採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
スタートアップ・エコシステム形成支援

Platform for All Regions of Kyushu & Okinawa for Startup-ecosystem(PARKS)

2022年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和4年度
(2022年度)
In-situ production of nitrogen-rich biofertilizer (plasma fertilizer) using plasma technology 国立大学法人九州大学
Center of Plasma Nano-interface Engineering,
Associate Professor
Pankaj ATTRI 
The nitrogen-rich organic manure can be a game-changer for organic farming. Through this plasma reactor, we can protect the environment by avoiding the disadvantages caused by Haber-Bosch process and in-situ production of organic manure to benefit society. There is an increasing demand for organic fertilizer in the world, according to the Biofertilizers Market Size & Analysis, Global Industry Report, 2012-2022. Demand for biofertilizers in the USA increases with an increasing compound annual growth rate (CAGR) of 11.2 % from 2019 to 2025.
令和4年度
(2022年度)
超高感度キャピラリー電気泳動法を用いた受託分析サービスとその多角展開 国立大学法人九州大学
大学院理学研究院 化学部門
准教授
川井 隆之
設立するベンチャーでは第一に,超高感度キャピラリー電気泳動 (CE) 技術を受託分析サービスとして提供し,アカデミアや製薬企業などを対象にバイオマーカー探索や薬物動態解析を支援する。第二に,汗を対象とした新規採取技術・バイオマーカー解析サービスを展開することで,一般消費者向けに化学計測に基づいた簡便な健康状態計測システムを提供する。これまで見えなかった化学物質を見えるようにする技術を広く提供することで,医療・創薬に関するアンメットニーズを満たすとともに,パーソナルヘルスケアへの展開についても検討を行い,多角的に超高感度CE技術を活かした事業を展開する。
令和4年度
(2022年度)
内視鏡医療および配管検査に革新的な効率化と信頼性向上をもたらす3次元内視鏡の開発 国立大学法人九州大学
システム情報科学研究院
教授
川崎 洋
体内の消化器官の観察や、パイプ内部など細管の欠陥検査などは、医療・工業用内視鏡を用いて行われるが、画像情報だけでは、微妙な凹凸の違いの検知や正確なサイズ情報を得ることができない。この問題の解消のため、通常の内視鏡で得られる画像データに加えて、3次元データを同時に取得可能な3次元内視鏡に強いニーズがある。また、得られた3次元データを従来のカラー画像の上に重ねて表示・可視化するバーチャルリアリティによるインタフェースの開発が待たれている。
これまで、画像データと3Dデータの両方を取得可能なハイブリッド3Dスキャニングシステムを開発してきた(特許1)。また、これを内視鏡に適用して、計測結果を自動で位置合わせ統合し、形状とテクスチャの同時取得を実現する3次元内視鏡システムを開発してきた(特許2)。これら技術は、最近の深層学習の発展や新しい光学素子の恩恵を受け、商品化が可能なレベルに達しつつある(特許3)ことから、今回その実用化を目指す。
令和4年度
(2022年度)
がん患者血液からの血中腫瘍細胞(CTC)分離による早期がん診断技術の開発 国立大学法人九州大学
先導物質化学研究所 ソフトマテリアル学際化学
教授
田中 賢
本技術は、血液中のがん細胞接着に最適化された高分子コーティング材(PMEA)を用い、血中腫瘍細胞(CTC)をPMEA被覆磁性粒子などの表面に接着させて分離・回収するもので、従前の技術における課題であった抗体やフィルターの特性の影響を受けずにがん細胞の分離・回収が可能であり、純度、回収数、回収CTCへのダメージにおいて既存技術に対して優位性がある。
本プログラムでは、患者血液からCTCを分離・回収するキット(PMEA被覆磁気粒子)の開発・販売を検討する。長期的には、キットで分離・回収したCTCから抽出した遺伝子を、解析プログラムにより判定する一連のサービスとしての提供も検討する。大学病院等の研究機関、製薬会社を顧客として想定し、創薬などの研究開発での利用に加え、コンパニオン診断・遺伝子パネル検査としての活用を目指す。
令和4年度
(2022年度)
創薬を革新する新規の膜タンパク質構造解析技術 国立大学法人九州大学
生体防御医学研究所 構造生物学分野
准教授
嶋田 睦
医薬品は人体やウイルスなどの特定のタンパク質に作用して働くため、タンパク質の立体構造情報は医薬品の設計に役立つ。既存の医薬品の約6割は膜タンパク質を標的としているため、膜タンパク質は創薬標的として重要である。しかしタンパク質の構造決定は一般に高コストであり、特に膜タンパク質の構造決定は困難である。本研究開発プロジェクトでは、膜タンパク質の生体内に近い脂質二重膜中での構造情報を、その会合状態の情報も含めて低コストで簡便に提供する技術を確立し、この技術を活用した創薬支援ビジネスを起業する。
令和4年度
(2022年度)
着床モデルの産業応用化 国立大学法人九州大学
大学医学研究院発生再生医学分野
助教
二井 偉暢
先進国では不妊治療を受ける人が年々増加している。生殖補助医療である体外受精-移植法では繰り返し妊娠に至らない反復着床不全が大きな問題となっている。着床をin vitroで再現するモデルが存在していないことから着床不全の原因解明および新たな治療薬・治療方法の開発は進んでいない。
今回、着床前後のマウス胚発生をin vitroで再現する方法を確立した。本研究期間には本技術の産業応用化を目指すため、胚培養キットの作製、および霊長類サルを用いた胚培養系の確立を行う。本研究開発によって子宮内での胚発生をin vitroで解析することが可能となり、現在の社会問題となっている体外受精-移植法の改善と新たな治療薬・治療方法の開発(非臨床試験)に貢献する。
令和4年度
(2022年度)
「かたち」と「動き」のフェノタイピングによる非形式知の技術継承支援システムの開発 国立大学法人九州大学
大学院理学研究院 生物科学部門
助教
野下 浩司
本事業では,専門家個人に非形式知として蓄積されている勘・コツ・経験の被訓練者への継承を支援するシステムを構築し,サービスとして提供することで技術継承のボトルネックの解決を図る.
 専門家の身体動作を静的な「かたち」と動的な「動き」として捉え,定量化する.このコア技術に基づき以下の2つのソリューションを提案する.1.データ解析による「型」の抽出・策定支援:「かたち」と「動き」のデータ解析から専門家に特有の動作である「型」を局所最適動作として定義する.2.「型」スコアによるフィードバック:被訓練者と専門家の動作の差をスコア化し改善方針を与える.これらソリューションを活用した技術継承フレームワークをWeb APIとして実装し,それ自体をtoB向けサービス,これをバックエンドとしたWebアプリをtoC向けサービスとして提供する.
令和4年度
(2022年度)
安定した沸騰開始と高熱流束除熱が可能な新規浸漬沸騰冷却技術の開発 国立大学法人九州大学
工学研究院機械工学部門
教授
森 昌司
車両用電子機器、データセンター、自動運転AI用電子素子、次世代小型高出力ロータなどにおいても省エネを達成するため大幅な伝熱促進技術が求められている。特に電子機器の冷却には、安定な沸騰開始と高熱流束除熱という二つの大きな課題があり、本研究開発では、沸騰開始温度を電子部品の動作上限温度の中で最も厳しい85℃以下、高発熱密度冷却(伝熱面サイズにより500~1000 W/cm2)に対応可能な革新的な伝熱促進の技術開発を行う。また、研究開発による知見をもとにプロトタイプを製作し、ベンチマーク試験を実施することで本提案技術の有用性を実証する。本プロトタイプをもとに10年以内に国産の浸漬沸騰冷却技術の実用化を目指す。
令和4年度
(2022年度)
小型モータ・劣化診断モニタリングボード 国立大学法人九州工業大学
大学院生命体工学研究科生体機能応用工学専攻
教授
大村 一郎
莫大な数のモータが生活の安全性、利便性や生産性の向上のために使われている。ビルや駅ではホームドア、空調や昇降機、また工場では搬送系やロボットがその例である。モータの「省エネ化」や「故障予知」の目的でIoTモニタリング(監視)システムが提案され、容量の大きなモータで導入が進められている。しかしながら莫大な数の小型モータには、コストとサイズがボトルネックとなり導入が遅れている。本課題では、既設も含めた小型モータ(750W以下)のモニタリングを可能とする超小型ボードを開発し市場導入を図る。
令和4年度
(2022年度)
読唇技術を利用したナビゲーションアプリの開発 国立大学法人九州工業大学
大学院情報工学研究院
教授
齊藤 剛史
音声認識技術がスマートフォンアプリなどで実用化されたことで私たちの生活は快適になっている。しかし音声認識技術には、自動車内や工場内、にぎやかな場所など騒音環境のある場所での利用、公共の場所など声を出しづらい場所での利用、会議など複数人が同時に発話する場所での利用などでは利用が難しい状況がある。この問題を解決する手段の一つとして、音声情報を用いずに発話内容を推定する読唇技術がある。本研究開発課題では、読唇技術を利用したナビゲーションアプリの開発・リリースおよび認識エンジンのライセンス化などを図る。これにより、読唇技術の可能性を社会に創出し、同技術の事業化を目指す。
令和4年度
(2022年度)
試行錯誤のプロセスを大幅に低減する外観検査AI技術 国立大学法人九州工業大学
大学院情報工学研究院 知能情報工学研究系
准教授
徳永 旭将
本事業シーズでは、良品画像の教師なし敵対的学習に基づくImage Completion技術を応用した外観検査AIを開発する。現在、製品の外観検査や画像からの異常検出の問題に対し、ディープラーニングに基づくAI技術が注目を集めている。ところが、外観検査は総合的検査であるため、汚れ、擦り傷、亀裂、打痕、凹み、歪み、変形、塗装落ち、部品の欠損など、多様な異常が検査対象となる。最先端のAI技術でも、検出に得意・不得意が生じてしまいやすい。それを是正するには、訓練データ収集、モデル改良、モデル訓練などコストの高い作業を繰り返す必要がある。本事業では、推論のプロセスを異常に合わせて最適化することで、合理的かつ限定的な試行錯誤によって得意・不得意を解消できる、使い勝手の良い外観検査AIを提供する。
令和4年度
(2022年度)
迅速なデータドリブン意思決定⽀援システム 国立大学法人九州工業大学
生命体工学研究科 人間知能システム工学専攻
教授
古川 徹生
本事業では多様なデータを横断的に可視化し知識発見できるビジュアル・アナリティクス・システム(VAS)を迅速に提供する。このシステムを用いて膨大なデータをもとに意思決定をしなければならないプロジェクトマネージャーなどを支援する。意思決定するうえで、1)複合した多種多様なデータの全体像理解の把握が困難、2)複雑に絡まった要因間の影響を考慮した予測が困難、3)無数の選択肢から有効な候補の絞り込みが困難、などの「データドリブンな意思決定のむずかしさ」がある。また、1)ブラックボックス化したAI任せの意思決定はできない、2)意思決定者しか知らない経験知や特殊事情を反映する必要がある、3)統計の非専門家の意思決定を支援する、などの「AI・アナリティクスツールによる意思決定支援のむずかしさ」もあることに加え、意思決定支援システムを製作するのは時間・金銭的なコストがかかりすぎてしまう。そこで私たちは、データ構造に合わせて柔軟にネットワーク構造を変えられ、過去のデータ分析と新規データの予測を同時に実行可能なマニフォルド・モデル・ネットーワークを開発する。 
このメタシステムによって、全体像を俯瞰できる可視化と直感的な対話インターフェースを搭載したVASを低コストで生成することが可能になる。さらに、データに合わせてシステムを半自動的に生成するアルゴリズムを開発する。この自動化により、クラウドスタイルでVASをマネージャーに迅速に提供することが可能になる。また、案件ごとに用意する開発リソースを最小限にでき、サブスクリプションでの契約も可能になる。そのため、雇用・人材マネジメントが必要にならないため、事業としてグロースしやすいビジネスモデルとなっている。
令和4年度
(2022年度)
ピッキング作業の自動化のための変形可能な物体の認識に関する研究 国立大学法人九州工業大学
大学院工学研究院
准教授
陸 慧敏
本事業では、食品袋といった変形可能な物体(柔軟物)の認識・ハンドリングの各技術の他、運搬容器への製品の最適配置についてのアルゴリズムを開発し、従来の人手作業と同等の作業品質を維持した食品の配送仕分けロボットピッキングのための物体認識法を開発する。大手自動車部品メーカーや中堅・中小規模企業を含めた販売先、また、サービス、医療・介護、インフラ・災害対応・建設、農林水産業・食品産業等の幅広い分野で、使いやすいロボットを創り活かすためのシステムを提供する。
令和4年度
(2022年度)
クロマチン再構築BAF/PBAF複合体を標的としたエピゲノム創薬 国立大学法人長崎大学
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
教授
伊藤 敬
発癌は放射線、紫外線、化学物質による癌遺伝子の活性化により引き起こされる(右図参照)。癌はその旺盛な細胞増殖、浸潤、転移により人を死に至らしめる。抗癌剤は大きく分けて①細胞障害性の抗癌剤と②分子標的抗癌剤に分けられる。
①細胞障害性の抗がん剤は旺盛な細胞増殖能を障害するもので、正常の細胞も攻撃するため脱毛を起こしたり白血球が減少したりする。②分子標的抗癌剤は活性化された癌遺伝子のみを標的とするもので副作用が少ない。1981年(昭和56年)以降、がんは死因の第一位となり、現在3人に1人が、がんで亡くなっている。これらの癌に対する分子標的抗癌薬のニーズは高く、そのアッセイの方法、開発品の販売は、製薬会社を顧客ターゲットとして想定している。
令和4年度
(2022年度)
データセンタ用100GHzポリマ・ガラス光変調器の実用化開発 国立大学法人長崎大学
大学院工学研究科電気電子工学コース
教授
榎波 康文
世界IT企業GAFAM(アマゾン等)が有する米国における巨大なデータセンタ光通信のイーサネット速度の高速化、低消費電力化、低コスト化のために超高速、低消費電力、低コストの光変調器が必要とされている。光変調器はデータセンタ電気信号を光信号に変換する最も重要な光デバイスであり、その高速性能は特に重要である。代表者はハイブリッド型ポリマ・ガラス光変調器を26年間米国大学、国内大学及び米国企業で研究開発し、世界最低駆動電圧0.65Vを実証後(既存の1/10)、近年世界最速光変調速度(光変調帯域幅130GHz)を実証した。本光変調器をデータセンタ用光変調器として開発、販売、ライセンス契約等を行う。
令和4年度
(2022年度)
高活性型ヒトインターロイキン-18変異体を用いた免疫エフェクター細胞培養技術の事業化 国立大学法人長崎大学
先端創薬イノベーションセンター
センター長・教授
田中 義正
医薬品開発のメインストリームは、1990年代後半に低分子医薬品から抗体医薬品へ移行したが、今後、さらに細胞医薬品開発の局面に転換すると考えられている。特にがん免疫療法として、免疫エフェクター細胞を中心とする細胞輸注療法が大きな注目を受けている。免疫エフェクター細胞は、インターロイキン-18受容体を高発現しているため、インターロイキン-18で刺激すると、効率的に培養することができる。本事業では、現在、細胞輸注療法を開発している製薬企業や大学病院、さらには、創薬ベンチャーに対して、高活性型ヒトインターロイキン-18を供給することを目的とした事業を展開するための基盤を整備することを目的とする。
令和4年度
(2022年度)
皮膚病変を伴う成人T細胞白血病に対する 免疫エフェクター細胞療法の事業化 国立大学法人長崎大学
大学院医歯薬学総合研究科皮膚病態学
教授
室田 浩之
アンメットメディカルニーズである成人T細胞白血病に対する細胞輸注療法を臨床展開し、医療事業化する。がん細胞を傷害する効果の高いγδT細胞を、比較的少量の患者血液から、特許技術を用いて迅速に増幅し、患者へ経静脈的に投与(輸注)する。長崎大学病院細胞療法室をセンターキッチン-とするサプライチェーンを展開し、がん診療医療施設は治療を希望する患者の血液を長崎大学病院へ送付、後日、増幅した患者γδT細胞を患者に輸注する。このように長崎大学の特許技術で増幅した細胞をがん診療医療施設へ提供するサービスを事業化するものである。
令和4年度
(2022年度)
パターン投影による非接触機上計測装置および その開発システム 国立大学法人長崎大学
総合生産科学域 工学系
教授
矢澤 孝哲
金型など一品一葉な製品・部品の加工において,非生産時間である計測検査・段取り・搬送作業を大幅に圧縮し,工作機械上ですべての作業を完結するための非接触測定装置について,要求仕様と制約のなかでその装置を短いリードタイムで開発するシステムを構築する.特に本研究開発期間では,対象物の3次元形状と工作機械の制限に応じて,適切な投影パターンを用いて非接触機上計測する装置の設計・開発フローを構築し,それを用いた装置の試作を行う.
令和4年度
(2022年度)
住環境のウイルス汚染を予報するスマートセンサの実証化とマーケティング戦略の構築 公立大学法人北九州市立大学
国際環境工学部環境生命工学科
教授
礒田 隆聡
本事業では、洗面所やトイレ等の住環境中のウイルス汚染を検知して、感染予報を提供する小型機器「スマートセンサ」の開発を行う。これと並行して数千人規模を対象とした顧客層の分析、アーリーアダプター候補の調査、試作品のサンプル出しを実施し、上市前のマーケティング戦略を立てることを目的としている。感染の流行は世界的な規模で繰り返し起きている。冬場にはインフルエンザと同時流行の危機も懸念されている。起業により社会実装のスピードを加速する。
令和4年度
(2022年度)
非接触・無拘束による生体信号測定技術,状態や動作検知による見守り技術 公立大学法人北九州市立大学
国際環境工学部
特命教授
梶原 昭博
健康寿命の延伸のためには日頃から心拍や血圧などの生体信号を測定し,健康状態を把握することが重要である。特に,心拍変動は循環器系疾患の診断だけでなく,ストレス指標にも用いられている。また血圧も従来のようなカフによる1点測定ではなく,連続測定による「血圧変化の見える化」が好ましい。一方,忙しい人や高齢者,健康に無関心な人の中には装着・操作・測定や時間的拘束に少なからずストレスを感じる人も少なくない。そこで日々の生体信号,特に重要な心拍変動や連続血圧を無意識かつ無拘束で測定する生体信号測定技術を開発する。本技術の事業化については複数企業と技術協力を行いながらサービス化を支援する事業(ライセンス活用および技術コンサルタントによる事業形態など)を行う予定ある。
令和4年度
(2022年度)
脳機能賦活を誘起する手指リハビリテーション支援統合システムの企業化について 公立大学法人北九州市立大学
環境技術研究所
教授
松田 鶴夫
高齢化社会の加速に伴い脳機能疾患患者数が拡大し,後遺症等疾患としての麻痺により、精神的な意欲の減退や社会復帰を逡巡する人々が増えつつある社会状況の中で、「いかに自立して健康で暮らせるか」というQOLを考慮した「健康寿命」への欲求に対する支援は、各種運動機能疾患を持つ方にも共通なニーズである。リハビリテーション(以下、「リハ」と省略)による機能回復は多くの病院で行われ、機能回復例も多く報告されているが、その効果の再現性が個々人に大きく由来することから、回復の程度もまちまちで、前記ニーズを満足するようなリハ支援統合システムは存在しない。
本研究ではヒト大脳をシステムの一部として組み込む手法を考案し、脳機能障害に起因する複数の上腕手指麻痺患者に対して試作機を用いたパイロットスタディの結果から、従来よりも高効率なリハ支援を可能とするシステム(Narem)を開発した。これらを病院・介護施設やリハ施設に提供することを視野にビジネス展開を構築する。
令和4年度
(2022年度)
ブロックチェーン技術を用いたWeb3時代の信頼度相互保証システム 国立大学法人佐賀大学
理工学部
准教授
中山 功一
近年,電子メールなどを用いたオンライン詐欺被害が後を絶たない.オンライン上で,「初対面のアカウントが信用できるか」を数値化/可視化できれば,詐欺被害を削減できる.ネットショップやオークションサイトなどでは,アカウントの評価が数値化されるものがある.しかし,匿名アカウントによる評価は必ずしも信用できないという課題がある.本研究では,異なるサービスプラットフォーム上の不特定多数のアカウントに対し,政府や巨大企業に依存せず,相互評価に基づく詐称できない信用スコアを設定し,可視化する.また,第2ステップとして,進化的計算手法を用いて,相互評価の低いアカウントを排除する仕組みを構築する.
令和4年度
(2022年度)
熊本大学発-新しい癌の進展仮説に基づく中分子IT創薬モダリティ- ~癌の悪性度を司る神経幹細胞未分化維持因子を標的としたアンチセンス核酸の開発~ 国立大学法人熊本大学
生命科学研究部総合分子医学講座
助教
喜多 加納子
高精度プロテオミクス解析で発見した分子「SMF-1」が「神経分化」と「未熟性」の性質を併せ持ち、この性質が癌の悪性度を司っているという新しいがん進展仮説のもと新たな抗癌剤を開発する。東京工業大学のスーパーコンピューターを用いて、より効果的なアンチセンス核酸を設計・合成し、細胞や動物実験を行って腫瘍抑制効果を見出す。ビジネスモデルとしては、特許を共同保有する東京工業大学の秋山泰教授、清尾康志教授らが立ち上げた創薬ベンチャーと業務提携した上で、アンチセンス核酸抗癌剤を調達し、研究開発を中心に、関連特許等を取得しながら、然るべきタイミングにて製薬企業への導出を試みる、もしくは自社にて製造・販売を行うビジネスモデルも検討する。
令和4年度
(2022年度)
マルチコプタ用プロペラの開発 国立大学法人熊本大学
大学院先端科学研究部
准教授
宗像 瑞恵
JAXAが開発したプロペラ設計ツールをベースにして、JAXAと熊本大学が共同でモーター出力に最適化されたマルチコプタ用プロペラの設計ツールを開発し、このツールを用いて設計した高効率プロペラの試作品を開発するが、薄いエッジのあるプロペラを安定した品質で製品として低コストで提供するのは大変困難であり、市販プロペラのニーズはバランスの良いプロペラや個体差のないプロペラの提供にある。将来的には軽くて高強度な炭素繊維強化樹脂(CFRP)でのプロペラを加工業者と協働で開発するが、本申請期間においては、CFRPでの加工限界の範囲を想定した厚さのエッジ形状のプロペラをアルミ合金により試作し、空力性能に及ぼす影響を調査し総合的に検証する。
令和4年度
(2022年度)
バイオ医薬品開発の効率化を実現する生体分子量子化学計算プログラム「PAICS」 国立大学法人鹿児島大学
学術研究院理工学域工学系化学生命工学プログラム
教授
石川 岳志
近年、低分子を利用した従来型の医薬品に代わり、抗体や核酸を利用したバイオ医薬品が数多く開発されている。従って今後の創薬では、バイオ医薬品の開発コストを如何に軽減するかが、重要な課題となる。研究代表者は近年、抗体医薬品の開発を効率化する「VIINEC」と呼ばれる独自の計算技術を提案し、自身が開発している生体分子量子化学計算プログラム「PAICS」に実装した。PAICSはこれまで48報の科学技術論文で使用されており、学術研究の分野では一定の評価を得ている。本プロジェクトでは、ソフトウエアのライセンス販売と受託計算サービスの両面から、ベンチャー企業設立の可能性を検証する。
令和4年度
(2022年度)
ICTを活用した遠隔での認知行動療法 国立大学法人鹿児島大学
医歯学域鹿児島大学病院
講師
松本 一記
僻地・離島に暮らす人の精神科治療格差や治療者不足を解消し、安全・安心・効果的な、ICTを活用した遠隔での認知行動療法を提供する事業サービスを構築する。ICTを活用した遠隔での認知行動療法については、技術シーズを基づいて、以下のような複数の収益モデルを考えている:
1.テレビ電話での遠隔認知行動療法を支援ニーズのある人に、直接販売して売り上げを得る、
2.e-ラーニングでの認知行動療法プログラムについて、月間/年間利用ライセンスを販売する、
3.スマートフォン版の認知行動療法アプリを、プログラム医療機器として販売する。
令和4年度
(2022年度)
体に優しい次世代の分子標的薬の開発:癌細胞が過酷な環境でも生き残るしくみを抑える 学校法人福岡大学
医学部細胞生物学
准教授
角田 俊之
最近我々は、癌細胞の増殖を特異的に阻害し、正常細胞の増殖には影響が少ない化合物を天然物由来の化合物群の中から同定し、Pyra-Metho-Carnil(PMC)と命名した。その後、PMCの標的は、細胞のストレスを除去するKDEL受容体(KDEL Receptor(KDELR))であると判明した。癌細胞は不良タンパク質の増加のようなストレス環境でも生存が可能であり、KDELRを活性化することにより、多くの不良タンパク質を除去している。よって多数の癌においてKDELRの阻害は癌のストレス適応を抑制し、アポトーシスへ誘導すると考えられる。KDELRへの親和性がより向上し毒性の軽減した低分子化合物の合成に成功し、PMC derivative(PMCD)と命名し、特許を出願した。今後は、KDELRに特化した各種in silico、in vitroスクリーニングにてさらに親和性の高い化合物を見出し、新規分子標的薬を開発する。