板谷固液界面プロジェクト

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総括責任者 板谷 謹悟
(東北大学 工学部 教授)
研究期間:1993年10月~1997年9月

 

固体と液体とが接する「固液界面」で起る種々の物理及び化学過程を、主として液体中走査トンネル顕微鏡(STM)を駆使することにより原子・分子のレベルで理解し、もってその諸過程を原子レベルで制御することをねらいました。
このため、ます第一に原子レベルで規定され、しかも清浄な各種金属及び半導体表面を液体中に露出する方法を確立しました。原子レベルで規定された「固液界面」で起るハロゲンイオンの特異吸着、硫酸アニオンの吸着構造、さらには有機分子の吸着構造を STM 並びに超高真空-電気化学複合装置により決定する事に成功しました。
さらに金属、半導体表面上で起るエッチング反応の動的過程の観察にも成功し、「固液界面」で起る物理・化学過程の機構を原子・分子レベルで解明する事を可能としました。これらの成果は応用上においても極めて重要であるばかりか、学問的にも新しい研究分野を開拓した事になります。

成果

超高真空-電気化学複合装置の開発と電極表面構造解析

溶液中で動作状態の電極表面を超高真空中に取り出して、溶液中では不可能な電子分光表面分析を行う装置を2台試作し、電気化学 STM と併用して電極上の吸着種の構造をあらゆる角度から詳細に決定することができた。

電極表面上に吸着したアニオンの電気化学 STM による構造解析

白金、ロジウム、銀、銅などの電極表面上におけるハロゲン、硫酸イオン、シアンイオン、チオシアンイオン等のアニオン種の吸着配列構造を電気化学 STM により決定した。

ヨウ素修飾電極表面上の有機分子の吸着構造

金、銀その他貴金属単結晶電極表面にヨウ素を予め吸着させたいわゆるヨウ素修飾電極表面上で、ポルフィリン分子を始め多くの有機分子が吸着し高度に配向した自己集積膜が形成される事を見い出し、分子配向さらには分子内構造をも STM により明白に観測することに成功した。

清浄電極表面上に直接吸着した有機分の構造解析

白金、ロジウム、銅などの清浄金属単結晶上にベンゼン、ナフタレン等の芳香族有機分子、含窒素有機分子、エチレンなどの小分子を溶液中電位制御下で吸着させ、その吸着構造及び電位依存性を解明した。

金属表面の微視的な析出・エッチング過程の観測

ニッケル、コバルト、銅、銀、パラジウム等のエッチング過程を清浄表面および硫黄やハロゲンで修飾した表面で観測し、単原子ステップ近傍におけるエッチング反応の異方性や表面の原子的平滑化プロセスの観測に成功した。これらは、原子的に平滑な表面露出方法のひとつを確立したことになる。

半導体電極表面の原子的構造および湿式エッチング過程解明

シリコン、ガリウム・ひ素等の半導体単結晶面の原子構造およびエッチング過程を電位制御下で STM により直接観測に成功した。特定の条件したでエッチングはステップ端のみから起る事を発見した。これは半導体表面を原子レベルで平坦化する重要な手法として応用が期待される。

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▲原子・分子レベルでの固液界面反応の概念図

fig2

▲In situ STM image of a benzene adlayer on a rhodium (111) single-crystalline surface in a hydrofluoric acid solution.

fig3

▲In situ STM image of a porphyrin adlayer on iodine-modified gold (111) surface in a perchlorate solution.

研究成果

プログラム

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