レジリエントな防災・減災機能の強化

最終更新日:2016年9月15日

研究開発項目(課題)一覧

研究開発項目 研究開発課題(※1) 研究責任者 概要
(1) 津波予測技術の研究開発 津波被害軽減のための基盤的研究 青井 真
(防災科学技術研究所 地震津波火山ネットワークセンター センター長/レジリエント防災・減災研究推進センター 研究統括)
適切な津波予測により避難行動を促すことで津波到来までの猶予時間を活用した被害軽減に資することを目指し、日本海溝海底地震津波観測網(S-net)などの観測データから遡上を津波検知後数分以内に推定するための技術、防護施設の倒壊等を考慮した高精細津波遡上シミュレータ、余震や連動性地震を適切に評価するための海底地殻変動観測システムを開発する。
(2) 豪雨・竜巻予測技術の研究開発 マルチパラメータフェーズドアレイレーダ等の開発・活用による豪雨・竜巻予測情報の高度化と利活用に関する研究 高橋 暢宏
(情報通信研究機構 電磁波研究所 統括)
ゲリラ豪雨や竜巻などの局地的な気象災害は急激に発達する積乱雲からもたらされるが、既存の観測技術では積乱雲の発達に即した高頻度・高密度な観測が難しく、それが早期予測を困難にしている。本研究開発課題では世界初となるマルチパラメータフェーズドアレイ気象レーダ(MP—PAWR)等を開発して積乱雲の高精度・高速3次元観測を可能にし、それらによる予測技術の高度化とともに、交通機関や自治体等の利活用に向けた研究開発を行う。
(3) 大規模実証実験等に基づく液状化対策技術の研究開発 大規模実証実験等に基づく液状化対策技術の研究開発 菅野 高弘
(海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 上級専任研究員)
生活や生産活動を阻害することなく既存施設に適用可能な地盤調査技術、液状化診断技術、液状化対策技術を開発し、実務へ反映させ、効率的な対策や緊急・復旧活動支援を可能にする。調査診断対策技術の開発は、事業継続中の沿岸コンビナート地帯を対象として実施し、耐震化を促す。同時に、道路網寸断のリスクとなる橋梁基礎の強靭化を目指した対策技術の確立と普及に努める。各技術の開発においては、大規模実証実験、数値解析、被災分析等を駆使して、実効性の高い成果を目指す。
(4) ICTを活用した情報共有システムおよび利活用技術の研究開発 府省庁連携防災情報共有システムとその利活用技術の研究開発 臼田 裕一郎
(防災科学技術研究所 総合防災情報センター センター長/レジリエント防災・減災研究推進センター 研究統括)
国全体で状況認識を統一し、的確な災害対応を行うために、各府省庁、関係機関、自治体などが運用する災害関連情報システム間を連結し、情報を多対多で相互に共有して、統合的な利活用を実現する中核的役割となる「府省庁連携防災情報共有システム」と、災害派遣医療チームの派遣判断等の保健医療支援や地域医療防災ネットワーク構築及びため池決壊による氾濫予測等のため池災害への対応をパイロットケースとした「共有された情報の利活用技術」の研究開発を行う。
(5) 災害情報収集システム及びリアルタイム被害推定システムの研究開発 リアルタイム被害推定・災害情報収集・分析・利活用システム開発 藤原 広行
(防災科学技術研究所 社会防災システム研究部門 部門長/レジリエント防災・減災研究推進センター センター長(研究統括))
災害発生時の迅速な初動体制の確立や災害対応に資するため、地震、津波、豪雨等を対象に被害全体をリアルタイムに推定、状況を把握することで概観でき、かつ詳細な推定により町丁目単位でも利用可能な、高精度なリアルタイム被害推定・状況把握システムを構築する。衛星データやソーシャルメディアなどの各種情報分析により確定的な災害状況把握を可能とするシステム、およびそれら情報を利活用するためのシステムを開発する。
(6) 災害情報の配信技術の研究開発 災害情報の配信技術の研究開発 熊谷 博
(情報通信研究機構 耐災害ICT研究センター 研究センター長)
災害時の過酷な環境下にあっても、住民等および災害対策関係機関間における通信の確保に資する「通信・放送の多様な情報メディア群を活用した災害情報配信」、「情報弱者等にも対応した災害情報コンテンツの自動生成」、「被災地域の災害対策本部等と被災現場間の通信の確保」などの技術を開発し、実証実験を通じて国内外への普及を目指す。
(7) 地域連携による地域災害対応アプリケーション技術の研究開発 産業集積地・津波リスク想定地のレジリエンス向上:南海トラフ地震 野田 利弘
(名古屋大学 減災連携研究センター 副センター長/教授)
南海トラフの巨大地震に対する大規模災害を念頭に、産業集積地域、あるいは津波リスク想定地を対象とした地域のレジリエンス向上を目指して、2つのサブテーマ、1.地域協働と情報連携による地域密着型減災シンクタンク構想(名古屋大)、2.津波避難訓練および支援ツールの開発研究(京都大)を実施する。サブテーマ1では、愛知県の西三河地域をフィールドとした産業集積地域における産官学民の広域連携体制を構築するためのシステム・アプリケーションの開発を行う。サブテーマ2では、高知県等をフィールドとした、実際に身体を動かして津波避難を行う訓練パッケージの開発を行う。また、これらのアプリケーションが有機的に機能し、防災・減災機能強化に効果的なツールであることを確認するための社会実装実験を実施する。
首都圏複合災害への対応・減災支援技術 久田 嘉章
(工学院大学 建築学部 まちづくり学科 教授)
本研究は、人口や経済活動などが集約する首都圏の都心部を念頭に置き、首都直下地震等による震災と、集中豪雨等による水害に起因する都市型複合災害へ有効な対応・減災支援技術を開発することを目的とし、2つのサブテーマ、1.巨大都市・大規模ターミナル駅周辺地域における複合災害への対応支援アプリケーションの開発(工学院大)、2.地域防災の持続的向上可視化アプリケーションの技術開発(東京工業大)を実施する。

※1 研究題目は今後変更する可能性があります。