採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
スタートアップ・エコシステム形成支援

北海道未来創造スタートアップ育成相互支援ネットワーク(Hokkaido Startup Future Creation development by mutual support networks/HSFC "叡智の力、エイチフォース")

2022年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和4年度
(2022年度)
アニオン重合の実用化を志向したフロー精密重合の実証 北海道大学
大学院理学研究院
特任助教
芦刈 洋祐
本研究開発課題では、世界に先駆けて独自開発してきたフローマイクロリアクター技術を用い、大きな産業・社会ニーズが期待されるアニオン重合技術の実用化を開拓する。研究開発では、送液方法を確立し、流量計や圧力計などの制御系を組み込んだ連続生産システム装置の試作を行う。試作装置を用いた5時間の連続運転により数十kgのポリマー生産を実証する。ビジネスモデルは、顧客企業における部材ごとの最適なフロー精密アニオン重合装置の設計とその導入およびコンサルティングである。その実証のため適宜化学メーカーのヒアリングを実施し、各種ポリマーの生産実証を行う。
令和4年度
(2022年度)
メカノケミカル法による有機化学合成の革新
2023年11月
「株式会社メカノクロス」起業
北海道大学
化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)
大学院工学研究院
副拠点長
教授
伊藤 肇
メカノケミカル有機合成は、ボールミルなどを用いて、溶媒を用いずに有機合成反応を実施することができるため、従来の有機合成法に比べて、低コスト、高安全性、環境への影響が小さいなど大きな利点を有している。研究代表者は、これまで、メカノケミカルクロスカップリング、圧電材料を用いるメカノレドックス、メカノGrignard 反応など、新しいメカノケミカル合成手法を多数開発している。本事業では、引き続いて大量合成、事業化に向けた研究開発を行うと同時に、研究成果と起業・事業化のギャップを埋めるための調査活動を行う。
令和4年度
(2022年度)
世界一の解像度をもつ3Dバイオイメージング技術の開発と社会実装 北海道大学
大学院理学研究院地球惑星科学部門
准教授
伊庭 靖弘
3Dイメージング技術は、 X線CTとCT用レンダリングソフトの独占状態となっている。これが、1)低解像度、2)非効率な計算など当該分野に技術革新を生めない状態を引き起こしている。本プロジェクトは、世界一の解像度をもつ3Dバイオイメージング手法を開発することで、これらの問題を突破し、試料準備からトモグラフィ画像撮影、3Dレンダリングまでをスピーディに行う委託分析事業・データ販売を目指す。
令和4年度
(2022年度)
遺骨を土に還す樹木葬で世界に生きた証を残し人々とつながり続けるお墓 北海道大学
メディアコミュニケーション研究院
准教授
上田 裕文
遺骨を土に還す自然葬としての樹木葬の手法を用いて、新たな墓地の形態と埋葬システム、墓地管理システムを開発する。自治体の公営墓地や寺院墓地の無縁化調査、使用者調査業務から各墓地の置かれた墓地・遺骨問題の現状を明らかにし、その解決策としての樹木葬墓地を計画・設計する企画書作成事業を構築する。さらに、利用者の記憶と記録を地理情報とともに残し、ネットワーキングするプラットフォームを開発し、社会構造の変化に対応した、時間と空間を超えた人々のつながりを可能にするシステムを提案する。
令和4年度
(2022年度)
サイエンスコミュニケーションで生み出す社会との共創の場
2023年5月
「株式会社サイバコ」起業
北海道大学
大学院教育推進機構
准教授
奥本 素子
科学技術を社会実装する際には、多様なステークホルダーとの共創が重要だと考えられている。しかし科学技術の幅広い知識をベースに対話を行う、サイエンスコミュニケーターの存在は、十分社会に浸透していない。本提案では、サイエンスコミュニケーターのデータベースサイトを運営し、本サイトに登録したサイエンスコミュニケーターを社会の対話の場に派遣する事業を実装することを目的とする。本研究開発期間においては、企業側、サイエンスコミュニケーター側双方が利用しやすいインターフェイス及び機能について調査し、その調査結果を反映させたデータベースサイトを開発する。
令和4年度
(2022年度)
タンパク質N末端修飾技術を基盤とした診断薬・バイオ医薬品の製造 北海道大学
大学院地球環境科学研究院
教授
小野田 晃
タンパク質を用いた医薬品、検査試薬の製造には、タンパク質の化学修飾を位置特異的に施す技術が重要性である。研究代表者は、タンパク質N末端に対して簡便に化学修飾が可能な独自技術を開発した。本技術は、1工程の修飾試薬製造と1工程のタンパク質修飾であり、特異的・高修飾率かつ簡便なN末端修飾法であること、また多様なモダリティを簡便・安価に提供可能な点に特徴がある。本研究開発により、タンパク質N末端へ薬剤・蛍光色素・ペプチドなどを特異的・高効率に化学修飾する基盤技術を利用して、研究用試薬・診断薬・バイオ医薬の製造事業化を進める。起業予定のNGENIESS BIOSCIENCES では製薬企業と診断薬製造メーカーへ修飾剤のライセンシングと修飾剤原料を販売する。
令和4年度
(2022年度)
iCUREs:免疫チェックポイント阻害剤の癌治療効果予測サービス 北海道大学
大学院医学研究院
教授
小林 弘一
免疫チェックポイント阻害剤の市場規模は3兆円を超え、現代の癌医療に欠かせません。強い副反応と高い薬価にも関わらず、効果は一部の患者にしかないため、治療前に効果を予測する方法が求められています。現在FDA承認されているバイオマーカーは信頼性に乏しく、効果予測には役に立ちません。私達は遺伝子解析による予測アルゴリズムの開発に成功しました。治療効果予測を行うサービスの事業化を目指します。癌患者の生検または手術サンプルより遺伝子発現を解析、私たちの開発した予測ソフトウェアにて、治療効果を予測してスコア化します。今後10年で免疫チェックポイント阻害剤の市場は20兆円になる事が予測されており、それに伴って治療予測を必要とする顧客と市場の急拡大が予想されます。
令和4年度
(2022年度)
新型省電力集積回路の開発 北海道大学
大学院情報科学研究院
准教授
冨岡 克広
トランジスタの微細化による消費電力と放熱の問題が顕在化する。この課題の解決方法として、トランジスタの消費電力を9割削減する代表者の技術シーズ群で、未来産業の基本的なニーズを満たす、いわゆる燃えない未来デバイスを創り出すデバイス集積技術プラットフォームを構築する。本課題は、半導体ナノワイヤ異種集積技術およびSi/III-Vヘテロ接合形成技術による省電力型縦型トンネルFETアレイを立体集積し、トンネルFET素子の特性ばらつきと非線形性を利用した新たな高密度・省電力型リザバー演算チップを構築する。これによって、車載用演算素子や新型ロジック回路創出へ繋がる産学共同研究体制の構築を目指す。
令和4年度
(2022年度)
農作物の生長度・熟成度制御を可能とするエチレン徐放固体材料の開発 北海道大学
大学院地球環境科学研究院
教授
野呂 真一郎
農作物の高付加価値化を目指し、商社や農業組合などに農作物の生長度や熟成度を制御可能なエチレン徐放ユニットを販売するベンチャーを立ち上げる。本提案では、エチレン徐放ユニットベータ版を用いて高付加価値な果物の追熟制御効果を実証する。また、北海道内の各所での顧客ヒアリングを行い、本ユニットの他用途利用を見出す。起業化のための準備(特許出願、起業ノウハウの習得)も並行して行う。
令和4年度
(2022年度)
医療診断装置応用を目指したTlBr 半導体γ線センサーの開発 北海道大学
大学院 工学院
博士課程3年
山石 直也
本研究開発では、圧倒的な放射線(γ線)検出効率と高いエネルギー分解能を持ち、室温でも動作可能な臭化タリウム(TlBr)半導体センサーの安定的製造工程を実現し、商用化の目途を立てる。同センサーは心臓病診断用SPECT装置等の医療診断装置で求められており、環境放射線計測機器市場を一次ターゲット、医療診断装置市場を二次ターゲットとした事業展開を予定している。2008年以降、米国で大きな市場が存在する心臓病診断SPECTでは検出素子の半導体化により市場の急成長が生じている。起業後は、最終的に300~500億円程度で大手医療機器メーカーへのバイアウトを目指す。
令和4年度
(2022年度)
体液検査によるがん診断システムの開発 北海道大学
大学院理学研究院 化学部門 分析化学研究室
准教授
龍﨑 奏
我々は血液検査から「がんの検出」「がん種の特定」「がんの転移予測」ができる簡便で安価ながん診断システムを構築し、そのシステムの販売および受託サービスを軸にした事業を目指している。本研究開発では、主に本がん診断システムで用いる「検査基板の量産化技術の構築」を行う。本基板作製ではウェットエッチングプロセスが必須であるが、このエッチング反応が不安定なため基板作製の歩留まりが低いといった課題を抱えていた。そこで本研究開発では、流体システムを用いたウェットエッチングプロセスを開発することで、エッチング反応の状況に応じて自動でエッチングプロセスを制御し、基板作製の歩留まりを上げ、最終的に「基板の量産化技術」へと改良していく。
令和4年度
(2022年度)
DX人材ネットワークによる地域課題のデータ分析と社会人向け教育・人材育成
2023年2月
「株式会社en」起業
北海道大学
大学院教育推進機構 高等教育研修センター DX教育連携部門
特任准教授
湧田 雄基
本事業では、地域企業等の課題を対象としたDS(Data Science)活用やDX(Digital Transformation)を提供する。社会のDX化の波に加え、DS・AIの社会人リカレント教育の社会的要請に応える価値提供により事業化を狙う。これに向けた研究開発としては、DS・DX試行と教育を両輪で進め、試行結果を教材化し、企業向けに提供可能なe-Learningや研修として開発を行う。
令和4年度
(2022年度)
科学とアートによる人-環境相互課題解決人材の育成プログラムの開発と実装 北海道大学
大学院理学研究院
講師
渡邊 剛
研究代表者がこれまでの地域研究で行っているアートを媒介とし、一般の人にも科学の難しさを伝えることができる「科学的知見に基づいた共感を得やすい未来社会像を得るアートの手法」を活用し、次世代の総合知を活用する科学的な知識を身に着けた人材育成のための教育プログラムを構築し、教育コンテンツとして旅行会社等に提供するサービス事業を目指している。本研究開発では、主に演劇を使った科学の伝え方のコンテンツを開発を行う。本演劇の作成では、劇作家や劇団員などの専門家からの知見のフィードバックや、研究代表者がフィールドとしている鹿児島県の喜界島で同様の演劇を行ったときの観客に与える心理的な影響と、今回の演劇の開催予定地である首都圏の観客との比較実験を行う予定である。「総合知」という新たな「知」の形を基に、社会実装を目指す意欲的な提案であり、従来の技術に留まらない。研究における地域やアートの巻き込みについてビジネスモデルとして組み込むため、それらを基にしたビジネスモデルの構築とそれに基づく教育プログラムのプロトタイピングをPoCとして活動する。
令和4年度
(2022年度)
秋播きを可能にする種子の多層ポリマーコーティングの開発 北見工業大学
工学部 応用化学系
准教授
浪越 毅
播種を行う春の農繁期の人手不足解消のため、収穫後の晩秋の農閑期に播種を可能にして労働力・時期の集中を分散シフトさせる。このため、これまでに達成したポリマーコーティング種子による冬期播種システムを秋播きに拡張するための開発を行う。秋播きシステムに対応するコーティングポリマー開発とそれらを使ったコーティングの剥離制御を確立する事を目標とする。これにより秋播き越冬栽培システムを確立して種子のポリマーコーティングの設計販売を事業化する。
令和4年度
(2022年度)
抗原検査の飛躍的高感度化を実現するウイルス濃縮材料開発と生産技術の構築 苫小牧工業高等専門学校
創造工学科
教授
甲野 裕之
特定ウイルスと結合する「ウイルス結合性糖ナノゲル粒子」は、簡便かつ迅速に希薄検体から標的ウイルスを100%濃縮回収でき、感染症検査の飛躍的高感度化を可能とする。本研究では、大量合成系の構築と保管安定性評価、実ウイルスたんぱく質での濃縮実証、対外検査薬評価等の実用化データを蓄積し、起業化の加速化を図る。研究開発と並行して、JPP特許調査/市場調査、パテントマップと特許ポートフォリオ作成を進め、計画的な知財戦略を進める。また体外検査メーカー等に対する技術PRを積極的に実施し、本技術の優位性、先進性の周知を図り、起業環境の充実と起業の加速化を狙う。
令和4年度
(2022年度)
サイバーフィジカルシステム実現に資するIoT向け電力自給技術の研究 函館工業高等専門学校
生産システム工学科
教授
中津川 征士
無数のIoT端末からの膨大な情報を仮想化空間で解析・処理するサイバーフィジカルシステムの実現には高速演算・電力削減が必須である。本提案ではアナログ信号処理を駆使した演算量軽減による電力削減と無線電力伝送の双方からIoTシステムの電力自給技術を確立し、本技術の試作・実用化を通じた社会実装を行う。
令和4年度
(2022年度)
ワイヤレス電力伝送応用マイクロ波融雪システム 函館工業高等専門学校
生産システム工学科
教授
丸山 珠美
自律制御型除雪ロボットは雪の置き場の確保と、自律制御に必要な磁気テープの設置が課題であった。一方、マイクロ波を用いた融雪法が考えられるが、少ない設備で広いエリアを融雪することが課題であった。本研究開発では、融雪用マイクロ波を用いたワイヤレス電力伝送により、除雪ロボットの動作と制御、融雪を可能とする。