最終更新日:2016年6月1日
平成27年年度末評価に伴い、研究実施体制を再編しました。平成28年度は下記の10の研究開発テーマを実施します。
研究開発テーマに関するパンフレットは こちらからダウンロード。(英語版はこちらから)
研究開発項目 | 研究開発 テーマ |
研究責任者 | 概要 |
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(1)太陽熱を利用した水素製造 | ①高温太陽熱供給システム | 東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所 教授 加藤 之貴 |
エネルギーキャリアとして、高い水素密度を有するアンモニアを太陽熱を用いた水素から製造することを目指しています。 この水素製造に必要な熱を供給するために、従来技術では困難な650℃の高温型集光集熱システムを集光集熱効率70%以上を目標に要素技術の研究開発を行います。要素技術は(1)650℃の太陽熱を利用可能な高効率集光・集熱システム開発、(2)集熱のための高効率集熱管要素技術開発、(3)熱輸送および24時間熱供給のための蓄熱材、熱媒体の開発、です。高温かつ高効率で24時間運転可能な太陽熱供給システムを実現し水素のみならず燃料製造、工業プロセスへの熱供給も目指します。 |
②熱利用水素製造 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 原子力科学研究部門 高温ガス炉水素・熱利用研究センター グループリーダー 坂場 成昭 |
太陽熱(約650℃)を利用して水から効率的に、かつ、二酸化炭素を排出せずに水素を製造する技術の開発を目的としています。以下の2種の技術について、要素技術の開発を行い、技術成立性を実証します。 1) ヨウ素(I)とイオウ(S)を用いた化学反応に膜分離技術を応用して、水の熱分解により水素を製造する技術(膜分離新ISプロセス) 2) 熱と電気で水蒸気を分解して水素を製造する技術(新水蒸気電解) |
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(2)アンモニアの製造・利用技術 | ③CO2フリー水素利用アンモニア合成システム開発 | 日揮株式会社 プロセス技術本部 技術イノベーションセンター 技術研究所長 藤村 靖 |
再生可能エネルギーや化石燃料由来のCO2フリー水素を原料とした、高効率・低コストのアンモニア合成プロセスを開発します。従来の天然ガス原料からのアンモニア合成に代わる、CO2フリー水素原料に適したアンモニア合成プロセスを開発します。主な開発課題は次の2点です。 ◆従来法に比べて低温で高活性な国産アンモニア合成触媒の開発 ◆ 開発触媒を用いたアンモニア合成プロセスの実証試験を2018年度に実施 |
④アンモニア水素ステーション基盤技術 | 広島大学 先進機能物質研究センター センター長・教授 小島 由継 |
水素ステーション用アンモニア分解・高純度水素供給システムの開発を目指します。 水素を低コストで輸送して、高純度水素供給システムを開発することは燃料電池自動車(FCV)やFCフォークリフトを普及する上で重要な技術課題です。本テーマでは水素キャリアとしてアンモニアに着目し、アンモニア分解技術、微量アンモニア除去技術等に関する研究開発を行い、燃料電池自動車用水素燃料仕様(ISO14687-2)に適合した高純度水素供給システムを開発します。 |
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⑤アンモニア燃料電池 | 京都大学 大学院工学研究科 教授 江口 浩一 |
アンモニアを燃料とする高効率な燃料電池システムの技術確立と実証を目指します。 アンモニアを直接SOFCに供給し、電極上で分解と発電を行うシステムを中心に開発します。また、周辺技術としてオートサーマル分解反応器とSOFC、接触分解反応器とAEMFCを組み合わせた発電方式も検討します。アンモニアを燃料とする燃料電池システムの効率や燃料としての適応性、劣化要因や最適な構成などを、各構成材料の単体試験だけでなく数100W~1kW級スタックおよびホットモジュールの発電試験、システム実証試験から明確にします。 技術資料は こちらからダウンロード。 |
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⑥アンモニア直接燃焼 | 東北大学 流体科学研究所 教授 小林 秀昭 |
水素エネルギーキャリアであると共にCO2無排出燃料であるアンモニアを直接燃焼させエネルギーとして利用する技術開発を目的とします。 具体的には、アンモニア燃焼の高効率利用として、 1)ガスタービンによるアンモニア専焼および天然ガス混焼発電 2)輸送機関へのアンモニアレシプロエンジンの適用 3)アンモニアを燃料とする工業炉による熱利用 について、燃焼基礎特性に基づく技術開発と実証研究を行います。 技術資料は こちらからダウンロード。 |
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(3)有機ハイドライドの製造・利用技術 | ⑦有機ハイドライドを用いた水素供給技術の開発 | JXエネルギー株式会社 中央技術研究所 プリンシパルリサーチャー 壱岐 英 |
有機ハイドライドを用いた水素供給技術の開発を行い、有機ハイドライド型水素ステーションを実用化することを目的としています。 具体的には、脱水素システムの高効率化、コンパクト化、低コスト化のために、以下の課題に取り組みます。 1)脱水素触媒の高性能化 2)脱水素システムの高効率化・小型化 3)低コスト水素精製技術の開発 4)安全性検証・基準整備 また、高効率な有機ハイドライド製造技術の開発にも取り組みます。 これらの技術開発によって有機ハイドライド型水素ステーションを実用化し、FCVの本格普及と、水素社会の実現を目指します。 |
(4)液化水素の利用技術 | ⑧液化水素用ローディングシステム開発とルール整備 | 一般財団法人 日本船舶技術研究協会 審議役 千田 哲也 |
液化水素の船陸間荷役に必要となるローディングシステムの開発及びその運用に係るルール整備を目的とします。 現在実用化されている液化天然ガス用のローディング技術をもとに、液化水素用のスイベルジョイント(可動式継手)及び緊急離脱機構の研究開発を行い、これらを組み込んだ液化水素用ローディングシステムを構築・開発します。また、本システムは世界初のシステムとなることから、その運用上の安全対策を策定し、関係する基準・規則の整備を行うとともに、それら基準の国際規格化を図ります。 |
⑨水素エンジン技術開発 | 川崎重工業株式会社 技術研究所 熱システム研究部 部長 餝 雅英 |
高効率で低公害な水素エンジンを実現するための技術開発を実施します。 具体的には、水素を燃料とした発電設備等で使用する高効率、かつ、低NOxを達成可能なオープンサイクル型直噴水素エンジンを実現するために以下の技術開発を実施します。 ◆水素燃焼制御技術 ◆NOx低減技術 ◆高圧水素インジェクター ◆高圧液体水素ポンプの開発 |
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(5)エネルギーキャリアの安全性評価 | ⑩エネルギーキャリアの安全性評価研究 | 横浜国立大学 リスク共生社会創造センター 教授 三宅 淳巳 |
多くの場所で必要な量を受容される価格で安定的に供給された水素を安全に運用し、活力のある社会を構築することを目的とします。 具体的には、 1) 高圧水素サプライチェーン 2) 液化水素サプライチェーン 3) 有機ハイドライドサプライチェーン の3つを対象として、輸送・貯蔵・供給時について、社会リスク評価および工学的リスク評価を行い、社会実装に向けた研究開発を行います。 |