未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

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対話協働

2023年度
「STI for SDGs」アワード 
受賞取り組み紹介

UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)開発と普及促進

  • 目標3:すべての人に健康と福祉を
  • 目標4:質の高い教育をみんなに
  • 目標11:住み続けられるまちづくりを

団体名:株式会社モリサワ

<解決したい社会課題>
  • 視覚や文字認識に困難を抱える人たちにも見易く、読み易いフォントを提供し、誰もが情報から取り残されず、暮らしやすい環境をつくりたい
  • 正確な情報が伝わるよう、文字を通じて情報の発信者と受信者のコミュニケーションを支援したい
  • 誰もが公平に質の高い教育を受けられるインクルーシブな教育を実現したい
<取り組み内容>

 視覚情報の中でも文字情報は特に重要であり、ロービジョン(弱視)やディスレクシア(読み書き障害)、加齢による視力や認知機能低下などで文字からの情報収集に困難を抱える人にとって、文字の見やすさ、読みやすさは、日常生活に大きな影響を与える社会課題であった。これまでにも、さまざまな使用場面に応じたUDフォントが開発されてきたが、本取り組みでは、特に文字認知に課題を抱える児童の教育現場に着目し、「文字のかたちがわかりやすい、文章が読みやすい、読み間違えにくい」をコンセプトに、科学的エビデンスも得ながらUDフォントの1つである「UDデジタル教科書体」とそのラインナップを開発した。開発に当たっては、研究者の支援と教育現場での教師や児童へのヒヤリング結果を生かしている。

 教育現場では、異なる困難を抱えた子供へのさまざまな配慮が必要とされ、比較的読みやすいとされるゴシック体が多く使用されてきたが、ゴシック体にも画数や形が手書きと違う、運筆が分かりにくいといった欠点があった。UDデジタル教科書体は、これらの欠点をカバーし、読み書きに困難を抱えた子供にも配慮したデザインとなっている。学習指導要領に準拠し、WindowsOSに標準搭載されたことで教員も使いやすく、電子黒板でも読みやすい。開発過程では、ロービジョンやディスレクシアなどの小学生を対象とした検証、障害の当事者の参画、視覚障害シミュレーション用の機器の利用などで改善を重ねた。

 また、中国語、ハングルなど多言語対応のUDフォントも提供しており、現在も新たなUDフォントの研究開発に取り組んでいる。

  • 図:一般的な教科書体、ゴシック体と、UDデジタル教科書体の特徴を比較して説明
    (UDデジタル教科書体の特徴)
  • 図:文字の部分について、新ゴや従来のビジネス書体と比較して説明
    (UDフォントの細部のデザイン調整や工夫)
<わたしたちの取り組みについて(受賞団体より)>

 この度は栄誉ある「STI for SDGs 」アワードの「優秀賞」を頂戴し、誠に光栄です。2009 年の最初のUD フォントリリース以来、10 年以上を経た今回の受賞は、これまで開発してきた様々なUD フォントが世の中に浸透し、SDGs、教育分野への貢献が認められた結果であると大変嬉しく思います。UD フォントは、多くの方の支援と協力があって開発できたものです。すべての皆様に感謝申し上げ、これからも社会に必要とされるフォント開発に取り組みます。

受賞取組一覧表
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