流体力学的挙動にも影響を与え、成長する結晶の中の酸素濃度に響きが大きいだけでなく、大型シリコン結晶の引き上げに際して成長界面近くに乱流領域ができるきことを立証し、シリコン結晶の将来技術に一石を投じる結果になりました。

成果

シリコン密度の融点近傍での異常現象の発見
シリコン融液密度の高精度測定法の開発に成功。融点に近い温度領域での融液密度挙動と不純物添加の効果を解明。

表温度測定によるルツボ内シリコン融液の対流構造の解析題

シリコン単結晶育成時のルツボ内温度解析をすることにより、融液の対流構造を推定。シリコン融液の物性異常が対流構造に影響していることを実証。

高温融液の表面張力測定技術

シリコン融液の表面張力及び粘性係数の測定手法を開発。各物性値の高精度測定に成功。

アンチモン添加シリコン融液及び結晶の酸素輸送機構の解明

アンチモン添加結晶での酸素濃度低下は融液表面からの酸素蒸発が主要因であることを確認。

ルツボ内の対流シミュレーションの開発及び応用

シリコン単結晶育成時のルツボ内融液流れを解析する2次元及び3次元モデルを開発。融液の対流構造及び融液内の酸素輸送挙動を解明した。

X線吸収微細構造の解析によるシリコン融液構造を解析

EXAFS法による高温融液の構造解析に始めて成功。シリコン融液中で微量のガリウム周囲に強固な結合が形成されることを確認。

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▲融液動態の概念図

fig2

▲CZ法シリコン単結晶育成時の融液対流による酸素の輸送(石英ルツボ底部中央から上部に向かって高濃度酸素(赤色)の流れがみられる)

fig3

▲Solid-liquid interface of silicon simulated by molecular dynamics using the Stillinger-Weber potential. The liquid region was obtained by heating up a part of the periodics, 1024 atom system to above the melting temperature. The color of the atom denotes 3-fold(yellow), 4-fold(white), and more than 5-fold(red) silicon.

研究成果

プログラム

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