未来の共創に向けた社会との対話・協働の深化

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対話協働

2023年度
「STI for SDGs」アワード 
受賞取り組み紹介

盲学校教育現場において使用する音声式環境計「大気くん」の開発

  • 目標1:貧困をなくそう
  • 目標4:質の高い教育をみんなに
  • 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 目標10:人や国の不平等をなくそう

団体名:盲学校用教材開発普及サークル Soleil

<解決したい社会課題>
  • 視覚障害を持つ児童が、障害の有無に関わらず平等に楽しく学べる環境をつくりたい
  • 技術の力を社会貢献に活かしたい
<取り組み内容>

 現在、国内には約70校の盲学校があり、その教育現場では、物の表面の凹凸など触察を重視した教材や、音声の補助機能がある教材、点字をスムーズに学ぶための補助道具など、視覚に障害を持つ児童が学ぶための教材や道具が求められている。しかし、そのような教材は一般のものより高価で種類も少なく、教師が自作するケースも多い。

 熊本大学工学部では、ものづくり教育の一環で点字学習用の器具を盲学校に寄贈したことをきっかけに、2014年に盲学校用教具を開発するサークルSoleil(ソレイユ)が発足。以来、約15種類、600台の教具を全国の盲学校に寄贈し、現在は約40名の学生が活動している。寄贈した教具のひとつである音声式環境計「大気くん」は、温度・湿度・気圧・高さの変化を音声で教える機能を持つ小型の教具で、体感温度の読み上げ機能を「自分で服を選ぶ」といった自立活動に役立てたり、相対湿度の読み上げ機能で湿度と空気中の水分の関係を学ぶ、といった使い方ができる。この教具開発では、全盲の子供が扱いやすく怪我の危険も排除するよう、盲学校との連携で大きさや形状、素材など、さまざまな改良が行われた。他にも、音声式の白杖トレーニング器やユニバーサルデザインのボードゲーム「ふれあいボードゲーム」などが開発されているが、これらの開発には、市販のものには無い、楽しく遊べる要素を組み込む工夫もなされている。今後は、NPO法人との連携やクラウドファンディングの活用で、制作に必要な人員と資金の幅広い調達を行い、活動を持続可能なものにしていこうとしている。

  • 写真:大気くんの外観
    (開発寄贈を行った大気くん)
  • 写真:白杖を持った人がトレーニング器を使用しているところ
    (音声式の白杖トレーニング器)
  • 写真:ボードを広げたところ
    (開発中のふれあいボードゲーム)
<わたしたちの取り組みについて(受賞団体より)>

 私たちは、障害の有無に関わらず全ての人が平等に学ぶ機会を提供したいという思いのもと活動を行なってきました。今後も自身の取り組みに誇りを持って精進していきたいと思います(現プロジェクトリーダーの学生より)。

この受賞を機に、大気くんやSoleilの活動を多くの方に知っていただき、さらに多くの盲学校の生徒に教具が届けばと思います。今後は以前より要望のあった英語教具の開発にも注力したいと考えており、NPO 法人との連携により、OBOG が持つ技術力と大学生の自由な発想で、楽しく学べる教具の開発に邁進していきたいと思います。(前プロジェクトリーダーのOB より)

  • 写真
    (大気くんを盲学校に寄贈、説明しているSoleil部員)
  • 写真
    (大気くんを学会の展示会場で説明しているSoleil部員)
受賞取組一覧表
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