採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
スタートアップ・エコシステム形成支援

Tokai Network for Global Leading Innovation(Tongali)

2022年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和4年度
(2022年度)
全身性エリテマトーデスの新規診断法 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 大学院医学系研究科 病態内科学講座 腎臓内科学
特任講師
秋山 真一
全身性エリテマトーデス(SLE)は、若年女性に好発する原因不明の自己免疫疾患で難病指定されている。ループス腎炎などの重篤な疾患を合併し、根本治療法はなく、生命予後が悪い。SLEを早期診断できれば生命予後を大きく改善できることが判っているが、これまでそれを実現する迅速診断法が無かった。本件研究代表者らはSLEに特異的かつ新規な尿中代謝物CU040を発見して迅速診断薬の開発に成功した。これらのシーズに基づいたSLE迅速診断薬の製造販売ビジネスとCU040に着目したSLE治療薬の創薬開発ビジネスを行う。
令和4年度
(2022年度)
食糧蛋白源生産の加速化技術 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 大学院医学系研究科 病態内科学講座 腎臓内科学
技術補佐員
秋山 真理
地球規模での食糧危機が目前に迫り、特に“動物性食糧蛋白源の確保”は人類の最重要課題の一つとなっている。魚類は良質な蛋白源としてだけでなくDHAなど有用な脂質源としても期待されている。本研究代表者らは、これまで半導体生産などに利用されてきたプラズマ技術を転用して、既存の養殖技術を凌駕するパフォーマンスで養殖魚の成長促進と肉質改善を実現し、その機序を明らかにしつつある。
 本研究開発では、起業後の収益化加速を目指して、プラズマによる成長促進と肉質改善効果の機序に関するエビデンス取得、プラズマ処理飼料商品のプロトタイプ作成と評価、哺乳類での効果の検証、知財拡充、ビジネスプランのブラッシュアップを実施する。
令和4年度
(2022年度)
体外ホウ素中性子捕捉療法を用いた血液がんの自家造血幹細胞移植のための中性子照射サービスの事業化検証 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 大学院工学研究科 総合エネルギー工学専攻
教授
瓜谷 章
ホウ素中性子捕捉療法BNCTは、難治性のがんを細胞単位で殺傷できる画期的ながん治療法として注目されている。名古屋大学は適切なエネルギーのBNCT熱外中性子を生成する加速器システムの技術検証に成功した。この加速器と新しいホウ素薬剤OKD-001(岡山大学)を組合せ、血液がん治療の自家造血幹細胞移植AHSCTにおいて、移植片(グラフト)中のがん細胞を選択的に殺傷する体外照射Ex Vivo BNCTモジュールの開発を進めている。
造血幹細胞は体組織として最も放射線に弱く、グラフトからがん細胞を選択的に除去して自家移植後の再発・再燃を防ぐpurge技術の開発は、重要である。血液がん治療の予後は悪く、特に白血病や多発性骨髄腫MMの5年生存率は50%未満であり、大きなアンメット・ニーズがある。本事業では、モジュールを使用した照射サービスの事業化に関連して、グラフトの凍結輸送法と事業実施の制度的側面について検討する。
令和4年度
(2022年度)
ナノ3Dプリンタによるメタマテリアル造形の事業化検証 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 工学研究科
助教
木村 康裕
向こう10年以内に1兆円超えの市場規模になると予想されるメタマテリアルについて、その普及のボトルネックとなっているコスト問題を解消する独自製造技術「ナノ3Dプリンタ」の開発を実施する。メタマテリアルは、自然界に存在しない特殊な人工構造に由来して特異な機能を発現する材料のことを指し、光の波長以下のナノサイズ、かつ適切な構造設計と緻密な造形技術を必要とする。このメタマテリアルの潜在的市場は多岐に渡り、光フィルタ、スマート太陽光発電、スーパーレンズなどの光学分野、医療機器、さらには地震遮蔽への応用も期待されている。ビジネスモデルは、低コストを売りにして多くの人への普及と市場開拓を目指し、ナノ3Dプリンタのサブスク形式によって事業展開する予定である。
令和4年度
(2022年度)
極短パルスレーザーを用いた水素製造技術の事業化に向けた性能向上に関する検証 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 大学院工学研究科総合エネルギー工学専攻
助教
桑原 彬

国立大学法人静岡大学
工学部機械工学科
助教
水嶋 祐基
本研究課題は、海水・河川水・生活排水等からフェムト秒レーザーの多光子電離をトリガー反応として水素を直接製造する革新的な技術シーズを事業化に向け、本技術のスケールアップを実証するものである。具体的には、①レーザー光のマルチスポット化、②長尺プラズマ化(レーザーフィラメンテーション)の実証実験を行う。レーザースポットの微小空間で水素を製造できる利点を生かしながら、スケールアップと利用先拡大の指針を得ることを目的とする。事業化では、太陽光パネルの発電電力を入力、燃料電池へ水素供給を出力とした、レーザー装置・反応セル・貯蔵タンクから構成されるパッケージを商品とする。ビジネスモデルは、初期顧客層を中山間地域の自治体と想定し、徐々に顧客層の拡大(途上国やモビリティー向け)や事業拡大(CO₂分解によるメタネーション・有害ガス分解処理)を計画している。
令和4年度
(2022年度)
作物の生体診断技術によるフードバリューチェンの変革 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 生物機能利用開発研究センター
准教授
野田口 理孝
作物の生体内の分子を捉えることで、生体診断する技術によってフードバリューチェーン全体を変革する事業を目指す。事業標的として、作物の生産現場のコストとリターンの最適化(農薬肥料コスト減、収量増)、農業資材提供者の製品の付加価値向上(次世代農薬共同開発、農業装置の多機能化、種苗共同開発)、作物の流通現場における生産調整の最適化と品質保証に取り組み、技術実証と事業実証を積み重ねる。作物の各種の診断アルゴリズムを開発・整備することで、各プレーヤーの事業を後押しし、それによる対価を得る。本事業による作物診断技術を社会に浸透させることで、優れた栽培技術を生体診断により誰もが継承できるようにし、農業資材の共同開発を通じて、環境負荷の低減を果たすことで、持続可能な農業を実現する。
令和4年度
(2022年度)
集団スポーツ戦術を画像処理と機械学習の予測に基づき評価する技術の事業化 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 大学院情報学研究科
准教授
藤井 慶輔
【課題】スポーツ競技において、映像・データの取得技術の発展は著しいが、選手やチームの勝利に結びつくまでの戦術分析技術は十分に発達していない。例えば初心者がわかるように複雑な戦術を説明することが難しいという課題があり、コンテンツの制作・配信事業者にとって、インパクトある情報配信の提供方法に強い需要がある。
【研究開発】我々は簡単に評価できるボールを持つ選手だけでなく、全ての選手を動画から評価するために、機械学習による移動予測に基づく評価から、得点に至る複数選手の関与について客観的に評価できる解析技術を世界で初めて開発する。
【ビジネスモデル】まず上記コンテンツ関連事業者に対し、貸与された生データを高度解析するアプリを共同開発またはコンテンツを共同制作する事業から始め、将来的にはアジア・国内のプロ・強豪アマチームで勝つ/上達する/選手を正当に評価するための自社の動画評価アプリの販売を考える。
令和4年度
(2022年度)
ロックインサーモグラフィを用いた熱物性測定技術の事業化検証 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 工学研究科 機械システム工学専攻
大学院生
藤田 涼平
ロックインサーモグラフィ(LIT)を用いた熱物性評価技術をシーズとする「商品名:THERMOSPECT(サーモスペクト)」の事業化検証を目的とする.本商品は3000億円超の市場である半導体向け放熱材料の熱物性評価をジョブとする.これまでにLITによる熱伝導構造の評価に成功した研究は世界を見ても例がなく,既に共同研究は延べ15社にのぼる.大手放熱材料メーカーへのヒアリングでは,本商品の提供価値は既製品の「時間的コスト,形状の制約」を大幅に削減し,さらに他の製品にはなし得ない独自の価値があることが分かった.研究開発では測定の半自動化・低コスト化を達成するため,専用ソフトウェアと製品プロトタイプを構築する.またビジネスモデル検証ではスポット受託測定を実施し,事業化に必要なトラクションを確保する.
令和4年度
(2022年度)
All Japan大規模レジストリデータを背景とした間質性肺炎の遠隔診断と、治療プログラムの事業化検証 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター
特任助教
古川 大記
間質性肺炎は進行性に悪化する多様な肺疾患で、平均余命が約3年と予後不良な特発性肺線維症(IPF)を含む。早期に診断して治療を開始することが最重要であるが、診断を誤って治療を行うと死亡率が上昇するため、正確な診断が必須である。しかし呼吸器科医ですら診断は難しく、専門家集団による合議診断が必須であるが、専門家集団が揃う事は皆無である。また、時間とともに病状が変わり、診断も変わることが多いため、専門家集団による継続的な病型・病状評価と介入判断が重要だが、現実には専門家数が少なく不可能である。
このアンメットニーズの解決のため、①開発済みの診断・予後・治療効果予測のAIアルゴリズムをDtoDで提供し、②専門家集団が遠隔診断を行うサービスをセットで提供する(静的解析サービス)。具体的には、受診した病院が検査データとCT画像をWebに登録すると、AI診断レポートと、専門家集団の遠隔診断レポートが送られる。現在、専門家集団による遠隔診断の保険収載を目指し、関連学会の意見を取りまとめている。
さらに、All Japanレジストリデータによる既存AIモデルをベースに、患者報告アウトカム(Patient Reported Outcome: PRO)や呼吸機能のモニタリングを日常的に行い、③病状の悪化を早期に覚知し、④病状・病型に応じた適切な呼吸器リハビリテーションをサジェスチョン、するDtoPサービス機能を有するプログラム医療機器(動的解析サービス)アルゴリズムのPoCを実施する。
令和4年度
(2022年度)
SouplesseFibre-しなやかさをその手に 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 大学院工学研究科 機械システム工学専攻
准教授
前田 英次郎
私たちが日頃何気なく使う手足や指の関節の柔らかい動きは、強くてしなやかな腱や靭帯によって支えられている。関節変性は社会の高齢化と健康寿命の延伸に伴い幅広い年代で増えつつあり、人工靭帯を用いた関節修復は治療法の1つである。しかし、現在用いられている合成高分子製人工靭帯は硬いだけでしなやかさを欠くため、取付け時の張力調整が難しく修復後の可動性の低下の問題が生じている。そこで私たちは生体由来素材で丈夫でしなやかな人工靭帯を開発することで、1人でも多くの患者さんの関節にしなやかさを取り戻し、思うように手指を動かせないストレスから解放されてカラダもココロも健やかな生活が送れることを目指す。代表が専門とするバイオメカニクス研究で見出した腱や靭帯特有の組織構造と機能性を再現する人工靭帯開発技術を基盤技術とし、人工靭帯開発・製造と販売を手がける事業体として社会実装を目指す。
令和4年度
(2022年度)
超薄膜グラフェンを用いた高機能汎用型素子の製造販売事業化検証 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 大学院理学研究科
講師
三石 郁之
本事業では、世界最薄・最高強度を誇るグラフェン超薄膜が有する、そのユニークな物性を活かした高機能かつ汎用性の高い素子の普及を目指している。具体的には、電磁波 (紫外線 / X 線が主)・電子・流体等の任意の組み合わせに対し高いコントラストを実現する広義の超高感度フィルターを実現し、顕微鏡試料支持材・紫外線 / X線検出器窓材・流体セル窓材等への実装を目指す。これらは顕微鏡・放射光ユーザーや顕微鏡製造メーカー・放射光施設等に販売する。本ベンチャーは各ニーズに合わせた素子設計、グラフェンと基板の組み合わせ工程および評価等の最重要工程を担当する。この実現には、支持部のない自立グラフェン膜の歩留まり向上を目指した製作工程の条件出しや経年劣化等の評価工程の確立が必須となる。
令和4年度
(2022年度)
宇宙線イメージングによる地下資源探査の事業化検証 国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 大学院理学研究科
准教授
森島 邦博
近年の世界情勢の変化やエネルギー問題などにより、効率的な鉱物資源探査システムの確立や地熱発電のための熱水源の探査は、国の政策にも関わる重要事項となっている。これらの地下資源探査は、世界的に見ると年間1兆円規模の市場である。本開発課題では、従来技術とは質的に異なる宇宙線の透過イメージング技術により地下構造の密度分布を高精度かつ広範囲にわたり一度に可視化することで、従来技術にアドオンする形で効率的な地下資源探査の手法を顧客に提供するビジネスモデルを検証する。本事業の実現に不可欠なコア技術として、地中ボーリング孔に挿入可能な宇宙線検出器の開発と地下構造の密度分布イメージングを実証する。
令和4年度
(2022年度)
生物種を超えたエクソソームの品質規格の策定とエクソソーム高含有食品の開発
2023年3月
「株式会社GIFU EXOSOME」起業
国立大学法人東海国立大学機構
岐阜大学 工学部 化学・生命工学科
教授
竹森 洋
エクソソームは細胞・微生物から放出され、他の細胞機能を調節することで注目を集めている。しかし、その定量は一部の哺乳類でのみ可能で、測定も半日以上の時間を要する。我々は、エクソソームに結合すると蛍光を発する化合物を見出し、生物種を超えて最短10分で定量する技術を構築した。また、エクソソーム品質管理に有用なクロマトシステムや細胞内追跡システムも構築した。加えて、微生物も活用することで食品業界や化粧品業界に止まらず、ワクチン素材や薬物送達技術の開発基盤も構築する。まずは、本技術の普及のための、製品規格(JIS)の必要データを構築する。
令和4年度
(2022年度)
医用画像における画像認識技術を利用した定量計測およびデータベース化支援の事業化検証 国立大学法人東海国立大学機構
岐阜大学 工学部 電気電子・情報工学科
教授
原 武史
最近は、大きな傷口をつくる大規模な外科手術より、放射線治療や薬による低侵襲な治療が好まれています。それらの治療を保険治療として標準化するためには、治療法としての効果を測定する必要があります。これはほぼ手動の作業で行われており、かなりの手間がかかる作業になります。研究として考えればそれも重要ですが、業務として考えるとかなりの負担になっています。医療業界には、ママさん医師や定年退職後の放射線技師など、活用されていない人材が多くいると言われています。AIと人の連携システムをコンピュータ上に構築し、それをネットワークで利用できるようにすれば、そのような能力のある人材を活用する機会も創出できると考えています。そして、能力のある人材が、定年後も社会とのつながりを確保する機会を提供できるフレームワークの検証を行います。
令和4年度
(2022年度)
エピジェネティック変異を利用した世界初のストレス耐性バナナの育種技術での事業化検証 国立大学法人三重大学
地域イノベーション学研究科
博士前期課程1年
小西 慶延
本技術は、組織培養が可能な全ての植物種、品種に対して、病害抵抗性や低温、塩、乾燥などの様々なストレスに対する耐性を迅速かつ低コストで付与することができる。既に単子葉植物のイネおよび双子葉植物のタバコやトマトにおいて、本技術が応用可能であることが実証されており、極めて汎用性の高い技術シーズである。
本事業では、エピジェネティック変異を利用した育種法のターゲットとしてバナナに着目する。バナナは、世界で最も重要な食用作物の1つであり、その生産量は約1億トンと言われるが、病原糸状菌であるFusarium oxysporumの変異株TR4の影響によって絶滅の危機に瀕している。バナナの経済効果は数兆円に及ぶとみられており、大規模な栽培地で大きな病害による被害が出ると、世界経済に影を落とすとも言われている。
大規模なバナナ栽培では、苗を組織培養で増殖させることから、この過程に本技術を適用すれば直ちに病害抵抗性を付与したバナナの生産が可能である。したがって、バナナをターゲットとすれば、病害抵抗性植物の作出と苗の販売および栽培許諾契約の形態でグローバルにビジネス展開することが期待できる。
令和4年度
(2022年度)
アルギン酸デオキシ糖(DEH)の事業化検証 国立大学法人三重大学
大学院生物資源学研究科
准教授
三宅 英雄
ブレインヘルスサプリメント市場は、2022〜2030年にかけて10%以上の成長率が見込まれ、2030年には198億5,000万米ドルに達すると予測されている。認知症の予防・改善を目的とした既存のサプリメントの多くは、抗酸化作用や動脈硬化予防など脳に直接作用するものではなく、間接的に脳に影響を与えるものが多い。アルギン酸デオキシ糖(DEH)は、神経突起伸長を促進することが分かり特許出願を行った。この技術を用いれば、既存の商品とは異なる付加価値の高い商品を提供することが可能である。本事業では、DEHの大量生産とDEHが中枢神経系を構成するどの部位に最も影響を与えるかを調べる。さらにマウスの虚血性脳血管障害モデルを用いた認知機能の回復試験を行うことでエビデンスの強化を行う。
令和4年度
(2022年度)
CFRP製バイポーラ製品パッケージの事業化検証 学校法人名城大学
理工学部 交通機械工学科
准教授
仙場 淳彦

国立大学法人東海国立大学機構
名古屋大学 大学院医学系研究科
准教授
本村 和也
脳神経外科医が手術で用いるバイポーラ凝固止血器具において、炭素繊維強化樹脂(CFRP)を用いて軽量化し、手術負担を軽減する。また、アジア人向けに寸法小型化・形状最適化を図る。これらの特徴を有するCFRP製バイポーラ製品等を製造する企業を立ち上げる。
令和4年度
(2022年度)
精神障害の治療薬ならびに患者層別化バイオマーカーの事業化検証 学校法人藤田学園
藤田医科大学 大学院保健学研究科
講師
國澤 和生
アルコールの長期乱用や依存に伴う脳機能障害を罹患する患者は、国内外問わず増加の一途を辿っている。しかしながら、有用な診断・治療法が確立されておらず、現在は対症療法に留まっている。
申請者らは、抗アレルギー薬として安全性が確立されているクレマスチンがアルコール性脳機能障害の唯一の治療薬となり得ることを発見した。さらに、当疾患の診断バイオマーカーとなり得る候補分子を複数抽出し、特許出願を行った(特願2022-020298)。本申請では、当疾患に対するクレマスチンの創薬事業ならびに適応患者を層別化するバイオマーカーの事業化を検証する。来年度には本技術により創出された事業を軸としたベンチャー立ち上げに向けて、事業計画の策定、顧客候補へのヒアリング、バリューチェーンの構築に向けた準備を進めていく。
令和4年度
(2022年度)
高効率なヒトがん細胞初代分離培養技術 学校法人藤田学園
藤田医科大学 研究推進本部 総合医科学研究部門 バイオリソース室
特任教授、副室長
山本 直樹
申請者らは、気管支鏡下がん生検組織、または外科的手術において摘出された1)肺がん組織の保存液、および2)初代分離培養法(以下、本技術)を開発した。本技術を活用することにより、初代分離培養の成功確率が10%と最も難しいがん種の1つといわれている肺がん組織の成功確率を格段に上げ、安定的に培養を行うことが可能となる。
本技術を活用することにより、ヒトがん細胞の安定的な培養が必要不可欠となるがん組織の遺伝子解析や抗がん剤の薬効検査を実施することで、がん分野における個別化医療を実現することが可能となる。本申請者らが発明した培養技術を元に、抗がん剤の薬剤スクリーニングサービス事業を担うベンチャーの創出を目指す。
令和4年度
(2022年度)
PCLS, ex vivo培養を利用した肺線維症治療薬開発をサポートするシステムの事業化検証 公立大学法人名古屋市立大学
大学院医学研究科 神経発達症遺伝学
学内講師
金澤 智
難治性疾患、間質性肺炎は5年生存率が50%と高いアンメットメディカルニーズがある。治療薬開発には、肺線維化を適切に評価する実験系が必要だが、この実験系がないため研究が進みにくい状況である。我々は、肺線維化を評価できる“間質性肺炎感受性の高いマウス”の作製に成功した。さらにこのモデルマウスから肺を薄切した“PCLS (Precision-cut lung slices)”を用い、肺線維化に加え、肺障害を鋭敏かつ短期間で評価することを可能とした。これらのツールを上市し、肺疾患治療薬開発を強力に推進する。また将来的には、独自に進めている肺線維症治療薬開発(AMEDプロジェクト)とこのシステムを融合することで、AMEDプロジェクトの実現化の加速にも繋げていく。
令和4年度
(2022年度)
オーダーメイド透析支援の事業化検証 国立大学法人静岡大学
工学部 機械工学科
准教授
佐野 吉彦
本研究は「患者を元気にする透析」を提供する大学発ベンチャー企業を起こすために、研究代表者の発明(PCT/JP2021/035856)を基に、患者ひとりひとりに合わせたオーダーメイド透析支援アプリケーションの試作および医師による評価を行う。現在,国内の透析患者は34万人にのぼる。患者に適した透析条件を設定することは難しく、「生かすだけの透析」を行っているのが実情である。本アプリケーションは、患者ひとりひとりの透析における毒素推移の見える化、患者に適する透析条件の事前検討が可能となる。本研究ではアプリケーションの試作に加えて、臨床研究を実施してアプリケーションの有用性を確認する。
令和4年度
(2022年度)
IoTセンサー端末向け環境発電・バッテリーのハイブリッド電源回路の事業化検証 国立大学法人静岡大学
工学部
教授
丹沢 徹
掲題の電源回路はコンセプト実証を終えた。この回路を用いれば、IoTセンサー端末のバッテリー交換頻度を1/10(程度)にすることができる。既存の電源回路を提案の回路で置き換えたセンサー端末で実証実験を行うためには回路試作が必要である。GAPファンドでこれを実施する。電源回路をIP化してより安全安心な社会の実現に貢献したい。