採択プロジェクト

大学・エコシステム推進型 
拠点都市環境整備型

GAP NEXT

各研究開発課題の概要図(PDF)

採択年度 研究開発課題名 研究代表者 概要
令和3年度
(2021年度)
バングラデシュにおける「ポータブル・ヘルス・クリニック」による遠隔検診および遠隔医療事業 九州大学大学院
システム情報科学研究院
准教授
Ashir Ahmed (アシル アハメッド)
バングラデシュにおいて健康診断のビジネスをおこなう。バングラデシュなど開発途上国における社会課題として予防医療(健康診断など)の認識不足がある。申請チームが研究開発している「PHC(ポータブル・ヘルス・クリニック)」システムを導入することで、遠隔の健康診断・遠隔医療を現地で展開し、人々の予防医療環境を改善し、「健康」意識を定着させる。
本事業では都市部の集団検診、農村部の薬局の2つのサービス提供チャンネルを想定する。都市部では、企業や大学など法人と契約し、企業オフィス、工場の労働者、大学生に健診を行う。農村部では、薬局を拠点としたフランチャイズによる健診サービスを提供する。本事業の実施期間では収益性の高い都市部での検診に注力する。バングラデシュの人口1億6千万人が、毎年1度は健康診断を受けることができる環境を「ソーシャル・ビジネス」として提供する。
令和3年度
(2021年度)
植物育成用ナノ資材による新たな農作物生産技術の開発 九州大学大学院
農学研究院
准教授
石橋 勇志
1. 研究開発課題:
①肥料成分や、必須元素、アミノ酸、ペプチドなど、植物にとって有効なあらゆる物質をナノ化もしくはナノ粒子にコーティングさせた肥料や農薬を開発する。
②植物に対する効率的なデリバリー技術を確立する。
2.ビジネスモデル:以下、2パターンを検討中。
①ライセンスアウトして、各肥料や各農薬会社等に製造・販売を委ねるモデル。ライセンスアウトしてマネタイズする。
②自社製造して、OEM製造する等して、各肥料や各農薬等を製造し、其々の肥料や農薬を弊社自身で販売するモデル(予め当該資材を用いた農産物のアウトプット先を確保し、効率的な販路を確保する想定)。
令和3年度
(2021年度)
粘膜下層剥離術(ESD)支援マニピュレータ
神戸大学へ転籍後
2022年8月
「エンドフォーサイト株式会社」起業
九州大学
先端医療オープンイノベーションセンター
特任准教授
中楯 龍
本課題では、申請者が開発した先進的な医療機器の社会実装を目的とし、研究期間内に改良開発を行い、その性能向上と事業性評価を行う。開発した医療機器は、軟性内視鏡(胃カメラ)による手術(ESDという)に用いる細径マニピュレータである。従来は曲がらない1本の電気メスしかなかったが、本申請のシーズは従来の電気メスの直径2.5㎜を変えないまま上下左右前後にワイヤ駆動で遠隔操作できる電気メスと把持鉗子を提供し、片手でつまんでもう一方の手で切るという当たり前の手術環境を軟性内視鏡で実現している。
令和3年度
(2021年度)
がん患者からのリキッドバイオプシーの分離・回収による診断技術 九州大学
先導物質化学研究所
教授
田中 賢
近年、がん診断技術の発展のために、侵襲性の大きい固体生検に代わり血中循環腫瘍細胞(CTC)などの液体生検(リキッドバイオプシー)が注目されている。本研究開発では、血球細胞の粘着を防ぐ抗血栓性を有し、CTCに対する接着性を有する独自の合成高分子を設計する。これにより、ヒト全血中からCTCをラベルフリーで高純度・高効率に分離・回収する技術を開発する。全血の前処理条件、培養・洗浄条件などのプロトコールを作成し、CTC分離・回収キット・研究試薬としての製品展開を目指す。
令和3年度
(2021年度)
樹脂被覆法によるカーボン表面改質 九州大学大学院
応用化学部門
教授
藤ヶ谷 剛彦
クリーンエネルギーの普及と、材料の軽量化・長寿命化はカーボンニュートラル社会の重要な要素技術である。そのために、基盤材料であるカーボン材料の高機能化が必須である。これまでのカーボン材料は使いやすさから低結晶なカーボンが用いられ、複合化されてきたが、高機能化には高結晶なカーボンの複合材料化が有望である。研究代表者の進める「樹脂被覆法」は高結晶カーボンを複合材料化する唯一な手法である。そこで、樹脂被覆法を用いて高結晶カーボンを含む多様なカーボンを材料化し、展開する。特に燃料電池触媒、炭素繊維強化プラスチック、タイヤ等をターゲットにして樹脂被覆カーボンを供給する。
令和3年度
(2021年度)
光アップグレードによる新たな光の価値創造 九州大学大学院
工学研究院 応用化学部門
准教授
楊井 伸浩
長波長の低エネルギー光を短波長の高エネルギー光に変換する波長変換を光のアップグレードと捉え、太陽光や室内光といった身の回りの光をアップグレードして有効に活用することを提案する。我々は最近の研究において太陽光や室内LEDにより光アップグレードを行うことが可能な材料の開発に成功しており、本研究においてその実用化に向けた開発を行う。例えばCOVID-19により抗ウイルス・抗菌に対する需要や意識がこれまでになく高まっている。アップグレードした光を用いて室内・車内のウイルス、細菌の除去が可能なフィルム材料を開発する。
令和3年度
(2021年度)
濃縮バイオ液肥の事業化検証:畜産事業者へのプラント販売と農家・植物工場への液肥販売 九州大学大学院
農学研究院
教授
矢部 光保
畜産事業者は家畜ふん尿処理の高額負担に、農家や植物工場は農産物の価格競争に苦しんでいる。そこで、畜産事業者には、ふん尿処理の負担軽減が可能になるように、ふん尿由来のメタン発酵消化液をキトサンとPGAによる凝集剤で固液分離し、その液体分から窒素、リン、カリウムを分離濃縮回収して土耕栽培用の濃縮バイオ液肥が製造でき、その固形分からは成長剤肥料が製造できる、プラントを販売する。さらに、農家や植物工場には、無化学肥料栽培によって農産物の高付加価値生産が可能になるように、養液栽培用の濃縮バイオ液肥を販売する。
令和3年度
(2021年度)
体液検査によるがん診断システム 九州大学
先導物質化学研究所
助教
龍崎 奏
本事業では、毎年の健康診断で使用できるくらい簡便な方法かつ数分以内に「がんの検出」および「がん種の特定」ができる次世代がん診断システムを構築する。具体的には、体液中エクソソームの1粒子表面分子解析技術の実用化に向けた研究開発を行う。最終的に、この1粒子表面分子解析技術をコア技術としたエクソソーム計測システムを構築し、そのシステムで使用する「検査基板」および「検査装置」を主な製品として事業を展開していく。さらに、検査結果を診断するためのAIシステムも構築する。また、計測受託サービスも行う。
令和3年度
(2021年度)
膵液中エクソソーム由来microRNAを用いた膵癌診断薬の開発 久留米大学
先端癌治療研究センター
教授
古賀 浩徳
本邦における新規膵癌患者は年間約41,000例で増加の一途を辿っている。膵癌は早期診断が極めて困難で、発見時には大半が切除不能進行癌であるため、5年生存率はわずか9%である。従って、早期診断法の開発が喫緊の課題である。
エクソソームは細胞内から外へと分泌される脂質二重膜によって囲まれた小胞である。内部には蛋白や核酸(mRNA, DNA, microRNA (miR))などが含まれ、細胞間情報伝達に使われている。従って、例えば膵癌細胞から分泌されるエクソソーム由来のmiRを解析すれば、膵癌細胞特異的な生化学的・遺伝学的情報が得られる。本研究では、膵癌患者膵液エクソソームなどから同定した膵癌特異的miRを、膵液や血液検体から検出する診断薬を開発し、膵癌早期診断法を確立する。
令和3年度
(2021年度)
ナノシート構造色材料に基づく調色型スマートウィンドウ 福岡工業大学
工学部 生命環境化学科
准教授
宮元 展義
本発課題では、力学刺激によって最大反射波長が変化する構造色ナノシート液晶という新素材を用いて、新しいタイプの調色・調光・パターン表示スマートウィンドウ製品を開発する。具体的な方式としては、ガラス板の間に挟み込んだ新素材を圧縮・緩和して調色する。電力消費は切り替え時のみで、高速で駆動し、デバイスの構成によってはフルカラーのパターン表示も可能となる。省エネ(冷暖房効率向上)、プライバシー保護、生活への彩りなどの観点から、窓の遮光・調光・調色・装飾には普遍のニーズがあり、従来品にない「調色」の優位性を活かして独自市場を開拓できれば大きな市場を獲得できる。