採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
スタートアップ・エコシステム形成支援

みちのくアカデミア発スタートアップ共創プラットフォーム(Michinoku Academia Startup Platform:MASP)

2022年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和4年度
(2022年度)
AUTAC技術を基盤とするオートファジー創薬の事業化検証 国立大学法人東北大学
大学院生命科学研究科
教授
有本 博一
加齢関連疾患の背景に、細胞内有害物質の蓄積が示唆されている。老廃物の排除は、細胞内分解システムが担う。このシステムを制御し、特定の疾患原因物質を分解する「標的分解薬」は、創薬におけるニューモダリティとして期待されている。 
今回、オートファジーを利用する標的分解薬:AUTAC技術を世界で初めて発表した。既存技術の適用が難しい標的が、オートファジーの利用によって新たに標的となることから、国内外の製薬企業やVCが強い期待を寄せている。本課題では、創薬基盤技術型のスタートアップの起業を目指して検討を進める。
令和4年度
(2022年度)
世界初、部材として供給可能な三次元メタマテリアルの事業性検証 国立大学法人東北大学
大学院工学研究科
教授
金森 義明
テラヘルツ波の産業利用が注目されているが、光学素子として利用できる天然材料が少なく未発達である。研究代表者は、世界で初めて部材として供給可能な三次元バルクメタマテリアルの開発に成功した。本研究では、その大量供給技術の開発とサンプル品試作により事業性を検証し、Beyond 5G/6Gで世界をリードするための革新的テクノロジーの創出を目指す。
令和4年度
(2022年度)
3Dプリントカーボン材料によるオンデマンド人工心臓弁作製事業 国立大学法人東北大学
材料科学高等研究所
助教
工藤 朗
技術的・市場的観点から事業化が困難であった小児用人工心臓弁の阻害 要因を克服すべく、抗血栓作用と生体適合性を併せ持つマイクロラティ ス加工したカーボン材料を3Dプリンティング技術で作製する。症例ご とに形状・サイズを最適化した小型人工心臓弁の開発に向けた基礎的知 見を得る。成⻑に合わせて複数回の付け替え手術が必要なことも考慮 し、生体接続部はマイクロラティス以外の素材も産学連携で取り組む。現状の商用人工心臓弁と同様の機能を有し、強度も十分なプロトタイプを作製できたら、特許を出願し資金調達を開始する。3Dモデルの設計から完成品の供給までを一貫して行う事業を立ち上げることを目指す。
令和4年度
(2022年度)
体感付き動画の自動生成と配信サービス 国立大学法人東北大学
大学院情報科学研究科
准教授
昆陽 雅司
動画配信サービスが拡大するデジタル市場において,体感付き動画という新しいメディアを創造し,コンテンツの魅力を高めることにより,視聴者・投稿者・配信プラットフォームそれぞれに価値を提供する.開発した音響-触覚信号変換技術により,従来にない圧倒的にリアルで自然な振動体感を,スマホ上で再生可能にする.事業として,プラットフォームに信号変換技術をライセンスするとともに,体感付き動画の自動生成と配信のための基盤ソフトウェアを提供する.昨年度の支援で試作したiPhoneアプリと自動生成技術を発展させるとともに,MVPとして,iPhoneアプリ用SDKの開発,および,体感付き動画のコンテンツ例の制作し,提案サービスの可能性と課題抽出,及び市場性を検証する.
令和4年度
(2022年度)
歯を用いた幼少期逆境体験の遡及的定量法の開発 国立大学法人東北大学
東北大学病院
講師
鈴木 茂樹 
ネグレクトなどの幼少期逆境体験は成人期以降における精神疾患発症を引き起こす。このような背景から、過去の逆境体験がいつ・どの程度の深刻さであったかを、精神疾患罹患者やその治療・援助者が定量的に知る方法が存在すれば、個々の状態に応じた治療・援助方針決定の一助となる。我々は、逆境体験時に上昇した血中ストレスホルモンが歯に残す痕跡から、幼少期逆境体験の時期と深刻度を読み取る技術を確立した。これを基盤として幼少期ストレスを客観的・遡及的・定量的に測定することが可能となる。本課題では、確立技術を用いて幼少期逆境体験者の歯を用いた有用性の評価とさらに高い特異性を持つ技術の開発を行う。
令和4年度
(2022年度)
データドリブン型歩行リハビリテーションシステムの構築 国立大学法人東北大学
東北大学病院リハビリテーション部
主任
関口 雄介
医療者に客観的且つ科学的な情報を提供できる歩行評価アプリケーションソフトを開発し、リハビリテーションのデジタル化を進め、リハビリテーションの質の向上を目指す。具体的には、歩行評価アプリケーションソフトを介した、サブスクリプションでのサービスを顧客である医師や理学療法士を中心としたリハビリテーションに関わる医療職に提供する。研究開発では、従来、スマートフォンやタブレットで測定出来なかった歩行中のパラメータを測定することができ、且つ歩行能力低下の要因を探索出来るアルゴリズムを開発し、医療者にとって治療の意志決定がしやすい歩行評価アプリケーションを開発する。
令和4年度
(2022年度)
カスタムメイド型骨折用プレートの事業化
2023年4月
「Anylom株式会社」起業
国立大学法人東北大学
大学院医学系研究科 スポーツ・運動機能再建医学寄附講座
准教授
萩原 嘉廣
既存の解剖学的骨折用プレートは術中に変形作業が必要である。その技術は医師の技量に大きく依存するため、手術時間が左右される。そのため出血や感染症のリスクが増大するだけでなく、X線被爆、人件費を含めたコストの増加も問題となる。これら問題の解決のため「カスタムメイド型骨折用プレート」の開発が進められてきている。しかしながら既存のカスタムメイド型骨用プレートは、デザインの決定や海外製造がボトルネックとなり、納期が4週間以上を要するため骨折には使用できない。
そこで本事業では、これまでインプラントメーカーのSEが行っていたプレートデザイン等を、平易な操作で医師自ら短時間で可能とするソフトウエアを提供し、デザイン決定までの期間を大幅に短縮する。また、提携を通じてこれまでの国内製造・物流体制を見直し、デザイン決定後の納入期間を短縮する。以上により、骨折の診断後、5日以内の短納期でカスタムメイド型骨折用プレートを医療現場に届けるシステムの実現を目指す。
令和4年度
(2022年度)
看護師の職業価値観を基にした看護師の価値観分類及びワーク・エンゲイジメントの予測による個人の価値観に合った病院推奨AIアルゴリズムの開発 国立大学法人東北大学
大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野
博士後期課程1年
平山 英幸
本事業では「この職場自分に合っていないかも」と感じるすべての看護師を対象とする。看護師は、就職時の自己分析が不十分であり、職業に対する価値観や適性を把握できていない。さらに看護師の基礎スキル習得のために多くの新人看護師は総合病院に就職し、自分の価値観との不一致で、抑うつや離職などのネガティブな状況に陥っている。こうした課題を解決するために、「看護師の職業価値観尺度」を基にした看護師の価値観分類と、価値観に合う病院を推奨するAIを用いて、看護師の職業価値観に基づいた病院推奨システムを提供する。本事業により、看護師個々人の価値観に合わせた就職・転職が可能となり、組織への定着率の向上が見込まれる。さらに世界中で慢性化している看護師不足の解決に貢献できる可能性がある。
令和4年度
(2022年度)
健康と疾患のあいだ:ケアスタジオにおける新しい連続的運動療法プロトコルの確立と効果検証
2023年4月
「スターダムフロウ株式会社」起業
国立大学法人東北大学
データ駆動科学・AI教育研究センター
助教
湯田 恵美
本事業では, リハビリ難民問題の解決に寄与し,心身の健康の向上と地域コミュニティへ貢献する目的で,運動器疾患者や高齢者に向けたケアスタジオを提案する.具体的には,①生体計測技術を用いた時系列信号からの異常検知,②健康運動指導士や理学療法士が補助する科学的アプローチに基づく運動療法の確立,③リコメンデーションシステムを用いた入退会自由な空間の創生を軸とした実証研究を行う.高度なセンシング技術と運動療法のプロスタッフによる「安価で安心できるケアスタジオ」を顧客に提供するため,レコメンデーションシステムを用いて運動が必要な時期を報知する.事業は講師派遣費や顧客からの売上を主な収益として運営していく.
令和4年度
(2022年度)
脳移行可視化システムを利用した認知機能改善薬の開発 国立大学法人弘前大学
弘前大学大学院医学研究科
教授
若林 孝一
多くの製薬会社などが認知症の新薬開発に向けて、精力的に進展しているが、治療薬が1%しか中枢神経に到達しないという「脳血管バリア」が課題となっている。我々は脳に薬物が到達すると光る「可視化マウス」と「早期認知症モデルマウス」をこれまでに開発してきた。これらを用いて脳送達効率の高い補助剤の開発、とくに核酸を送達できる補助剤の開発を目指す。「開発した補助剤」や「開発技術」をとおして製薬会社との共同研究、受託研究を進めていく。
令和4年度
(2022年度)
レーザー誘起気泡を用いたマイクロ流体デバイス作製の事業化 国立大学法人弘前大学
大学院理工学研究科
学生(修士1年)
鳥羽 陽一
マイクロ流体デバイスは、ニーズの発生から実際に作製されるまでに大きな時差が生じる。この時差を軽減させるために安価かつ短期間でマイクロ流体デバイス作製を可能にするレーザー誘起気泡を用いたポリジメチルシロキサンの3次元微細加工技術を開発した(特許出願済み)。本スタートアップでの資金を用いてこの技術を発展させ、試作・研究用としてマイクロ流体デバイスを扱う業界のニーズである小ロット・短期間での供給が、本技術で実現可能であることを示す。また、社会実装に繋げる際には、短納期可能な本技術の特徴を活かして、これまでマイクロ流体デバイスを内製していた企業やアカデミアから市場の獲得を目指す。
令和4年度
(2022年度)
プラスチック混合廃棄物に適用可能なケミカルリサイクル技術の開発 国立大学法人弘前大学
地域戦略研究所
准教授
吉田 曉弘
日々の生活で多量のプラスチック、樹脂、繊維類の廃棄物が発生しているが、これらのうち素材や原料へと戻される真の意味でのリサイクル(マテリアル/ケミカルリサイクル)が行われているのは、単一素材からなるPETボトル等のみに限られる。その他のプラスチック、樹脂、繊維類の廃棄物は、大半が焼却等の不可逆的なプロセスで最終的にCO2へと変換されている。これに関わるCO2排出は国内の排出総量の4%に相当する。昨今では多くの企業がCO2排出量の削減やリサイクル素材の使用拡大をポリシーに掲げており、これの実現には幅広いプラスチック廃棄物に適用できるリサイクル技術が必要である。本課題では、既保有の知財技術を基盤に、多様なプラスチック、樹脂、繊維類の廃棄物原料のケミカルリサイクル技術を確立し起業する。設立した企業は、顧客にリサイクル素材を販売することで収益を得つつ、顧客企業や自治体等のSDGs目標の実現に対して貢献するものである。
令和4年度
(2022年度)
眼科領域に特化したペプチド創薬ベンチャー設立に向けた事業化検証 国立大学法人岩手大学
理工学部
准教授
尾﨑 拓
加齢黄斑変性は、網膜色素上皮細胞ならびに網膜視細胞が加齢に伴い傷害を受けて視力低下を引き起こす。全世界の患者数は約1億7,000万人にも上る。研究代表者は、未だ治療薬のない萎縮型の加齢黄斑変性に対する世界初の点眼薬を創出することにより、大学発の創薬ベンチャーを設立することを目指している。本研究では、萎縮型加齢黄斑変性モデル動物に対してペプチドの薬理効果を検証することで、ベンチャー設立時のパイプラインを強化することを目的とする。また、本試験で検証するペプチドについて、萎縮型加齢黄斑変性に対する点眼薬としてのTarget Product Profile(TPP)のコンセプトを確定し、そのデザインコンセプトに基づき、既存薬および製薬企業のデータ収集等のマーケットリサーチを行い、それらの収集データをもとに導出する候補製薬企業を絞り込むことを計画している。以上の事業化検証に基づき、眼科領域に特化したペプチド創薬ベンチャーの設立を目指す。
令和4年度
(2022年度)
網膜疾患治療薬開発に向けた基盤技術の強化と事業化体制の構築 国立大学法人岩手大学
農学部
教授
山下 哲郎
社会の高齢化に伴い、我が国の視覚障害者は2030年には200万人に増加するといわれている。日本における視覚障害の原因疾患の3分の2は網膜疾患であり、世界の網膜疾患の患者の総数は3億人以上といわれている。我々は、現在、有効な治療方法が開発されていない正常眼圧緑内障、萎縮型加齢黄斑変性、網膜色素変性の実験動物モデルにおいて、網膜組織の変性を抑制する化合物を見出した。これを主成分とする点眼治療薬を開発し、世界中の網膜疾患患者に提供するために、技術的な基盤の強化と事業化体制の構築を行う。起業後は臨床試験(フェーズⅠ)までを自社で行い、その後製薬企業へライセンスアウトする。
令和4年度
(2022年度)
機能性野菜を栽培可能とする施設園芸用量子ドットフィルムの開発 国立大学法人山形大学
大学院理工学研究科
学生(博士5年一貫課程2年次:修士課程2年に相当)
大下 直晃
機能性野菜は、特定の波長の光を照射することで栄養価が向上する一方で、光量の少ないLEDを用いて栽培する従来手法では、品種が少なく、消費者が許容できる価格を上回ってしまう。また、光量の多い太陽光下では、低コストで多品種の野菜を栽培できるが、機能性野菜の栽培には至っていない。そのため、太陽光下で野菜を栽培する農家は、機能性野菜栽培に新規参入できない点が課題として挙げられる。
上記課題を解決すべく、導入コストが低い「施設園芸用量子ドットフィルム(q.フィルム)」を提供する。これにより、太陽光に含まれる紫外線を、特定の波長への変換が可能となるため、多品種の機能性野菜栽培を実現する。
令和4年度
(2022年度)
極細無痛針製造における溶出ニッケルイオン測定法の確立」 国立大学法人山形大学
大学院 理工学研究科 化学・バイオ工学専攻
教授
木島 龍朗
痛くない注射針は、全世界で4.6億人を超える糖尿病患者の自己注射を筆頭に、歯科用の麻酔注射、言葉で理解できない乳幼児やペットへの接種など、高いニーズがある。我々は、世界初となる安価な電鋳法(メッキ法)を使ったニッケル製の極細針(外径90㎛)の表面に天然物由来の有機化合物を被覆した安心安全な無痛針の開発に成功しており、有機化合物で被覆されたニッケル針は、溶出イオン濃度をチェックして品質管理しているが、ICP-MSを用いる従来法は、高コストかつ高い専門性が必要であり、デメリットが大きい。本課題では、このニッケル製極細無痛針を製造する工程において、ICP-MSを使う溶出ニッケルイオンの分析法に代わる新しい分析方法を検証し、その最適化を行う。
令和4年度
(2022年度)
配管探査を自動化するソフトロボットの研究開発 国立大学法人山形大学
学術研究院(大学院理工学研究科主担当)
准教授
多田隈 理一郎
高度経済成長期に集中して整備された公共施設や集合住宅の中の、老朽化が進む水道管やガス管などのインフラに対して、重大な事故が発生する前に、補修すべき箇所を特定し、必要な修理を施す必要がある。
この課題に対して、配管の3次元地図作成機能を有した、柔軟な繊毛を持つ移動ロボットを用いて、補修が必要な箇所を自動的に特定して、修理を省力化するという課題解決策を提供する。
これにより、ユーザーには、建屋の壁や天井を取り壊すことなく、壁や天井内部の配管の3次元地図情報を所得することができ、ユーザー自身がその場にいなくても、夜のうちに、移動ロボットが正確な3次元地図情報を所得し、補修が必要な箇所を特定してくれるという価値がもたらされる。
令和4年度
(2022年度)
あらゆる食品の非加熱殺菌が可能なパルス電界殺菌装置の1形態の開発 国立大学法人山形大学
大学院理工学研究科
准教授
南谷 靖史
生鮮食品,牛乳や果物,野菜のジュースはおいしく栄養素が取れる飲料として広く普及しているが,賞味期限を延ばすため加熱殺菌を行っている。しかし加熱殺菌を行うことで風味が変わり,熱に弱い栄養素も失われてしまっている。この点の改善には非加熱殺菌法であるパルス電界殺菌が有用で,近年ヨーロッパを中心に普及しだしている。この方法の競争力をさらに上げ,差別化を図るため,牛乳,ジュース等の導電率が高いせいでパルス電界殺菌の電力効率が低い液体でも,導電率の影響を受けにくく,殺菌の電力効率が高く装置コスト,ランニングコストが低くなる噴霧中電界印加殺菌法の開発を行う。
令和4年度
(2022年度)
米由来非可食部の利活用を促進する機能性成分高濃度化技術の事業化 国立大学法人山形大学
大学院農学研究科
教授
渡辺 昌規  
世界人口の増加、代替肉原料・サプリメント需要増を受け、タンパク質市場が拡大傾向にある。特に植物性タンパク質は動物タンパク質と比べ、環境に与える負荷が小さく、持続的なタンパク質供給源として注目されている。また、タンパク供給源は、食料と競合しない非可食部由来であることが重要である。そこで本事業では、代表者が開発した2つのコア技術を用い、米加工副産物である、脱脂米糠から国内産で安全安心な非可食部由来アレルゲン・GMO(遺伝子組換え農作物)フリー植物性タンパク質および食物繊維、機能性リン化合物含有物を製造・市場供給し、国民の健康リスクの低減化と持続可能な稲作の促進を目指す。
令和4年度
(2022年度)
簡易な機構を用いた放射線源の推定システムの構築 国立大学法人福島大学
共生システム理工学類
准教授
笠井 博則
福島第一原発の事故で放出された放射性物質の分布を知りたいというモチベーションのもと、研究代表者らは「簡易な機構による」放射線の観測に関する数理モデルを積分方程式で定式化し、特許を出願した。この技術をコアに、「実機での各方向ごとの放射線の量」を測る器械、放射線源の分布を計測するシステムを構築することを目標とする。このような器械やシステムは、既存の放射線を測る機器に比べ重要な情報を提供できるとともに、放射線源を具体的に測る器械より運搬が容易であるか、安価に構成できる。このメリットによって、相対的に放射線量が強い多くの場所での除染の優先順位の策定や、原子力発電所の廃炉の場面などで(各作業者の近くに設置可能で)不要な被曝の低減に有用である。
令和4年度
(2022年度)
透析医療DXのためのデジタルハブデバイス(Nコネクト)開発実証 国立大学法人新潟大学
医歯学総合病院 腎・膠原病内科
特任助教
大塚 忠司
透析医療のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)は医療者の人的資源の負担削減、医療の標準化の観点からも、医療政策の課題となっている。しかし、透析医療情報と一般診療情報のデジタルデータの統合および転用可能なデータ形成がなされてない為、透析医療現場のニーズに応えることが出来ていない。
昨年度のJSTみちのくGAPファンドの助成金を基に、タスクシフト を推進する医療DXツールとしてシャントエコーマッピングアプリを作製し、協力施設での実証実験を施行し、一定の評価を得た。このアプリシステムはタブレット型入力システムとしてのゲートウェイであり、電子カルテシステムなどの他システムとの連携が次の課題となっている。
我々は新たに効率的なデータ収集、演算機能を持った汎用性の高いデータベースデバイス(Nコネクト)を試作開発した。既に協力医療施設で運用し、周辺アプリ開発も含めた透析医療DXの実証をはじめている。本開発研究ではより多くの医療施設での実証、アプリの高度化、ビッグデータインフラの構築、解析を行い、アカデミア、ビジネス両面からニーズの検証、技術実証を行い、早期の社会実装を目指す。
令和4年度
(2022年度)
細胞内を標的可能な新規創薬プラットホームの開発 国立大学法人新潟大学
理学部 理学科 化学プログラム
研究教授
中馬 吉郎
現在,製薬業界において売上高上位の大半を占める抗体医薬は,臨床現場で隆盛を極める一方,その標的が細胞外に限定されていることから抗体に替わる新規創薬プラットホームの開発が望まれている.我々は,これまで細胞膜透過型DNAアプタマー(IRDAptamer)を独自開発し,乳がん原因タンパク質を特異的に認識・阻害する分子の同定に成功してきた.昨年度のGAPファンドでは,IRDAptamer創薬の汎用性を確認,ならびにin vivo腫瘍移植系の構築に成功した.今回,IRDAptamer創薬のin vivo動態解析を重点的に実施しつつ,老化を含む多様な疾患への応用,ならびに製薬業界との共同研究を精力的に展開することにより,アカデミア発創薬ベンチャー起業に向けた整備を進めることを目的とする.
令和4年度
(2022年度)
データベース⽀援型糖鎖構造解析ソフトウェアの開発 国立大学法人新潟大学
理学部
教授
長束 俊治
基礎生命科学から臨床医学・創薬にいたる広範囲の研究者や技術者が糖鎖情報の重要性を認識しているが、技術的難易度が高く手が出せない状況である。そこで、独自の高精度解析技術を用いて解析ソフトウェアを開発することにより、自動解析装置である糖鎖シーケンサーを完成させ、簡便かつ迅速に糖鎖情報を得られるようにする。その内、本研究開発期間には、糖鎖構造データベースの充実を行い、WEB版の糖鎖構造解析ソフトウェアを作成して公開する。これにより、本ソフトウェアの問題点やニーズなどに関するユーザーからのフィードバックを得て、製品版の開発に活かす。糖鎖シーケンサー関連事業の内、データベース更新版のライセンス料や糖鎖構造の受託解析料、試料調製キットの販売などの収益を見込んで起業を目指している。
令和4年度
(2022年度)
バイオものづくり時代を支える微生物探索ミリオンスクリーニング・サービス 国立大学法人長岡技術科学大学
技術科学イノベーション系
教授
小笠原 渉
国内バイオ産業関連企業の「化成品をバイオ製品に変換させるには有用 微生物を見つけ出し、性能を向上させる必要があるが、微生物の探索・改良(育種)はノウハウ、時間、労力、資金が必要であり、国内企業は独自で進めることが困難である」という課題に対して、100 万の微生物を活性・機能でスクリーニングする世界最高効率の「ミリオンスクリーニング」技術を用いて、各社が独自にスクリーニングするのではなく装置、ノウハウを 1 拠点に集約し、日本のバイオ産業、食品産業、化学産業へ提供することで、企業のバイオ時代への展開をサポートする。
令和4年度
(2022年度)
革新的ジャガイモ種芋・種苗生産技術開発・販売 国立大学法人長岡技術科学大学
技術科学イノベーション系
准教授
牧 慎也 
エネルギーを大量消費する高価な冷暖房設備や光調整専用設備が不要であり、自然光が降りそそぐ世界どこでも応用することが可能な革新的種芋・種苗生産技術および未利用バイオマスを利用したバイオスティミュラント技術により、世界で拡散された効果的な農薬が無い植物病原菌を自然界に存在する微生物本来の能力を活用することで、植物病原菌と共存することで植物病発生を抑制し、生産収量が高くなる安定した低価格種芋・種苗を提供・販売する。
地産地消生産が可能なことで、気候変動による洪水・干ばつ被害を一極集中栽培によるリスクを低減できる。運送コスト抑制であり、すべての人が食糧難にあえぐことが無いSDGs・循環型社会、を実現できる。
令和4年度
(2022年度)
食品利用のためのD-セリン生成酵素の実用化に向けて 公立大学法人宮城大学
食産業学群
教授
金内 誠
腎機能障害や脳の認知機能障害は、これまで治療法が確立されてこなかった。しかし、ごく最近D-セリンを食品や薬剤など経口による摂取などで機能改善に至ると報告される。ところが、D-セリンを含む食品はなく、応用例もない。その理由の一つに生産が難しく、食用にするには高価なことが挙げられる。そこで本究開発ではこれまで、高生産株として分離した細菌のD-セリン生産酵素(D-セリンラセマーゼ)を単離し、その酵素及びこの酵素生産時にバイプロとして生産されるD-セリンを、腎機能障害や脳の認知機能障害予防用食品製造会社へ販売配布することを目指すものである。
令和4年度
(2022年度)
幸せをよぶクローバーウニの事業開発〜美味しさとSDGsの実現!〜 公立大学法人宮城大学
食産業学群
教授
西川 正純
ウニは国産天然品の端境期にあたる10月から3月は品薄感が強く価格も高騰する。これを解決する一手段としてウニの畜養がある。我々は、陸上植物で安価なクローバーを給餌することで、天然ウニに劣らぬ身入りと食味を実現し、昨年、本みちのくGAPファンドに申請・採択され、「クローバーウニ」としての商標登録を経て、周年畜養・出荷が可能であることを確認した。本年度は、本格事業化に向け、周年飼育を可能とするクローバーの固形飼料化、西日本に生息する赤ウニ、ムラサキウニ、ガンガゼへの応用展開の実現を目指すと共に、クローバーウニの身入りを確認するため近赤外線による非破壊検査法の構築、ウニ殻剥きロボットの開発を目指す。
令和4年度
(2022年度)
イヌ・ネコ用皮膚製剤の開発に資するイヌ・ネコ無限分裂線維芽細胞セットの開発 公立大学法人宮城大学
食産業学群
教授
森本 素子
愛玩動物において、皮膚疾患は動物病院診察件数の上位を占める。しかし、いまだ皮膚疾患に対する決定的な外用薬は存在しない。新規保湿剤・外用薬開発には、薬効評価のための細胞培養系が必須だが、イヌ・ネコの正常皮膚系細胞は容易に入手できない。そこで、皮膚においてコラーゲン産生に重要なイヌおよびネコの線維芽細胞の培養系を樹立し、さらに無限分裂細胞化して新規合成物質の有効性を遺伝子レベルで解析できる評価系を構築する。特にイヌにおいては多様な犬種に対応できるよう、複数の犬種の細胞系を確立し、ネコと合わせ一度に薬効評価が実施できる細胞セットを開発する。本技術は、動物愛護の観点から皮膚や胎児からではなく、廃棄される組織から独自の技術を用いて培養することが、他の研究と比して独創的な点である。
令和4年度
(2022年度)
高齢者を見守るための小型センサユニットの商品化 公立大学法人会津大学
コンピュータ理工学部
教授
趙 強福
日本のような高齢化社会において、高齢者の見守りは大きな社会課題となっている。一人暮らしの高齢者を守るために、様々な見守りシステムが開発され、運用されている。しかし、状況把握とプライバシー保護を両立させるためにはまだ解決すべき課題が多い。われわれはこれまでに、プライバシーに配慮しながら利用者の位置、動静、活動パターンなどを把握することができる、小型センサユニットならびにデータ解析技術の開発・実証・試作などに取り組んできた。本提案では、安全規格に合致したセンサユニットの試作の完了と解析機能の改善により、高齢者にやさしい見守りシステムの実用化・商品化を図る。