採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
スタートアップ・エコシステム形成支援

Greater Tokyo Innovation Ecosystem(GTIE)

2022年度

 (グレー網掛)は終了課題です。所属・役職名はすべて採択時のものとなります。

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和4年度
(2022年度)
超小型RNA結合タンパク質創薬 国立大学法人東京大学
大学院 新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻
助教
遠藤 慧
本研究開発課題では3塩基1本鎖RNA(トリプレット)に特異的に結合する超小型のRNA結合タンパク質を独自の新規治療オプションとし、非翻訳性リピート病を主な疾患領域とした治療薬の研究開発に取り組む。前臨床もしくは臨床試験2相試験前後までを事業範囲とし、パイプライン創薬、共同開発、ライセンスビジネスを組み合わせた治療薬の研究開発事業の創出を目指す。本課題の期間には2種類の疾患に着目してパイプライン型の研究開発に取り組み、RNA-タンパク質間相互作用を検出する独自のプラットフォーム技術を基盤にリードタンパク質を創出し、さらに機能性を持たせるためにリードタンパク質に付加するペプチドを創出するシステムを構築する。
令和4年度
(2022年度)
プール型・網羅的な細胞表現型解析技術の事業化 国立大学法人東京大学
先端科学技術研究センター
准教授
太田 禎生
本研究開発では、細胞の生細胞機能や形態情報と、細胞を破壊して得られる分子情報を、多角的に解析する技術の、細胞表現型創薬スクリーニング技術への応用を図るべき技術実証を行う。並行して、産業的に価値のある実証ターゲットに関する情報を、米国において収集することにより、重要な新規細胞解析技術の産業実証・実用化展開の加速を図るものである。
令和4年度
(2022年度)
環状オリゴ糖からなるナノシートの事業化 国立大学法人東京大学
大学院新領域創成科学研究科
助教
上沼 駿太郎
環状オリゴ糖であるシクロデキストリン(CyD)は天然に豊富に存在する安価・安全な分子であり、空気中・溶液中の悪臭分子の吸着(消臭)と芳香系分子の放出(芳香剤)、溶液中の苦み分子の吸着(味改善)、薬物輸送担体などに利用されている。近年我々はCyDをナノシート化した“高付着性CyDナノシート”を開発した。これはCyDの機能性を抜本的に改善する技術であり、上述した既存のCyD関連製品にとって代わるポテンシャルを有する。本事業は、CyDナノシートをこれから設立するベンチャー企業にて生産し物質・製造特許を抑えつつ、メーカー系企業と用途に関する共同研究またはライセンスするビジネスモデルで進める計画である。
令和4年度
(2022年度)
術前術中の情報を集約した複合現実手術支援ソフトウェアの開発 国立大学法人東京大学
大学院医学系研究科医用情報工学
特任准教授
金 太一
本研究では、脳神経外科手術において仮想空間の情報である医用3DCGと、現実空間の情報である手術野情報とを融合する複合現実技術を用いた画期的な手術支援ソフトウェアの開発を目指し、既存技術が有する、高額かつ大掛かりな装置や準備に時間を要するといった課題を解決する。中小規模病院に所属する外科医を初期の主な顧客と想定しており、開発ソフトウェアによって外科医が医療情報を所有し管理することを可能にさせることによって、多くの患者へ高品質医療を提供することに貢献する。
令和4年度
(2022年度)
ナノ細孔を用いた分子シーケンサーの開発 国立大学法人東京大学
大学院 工学系研究科 機械工学専攻
講師
徐 偉倫
本研究ではスタートアップ設立に向けて、①無機薄膜ナノポアの作成技術およびフローセル構成の基本形を確立し、スタートアップ設立後のスケールアップ研究~実製造につなげること、および②DNAシーケンス、エピゲノム解析における対Biologicalナノポア優位性の確認やプロテインシーケンスへの展開可能性を得て本プロジェクトの価値を高めること、また並行して①②に関する特許出願を進める。
①については基盤となる高品質な無機薄膜の形成と再現度良くナノポアを得るための電子ビーム制御技術が主な課題。その後フローセルを作りこむ。②では、まずは現行シーケンサーを凌駕するDNAのシーケンス精度とDNAメチル化解析精度の確認を狙う。
令和4年度
(2022年度)
疾患原因遺伝子における塩基変異特異的siRNAの汎用性拡大と実用化を目指したスタートアップ
2023年9月
「株式会社ANRis」起業
国立大学法人東京大学
大学院理学系研究科 生物科学専攻
准教授
程 久美子
がんや神経変性疾患を含む遺伝性疾患や生活習慣病などでは、原因遺伝子に僅か1塩基の変異が起こることで疾患を発症する例が多く知られている。本研究開発の特徴は、そのような1塩基変異をもつ遺伝子のみを抑制し、正常遺伝子は抑制しないという、これまでにない次世代型のSingle Nucleotide Polymorphism-Distinguishable siRNA(SNPD-siRNA)の汎用性を確認してプラットフォーム技術を確立することであり、最終的にはそのスタートアップを目指す。すでに、これまでの研究で、細胞レベル、スフェロイド/オルガネラ、一部マウスでSNPD-siRNAの効果が確認できている。本技術は既存薬では治療できないさまざまな疾患に対してファースト・イン・クラスの創薬を実現する。
令和4年度
(2022年度)
新規電気パルス法によるリチウムイオン電池の新規循環バリューチェーン創成 学校法人早稲田大学
早稲田大学理工学術院
教授
所 千晴

国立大学法人東京大学
大学院工学系研究科
准教授
髙谷 雄太郎
カーボンニュートラル促進のため指数関数的な需要増加が見込まれているリチウムイオン電池に対し、唯一無二の新規電気パルス法を主体とした革新的分離技術をシーズに、ブラックマス(リチウム、コバルト、ニッケルから成る正極活物質粒子)を変質させることなく付加価値の高いまま回収する新規資源循環創成プロセス開発および再生ブラックマス製造をグローバルに事業展開する。プロセス提供先顧客はリサイクラーであり、ブラックマス提供先顧客は非鉄製錬ならびに正極材メーカーであるが、回収ブラックマスの正極活物質粒子への再生によって顧客を電池メーカーとすることを目指し、資源安全保障、高付加価値資源循環といった社会課題を解決する。
令和4年度
(2022年度)
新規国産ゲノム編集TiDの基盤技術開発 国立大学法人東京工業大学
生命理工学院
教授
刑部 祐里子
ゲノム編集技術を提供するスタートアップ設立に向けて、事業において主要技術となる新規ゲノム編集TiDの動作性をより向上させる改良を行うと共に、本技術の特異性の高さを基盤にした種々の遺伝子改変分子ツールの構築と周辺技術開発、および、ゲノム編集の安全性評価技術の開発を行う。周辺技術の特許の獲得を進めると共に、治療用細胞のプロトタイプ試作、およびゲノム編集技術ユーザーに提供するプロトコルをパッケージ化し、特異性の高いゲノム編集技術TiDプラットフォームを提供する。顧客候補企業とのヒアリングを重ね技術・サービスの検証を行い、簡便で正確なゲノム編集の利用を可能とする新たな技術を提供するシステム構築の完成を目指す。
令和4年度
(2022年度)
スモールデータAIによる診断支援システムの多品種短期開発 〜米国市場の検討〜 国立大学法人東京工業大学
科学技術創成研究院 バイオメディカルAI研究ユニット
教授
鈴木 賢治
大量の症例が収集できずに他の研究機関等が未着手の稀少疾患をはじめ、多くの疾患を網羅する医療診断支援AI システムを短期・低コストで開発するベンチャー企業を設立する。当該AI エンジンと高利便性のユーザーインターフェースを組み合わせたサービスの国内薬事承認を取得し、専門医・一般医・研修医に低コストで提供する。その後、国外での薬事承認(米国FDA を最初のターゲットとする)の取得を通じて世界中でビジネス展開を図る。販売形態としては、①アプリケーション単体の直販モデル、②症例処理毎にチャージするPay Per Useモデル、③年間契約等のSubscriptionモデル、の3種類を用意する。
令和4年度
(2022年度)
Applied Biomatrix 起業プロジェクト 国立大学法人東京工業大学
生命理工学院
助教
田中 利明
コラーゲンは医療、健康、美容など多方面から注目を集め、その市場規模は約600億円と言われる。コラーゲン分泌促進を謳う製品は健康食品や化粧品関連企業の主要製品となっているが、分泌コラーゲンの正確で簡便な測定は難しく、製品の機能評価はほとんど出来ていない。また、コラーゲンは体内タンパク質の約30%を占めるが、その量および状態の測定法は存在しない。本事業では、研究代表者が開発した可視化I型コラーゲン技術を商用開発することにより、真に有効な製品に高付加価値を付与するサービスを提供すると共に、体内コラーゲンを計測する検査サービスを開発し、新たな健康評価基準を社会に提案する。本事業により体内コラーゲンを整え健康増進と未病達成に貢献する新たな社会的価値を創造する。
令和4年度
(2022年度)
列車の混雑を見える化し、乗客が安く乗れるかつ、混雑を緩和し、安心して移動できる社会の実現(STEP2)
2023年8月
「株式会社Nohs」起業
国立大学法人東京工業大学
環境・社会理工学院 技術経営専門職学位課程
修士課程(2年)
早川 智義
コロナ禍前は満員電車。コロナ禍により混雑に対する恐怖が芽生えた中で、通勤・通学における混雑緩和対策に国、各鉄道会社も取り組んでいます。 アプリでの混雑情報やオフピーク通勤でのポイント等の取り組みも行われているが、利用は、一部の乗客のみであり、多くの乗客の行動変容を起こすまでには至っていません。 本研究は、IoTデバイスにより列車の混雑をリアルタイムに見える化し、利用者が自ら選択して混雑を回避できるように情報を提供します。さらには、運行の効率化を図り、新しい移動の創出とともに、沿線地域を活性化させ、マルチサイドプラットフォームビジネスモデルにより、将来的には無料交通社会の実現を目指します。
令和4年度
(2022年度)
熱源に埋めて使う半導体増感型熱利用発電の事業化検証
2023年2月
「株式会社elleThermo(エレサーモ)」起業
国立大学法人東京工業大学
物質理工学院
准教授
松下 祥子

国立大学法人横浜国立大学
工学研究院
准教授
生方 俊
本スタートアップのコア技術、半導体増感型熱利用発電(通称STC)は、室温以上の熱を電力へ変換する技術である。設置温度で化学平衡に到達すると放電が終了するが、スイッチを切ると熱エネルギーを吸収して再放電できるようになる。そのため、屋根の下・壁の中・地下などに埋めたまま、スイッチをオンオフするだけで発電が持続する。室温での1回の放電時間も100分を越え、アスファルトの熱でのBluetooth通信機器の作動が確認できている。
本課題では、このSTCを世界のエネルギー問題のソリューションとすべく、MTA契約によるSTC電池レンタルを通じユーザの声を聴きながらリーンスタートアップを繰り返し、商品化の確度を上げる。
令和4年度
(2022年度)
耐酸性微細藻類を用いたバイオ医薬品生産プラットフォームの事業化 国立大学法人東京農工大学
農学部附属感染症未来疫学研究センター
准教授
大松 勉
本研究では、本微細藻類を用いたバイオ医薬品生産プラットフォームとしてのビジネスモデル構築に向けて国内及び海外の製薬企業及び医薬品製造受託企業を対象にヒアリング調査を行い、バイオ医薬品のサプライチェーンのコスト削減ニーズや中期的な設備投資計画、微細藻類由来医薬品の利用可能性等、開発ターゲットとなるバイオ医薬品を明らかにする。研究開発としては、既存の動物細胞由来及び大腸菌由来バイオ医薬品を本プラットフォームで作製し、その物性及び生理活性について既存のバイオ医薬品との同等性を評価すると共に、商業生産に向けた効率的なスケールアップ技術を開発し、それを基に製造工場の建設費用の概算を出す。
令和4年度
(2022年度)
不妊治療で用いる生殖補助医療自動化システムの開発 国立大学法人東京医科歯科大学
生体材料工学研究所
教授
池内 真志
不妊治療において、 タイミング法や人工授精が成功しない場合に行われる顕微授精は操作に熟練が求められ、担当する胚培養士の不足や、成功率のばらつきという課題が存在する。我々は、顕微授精を含む生殖補助医療の各工程の自動化を通じて、胚培養士の不足と、治療成功確率の向上を図り、患者・医療機関・胚培養士の課題解決を目指す。
令和4年度
(2022年度)
音響学的解析による認知症の検知技術を利用した実用場面での精度検証および事業検証 学校法人慶應義塾
医学部ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座
特任教授
岸本 泰士郎
研究グループでは、これまでに音響学的な特徴を用いた機械学習モデルで2分程度の自由会話から認知症や認知症には至らないもの軽度の認知機能低下を呈するMCIの可能性を同定する技術を開発している。同技術は特許出願済み、かつPCT出願済みである。しかし研究に使用されたデータは医療現場でのデータであり、「実際のビジネスシーン」での検証は行われていない。そこで、実際のビジネスシーンで上記技術の事業検証フィジビリティスタディを行い、技術の改善を行うとともに、どの程度活用し得るかの検証を行う。検証後、高齢者への営業シーンにおいての属人的、定性的な認知機能の判断を行なっている金融機関への導入を踏まえ、プロダクト化に向けた準備を行う。
令和4年度
(2022年度)
Aging創薬プラットフォーム構築とサルコペニア治療薬開発 学校法人慶應義塾
医学部・精神神経科学教室
特任講師
早野 元詞
本研究では、スタートアップ設立に向けた老化創薬プラットフォームの構築と、その有効性の実証 (PoC)試験を実施する。
 現在、サルコペニアや認知症への有効性を示すリード化合物3つ(OK-1, E-1, E-2)と、有効性の遺伝子網羅解析による標的因子の単離、AI解析による43以上の化合物リストを保有している (PCT/JP2021/040137、特願2022-009538) 。米国で先行する UNITYやCambrian、Altos Labsなどと異なる老化創薬標的に対する薬になる可能性の高い化合物の絞り込み、化合物や核酸ツールを用いた細胞系の構築と検証を本研究のマイルストンとする。将来的に非臨床研究でのプラットフォームの有効性を43以上の化合物リストから実証後に起業し、OK-1等のほか、新規パイプラインの獲得、知財戦略、資金調達を実行する。
令和4年度
(2022年度)
炭素繊維強化プラスチック部品を対象としたAIベース非破壊検査手法の実測データ検証 学校法人慶應義塾
慶應義塾大学大学院 理工学研究科 開放環境科学専攻
博士課程2年
平山 健太
現状手動で行われている炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の非破壊検査に対して、AIベースの自動検査システムを提供する事業を見据えて研究開発を行う。現在主流の超音波探傷法は自動化が困難とされるが、申請者らは赤外線計測と逆解析AIを組み合わせることで生産ライン中での自動検査を実現可能な手法を提案する。申請者らは今までに、シミュレーションに基づいた提案手法の概念実証および実験計測用のCFRP試験片作成を完了しており、本研究課題ではCFRP試験片の実測データを用いて提案手法の検証を進める。また,期間中に顧客候補企業へのヒアリングを行い、サービス提供価格の見立てを精緻化することも目指していく。