未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

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対話協働

2023年度
「STI for SDGs」アワード 
受賞取り組み紹介

小規模廉価型メタン発酵システムによる「誰ひとり取り残さない」社会の実現

  • 目標1:貧困をなくそう
  • 目標6:安全な水とトイレを世界中に
  • 目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  • 目標12:つくる責任 つかう責任
  • 目標13:気候変動に具体的な対策を

団体名:豊橋技術科学大学 資源循環工学研究室、
株式会社豊橋バイオマスソリューションズ

<解決したい社会課題>
  • 誰もが導入できるメタン発酵システムで、中小規模の農家が抱える課題の解決と、地球環境への負荷軽減を実現したい
  • 廃棄物からのエネルギー回収を身近にしたい
  • 真の「持続可能な開発」の概念を広めたい
<取り組み内容>

 近年、地球温暖化による気候変動は世界的な問題であり、バイオガスなどの再生可能エネルギーへの移行や環境負荷軽減の重要性も、広く認知が進んでいる。その手段の1つとして、家畜糞尿などからメタンガスを発酵させるバイオガス生産が各地で進められているが、実際にはほとんどが大規模で高価なシステムであり、中規模以下の畜産農家などでは導入が困難であった。

 この取り組みでは、個人経営の中規模農家でも導入可能な小規模廉価型のメタン発酵システムを開発。糞尿などの資源の有効活用とともに、臭気や汚物処理に関する農家の課題解決と売電による収益向上を実現した。有機性廃棄物を微生物の力で発酵させてバイオガスを製造する技術は古くからあるものだが、これまでのシステムは、主に効率面から大規模集約型がほとんどだった。高度な技術が使われコストも高く、一般の農家では導入は難しい。そこで、この取り組みでは、あえて効率や自動化を追求し過ぎず、経済性を重視し、誰もが導入できる小規模廉価型のメタン発酵システムを開発した。2016年に愛知県での国内初となる中規模養豚農家への導入を皮切りに実績を重ね、2021年には社会実装を加速するためのベンチャー企業も創設。農家にとっては、このシステムの導入で、臭気の低減、堆肥の品質や水処理の安定化などのメリットが得られる他、国が進めるFIT(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)の活用による売電収入も見込める。将来的には海外への展開も視野に入れている。

  • 取り組みの概要図
    (「誰ひとり取り残さない」社会の実現を目指して)
  • 写真
    (国内初!中規模養豚農家における経済性を考慮した小規模廉価型メタン発酵システム)
<わたしたちの取り組みについて(受賞団体より)>

 「誰ひとり取り残さない」を念頭に小規模廉価型のメタン発酵システムを開発し、これにより中小規模畜産農家で再生可能エネルギーを創ることが可能となりました。現在は導入者がシステムの改善や効率の向上に努めています。導入者が自ら考え時代などに合わせ技術を独自に発展させることのできるシステムが真の意味での「持続可能な開発」であると考えています。今後は本システムを海外に普及させると同時にこの「持続可能な開発」の概念についても広めていく予定です。

受賞取組一覧表
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