家族にかける言葉とは?

家族にかける言葉とは?

家族を亡くした人は、この先、深い悲しみと向き合い続けていかなくてはなりません。救命救急センターで医師から死が告げられ説明を受ける瞬間は、家族にとってつらい日々の始まりにもなります。治療にあたった医師と患者家族は、その日初めて会う者どうしで、患者が亡くなってしまえば、その後会う機会もありません。この一瞬の対面の間に、医師にはどんなことができるのでしょうか。
この問題は、おもに会話分析によって研究しました。センターでの会話を分析するほか、のこされた家族とのインタビューをおこないました。その結果、「どんな状態だった」「どんな処置をした」ということを医療用語だけで告げるのではなく、患者に何が起こったのかを、センターに運ばれる前からのひとつづきの物語として語ることによって、家族の納得度が高まることがわかってきました。
どんな言葉がよい、というマニュアルはありませんが、「物語の共有」が重要なキーワードであることは、大きな発見でした。

2012年9月30日をもちまして、領域の活動は終了致しました。