さきがけ 研究者

研究課題名

飛躍的な石油増進回収のための油水反応レオロジー界面の創成

プロフィール

長津 雄一郎
長津 雄一郎
Yuichiro Nagatsu
1975年 神奈川県生まれ。2003年 慶應義塾大学大学院 博士課程 単位取得退学、2005年 博士(工学)。2002年 日本学術振興会 特別研究員(DC2)。2003年 名古屋工業大学大学院 工学研究科 物質工学専攻助手。2007年 同 助教。2011年 東京農工大学大学院 工学研究院 応用化学部門 准教授、現在に至る。その間、2008年4月~2009年9月日本学術振興会 海外特別研究員(ベルギー・ブリュッセル自由大学)。
研究分野:反応系流体力学、レオロジー
趣味:テニス、温泉

研究内容紹介

 今後もしばらく続くであろう石油へ依存する社会情勢、および新規油田発見数の減少から、現存する油田からいかに多くの石油を採取するか、すなわち石油の増進回収(Enhanced Oil Recovery, EOR)は重要な課題です。多孔質媒質内で高粘性流体が低粘性流体に置換されるとき、二流体の界面が一様に広がらず指状に広がる現象はViscous fi ngering(VF)と呼ばれています。石油回収効率の低下は、油層内の石油とそれを置換するために圧入される流体の間の界面張力により一つの細孔に石油の一部が捕捉されることによるミクロ的置換効率の減少と、油層(多孔質媒質)内で石油(高粘性流体)を圧入流体(低粘性流体)で置換する際にVF 現象が生じ石油の一部を取り残してしまうことによるマクロ的置換効率の減少が要因となっています。つまり石油回収では油層内の石油とそれを置換するために圧入される流体との相界面現象が回収効率低下の要因となっています。
 本研究者は、2003年から、化学反応による二流体界面近傍の流体物性変化により、VF パターンを変化、制御する、いわゆるVF のリアクティブコントロールの研究を遂行してきました。これまでに、二流体が互いに混ざり合うミシブルな系に対して、化学反応による界面近傍の流体のレオロジー変化によるVF のリアクティブコントロールの研究で世界をリードしています。本研究では、世界をリードする化学反応による界面近傍のレオロジー変化によるVF のリアクティブコントロールの知見をEOR に適用することを目指します。EOR では置換される高粘性流体は石油です。圧入され置換する流体は、環境負荷およびコストの観点から水溶液であることが必須です。この場合は、それら二流体は最終的に混ざり合わないインミシブルな場合となります。本研究では、界面張力の減少によるミクロ的置換効率の増加と界面レオロジー変化によりVF を最小化することによるマクロ的置換効率の増加を同時に達成しうる油水反応レオロジー界面の創成とその流体力学的操作条件の確立に挑戦します。これにより、従来法と同等またはそれ以下の所要エネルギー、ランニングコストによる、飛躍的なEORを実現させます。界面レオロジー変化によるVF最小化は、VF のリアクティブコントロールの研究で世界をリードしている本研究者だからこそ立案できたアイデアであり、世界的に見ても、真に独創的な研究です。

投稿記事一覧

学会発表・招待講演

2014/09/17
[学会・講演] 長津 雄一郎 准教授(東京農工大学 大学院工学研究院)【さきがけ】
ページの先頭へ