採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
拠点都市環境整備型

北海道・大学等発スタートアップ育成プラットフォーム

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和3年度
(2021年度)
持続可能な食用タンパク源ウキクサWolffiaのオンデマンド生産技術開発
2023年5月
「Floatmeal株式会社」起業
国立大学法人 北海道大学
大学院環境科学院 生物圏科学専攻
博士後期課程2年
カマルシュブロ サジャッド
この研究開発では、Wolffia成長促進細菌技術、水再生技術、IoT、機械学習などを駆使することによって、顧客の要望に応じた品質を保証する安定なWolffia生産システムを開発する。具体的には、Wolffiaの高い収量と高いタンパク含量を実現しつつ、衛生的かつ土地と水資源を効率的に活用した生産システムの基盤を構築する。さらに、生産したWolffiaを協力企業に提供して、機能性食品および動物飼料を共同開発するとともに、その市場性を調査する。
令和3年度
(2021年度)
メカノケミカル有機合成の実用化
2023年11月
「株式会社メカノクロス」起業
国立大学法人 北海道大学
大学院工学研究院・化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)
教授・副拠点長(化学反応創成研究拠点)
伊藤 肇
メカノケミカル有機合成は、ボールミルなどを用いて、溶媒を用いずに有機合成反応を実施することができ、従来の有機合成法に比べて、低コスト、高安全性、環境への影響が小さいなど大きな利点を有している。本申請者は、これまで、メカノケミカルクロスカップリング、圧電材料を用いるメカノレドックス、メカノGrignard反応など、新しいメカノケミカル合成手法を多数開発している(特許申請中5件)。本事業では、これらの独自技術を活用し、社会的ニーズの高い化合物を、比較的大きなスケールでかつ高速・低コストで生産し、メカノケミカル反応の実用性を実証する。将来のベンチャー起業立ち上げの際に、この成果を投資家に説明するための実績とする。
令和3年度
(2021年度)
保健所による積極的疫学調査を支援すツールの研究開発 国立大学法人 北海道大学
大学院情報科学研究院
准教授
坂本 大介
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策において、わが国では「地道に患者とその接触者を見つけ出し隔離する」対策が取られ、感染拡大の抑制の観点から世界的にも高い評価を得ている。その中心は、保健所においてなされる「積極的疫学調査」と称される聞き取り調査であり、その有効性の反面、患者拡大期に保健所の業務を著しく増大させてきた。本研究開発提案では本研究グループが基礎研究として取り組んできた「積極的疫学調査支援ツール」の実用化を目指し、地方自治体・保健所との協力によって、実証的な検討を行う。技術としての有用性を実証した後は、全国の公衆衛生行政における活用を目指し、来たるべき次の感染症の脅威に備えるべく積極的疫学調査における世界標準としての発展を目指す。
令和3年度
(2021年度)
医療診断装置応用を目指したTlBr半導体γ線センサーの開発 国立大学法人 北海道大学
大学院 工学院
博士課程 2年
山石 直也
本研究開発では、心臓病診断用SPECT装置等の医療診断装置で求められる圧倒的な放射線(γ線)検出効率と高いエネルギー分解能が期待され、室温で動作する臭化タリウム(TlBr)半導体センサーの製造工程を改善し、商用化のめどを立てる。環境放射線計測機器市場を一次ターゲット、医療診断装置市場を二次ターゲットとした事業展開を予定している。2008年以降、米国で大きな市場が存在する心臓病診断SPECTでは検出素子の半導体化により市場の急成長が生じており、最終的に1,000億円程度で大手医療機器メーカーへのバイアウトを目指す。
令和3年度
(2021年度)
タンパク質ドラッグに新たな化学修飾部位を付与したリポジショニング・ライブラリー構築 国立大学法人 北海道大学
大学院地球環境科学研究院
教授
小野田 晃
本研究開発では、タンパク質ドラッグに対して新たにペプチド、タンパク質など、糖の所望の分子をN末端に化学修飾したリポジショニング・ライブラリーを構築する技術を確立して、タンパク質ドラッグの候補を探索する。一定の薬効を示すタンパク質ドラッグに対して、患部や目的細胞へのターゲット活性の向上、オフターゲット活性の低減、治療濃度域調整および治療可能時間領域調整などの機能チューニングを施し、多種類のモダリティーを迅速に探索可能なリポジッショニング・ライブラリーを構築して、新規医薬品開発の基盤とする。
令和3年度
(2021年度)
人工エクソソーム医薬品製造技術の開発と事業化検証 国立大学法人 北海道大学
大学院工学研究院
准教授
真栄城 正寿
次世代画期的医薬品であるエクソソーム(細胞由来脂質ナノ粒子)医薬品を、細胞を使わずに開発・製造できるマイクロ流路技術を事業化する。残された課題である「エクソソーム様粒子へのタンパク質搭載技術」を確立し、従来品と比べて高薬効、高安全性のエクソソーム医薬品を低コスト開発・製造できる技術を完成させる。
令和3年度
(2021年度)
耐放射線ダイヤモンド半導体デバイスを使用した電子機器の試作と評価
2022年3月
「大熊ダイヤモンドデバイス株式会社」起業
国立大学法人 北海道大学
大学院工学研究院
学術研究員
星川 尚久
高耐放射線性・高温動作可能なダイヤモンド半導体デバイスの製造とそれらを使用した電子機器の製造販売事業を目指す。福島第一原子力発電所等の廃炉事業、原子力用電子機器事業をターゲット市場とする。さらにこれまで進めて来た国家プロジェクトによって磨かれたダイヤモンド半導体開発能力を生かし、通信事業等巨大市場への展開をはかる。準製造施設を保有し廃炉・原子力市場による実用化を経ることで世界初のダイヤモンド半導体量産規格を目指す。通信市場へ展開する際には大手への売却を行う。
令和3年度
(2021年度)
魚介類の鮮度可視化管理システムにおけるユーザインターフェースの開発 国立大学法人 北海道大学
大学院工学研究院
准教授
坪内 直人
本研究開発では、すでに開発した鮮度・熟成度評価装置をベースに、特定成分の濃度変化から食べ頃や鮮度、消費期限などの品質情報を分かりやすく表示するユーザインターフェースを開発する。一方、ビジネスモデルの立ち上げでは、飲食店やスーパー等の鮮魚を扱う店において、本ソフト(製品名:CACIKA)を提供することにより、収益を得る体制を構築する。ビジネスの展開としては、初めに回転寿司店のディスプレイ表示や、ネットスーパーのホームページ上における表示等への採用を目指す。最終的に、日本国内において安全かつ信頼性が高い魚介類の提供ができるだけではなく、各店舗における魚介類のブランド化や海外輸出時における新日本ブランドの構築による水産業の活性化に貢献できる。
令和3年度
(2021年度)
Cancer-on-chipデバイスによる癌腫瘍組織と創薬開発応用に向けて 国立大学法人 北海道大学
高等教育推進機構
特任准教授
繁富 香織
世界各国で動物実験廃止の動きが高まっており、動物を使わないin vitroでの創薬開発の方法を確立することは急務になっている。そこで、われわれは、「工学」と「病理学」の異分野融合により、患者体内の病態により近い癌腫瘍組織の挙動を生きたまま体外で簡単に再現できる革新的な3D組織培養Cancer-on-chipデバイス(マイクロ・ナノ基板)を開発してきた。本課題では、Cancer-on-chipデバイスを用いて、i)培養するだけで悪性度を判定できるかどうか悪性度の異なる癌細胞を培養することで評価、ii) 癌腫瘍組織の薬効評価、iii)患者腫瘍組織移植モデルや浮遊系三次元培養の癌オルガノイド培養と融合することにより患者検体の多様なアッセイへの応用を検討する。Cancer-on-chipデバイスを創薬支援プラットフォームとして、新薬開発のアジャイル化や動物実験の削減に貢献し、癌個別化医療から革新的な癌治療法開発まで医薬産業界へ幅広く寄与することを目指す。
令和3年度
(2021年度)
カーボンニュートラルを目指したオール多糖ガス分離膜の開発 国立大学法人 小樽商科大学
商学部 一般教育系
教授
沼田 ゆかり

国立大学法人 北海道大学
大学院 工学研究院応用化学部門
准教授
田島 健次

独立行政法人国立高等専門学校機構 苫小牧工業高等専門学校
創造工学科
教授
甲野 裕之
セルロースナノファイバーの緻密な三次元網目構造からなる酢酸菌が分泌したバクテリアセルロース(BC)をベースとして、ガス分離膜を開発する。本技術は酢酸菌培養時にκ-カラギーナンを添加することで得られるBC-κ-カラギーナン複合体からκ-カラギーナン層をガス分離層、BC-κ-カラギーナン層を支持層とするガス分離膜を得るものである。当該市場における本技術の優位性調査やバイオガスプラント関係者およびガス分離装置メーカーへのヒアリングを実施し、ビジネスモデルの具体化をすすめる。また、ビジネスモデルをブラッシュアップするとともに本技術を積極的にPRし、企業化に向けたネットワークを構築、早期実用化と起業化を目指す。
令和3年度
(2021年度)
北海道産食品用液体急速凍結-解凍システムの開発 国立大学法人 室蘭工業大学
大学院工学研究科しくみ解明系領域
助教
関 千草
道産高級食材の味や食感を維持したまま目的地に届ける方法として、急速凍結の関連技術である解凍機についてパイロット試験機を試作し、評価する。この解凍機は道内企業と北海道立工業技術センターで共同開発した食品用液体急速凍結機専用であり、この急速凍結機と本事業で開発する解凍機により、高品質な急速冷凍食品の冷凍貯蔵から品質を損なわない解凍までのトータル技術を確立することを目指し、急速凍結食材の最適解凍条件を調査する。凍結から解凍までの一連の装置を揃えることでブランド化し、ベンチャー設立後は、凍結・冷凍保存・解凍に関する十分なデータを活用することで他社との差別化を図り、装置の製造・道内の飲食産業等への販売・コンサルタントを行うことを目指す。
令和3年度
(2021年度)
抗原検査の判定精度を飛躍的に高めるウイルス捕捉材料の開発 独立行政法人国立高等専門学校機構 苫小牧工業高等専門学校
創造工学科
教授
甲野 裕之
本提案は、独自開発した多糖ナノゲル粒子の表層に標的ウイルスと結合親和性を有する糖鎖を集積させた「ウイルス結合性糖ナノゲル粒子」を合成し、希薄検体から標的ウイルスを100%回収可能な濃縮技術を事業化する。本技術はウイルスの宿主細胞への接着機構に基づいており、ウイルス変異に影響を受けない。本技術の適用により標的ウイルスの選択的濃縮が達成され、抗原検査感度の飛躍的向上が達成できる。高病原性トリインフルエンザウイルス(IFV)を標的とした糖ナノゲル粒子ウイルス濃縮材の合成及び生産技術の構築を実施し、並行してアントレプレナーシップ教育、関連企業への技術PRと起業化支援依頼を行い、技術の早期実用化と起業化を目指す。
令和3年度
(2021年度)
腰部負担可視化デバイスによる作業負担評価システムの開発 独立行政法人国立高等専門学校機構 苫小牧工業高等専門学校
創造工学科
助教
土谷 圭央
高齢労働者の積極雇用で課題になるのは、高齢者に頻発する腰痛による労災である。腰痛の発生頻度は作業姿勢や動作、作業者の体力などによって異なる。このため、腰部負担計測ためのウェラブルセンサを開発することで、個人ごとの作業負担や労災リスク提示システムの構築を目指す。本事業では、企業(産業医)に向けたウェアラブルデバイスのレンタルや販売、得られたデータに基づいた作業者個人ごとの作業中の姿勢や作業負担のによる労災リスクの評価を行う。適材適所な人員配置を行い労災予防を目指す。また、各種センサ機器にて身体データを解析し、作業効率化や身体改善のためのフィットネス事業に繋げていく。