市民の視線で科学を伝える

市民の視線で科学を伝える

協力者が集まらないという問題は、市民の自発的な働きによって解決されました。ながはまルール策定の委員会に参加していた市民の代表が、NPO法人を設立して、研究を広く理解してもらうための活動を始めたのです。情報誌を発行したり、サイエンス・カフェや市民シンポジウムを開いたりして、市民がゲノム研究を身近に感じ、疑問や不安が解消されるように努力を続けました。この活動が成功を収め、研究に協力する市民が増え続け、約4年後に目標だった1万人の参加を得ることができたのです。市民から市民への呼びかけがおこなわれたことは、安心感を与え、理解をうながすための大きな力でした。これはプロジェクトを始める前には予想できなかった成果です。
また、このプロジェクトがスタートしてから、大学と自治体、自治体と市民、市民と市民、大学の研究者と市民、外部の専門家と自治体など、団体や個人のレベルで、新しい関係がたくさん生まれ、さまざまな対話が繰り返されました。このプロジェクトがなかったら、決して生まれなかった出会いです。これらのコミュニケーションが層をなして、ゲノム研究と市民という、もともとはなじみにくい両者をつなげ、プロジェクトを進展させ、まちづくりにも役だったのです。

2012年9月30日をもちまして、領域の活動は終了致しました。