ケア従事者のための死生学
清水哲郎・島薗 進/編
ヌーヴェルヒロカワ 2010年
本書はグローバルCOE、21世紀COEの研究拠点形成プロジェクトの中で、継続して研究されてきた「死生学」に関し、多数の人文・社会学系研究者と、医療関係者によって書かれた入門書である。すべての人に必ず訪れる死の問題に対し、タイトルにあるよう「ケア従事者」にとって、死に向かって生きることへの適切なケアとは何かに応える内容となっている。1部のケア、医療、介護現場の諸問題からなる具体的な「臨床死生学領域」と、2部は現代社会における諸文化の歴史の中で考える、一般的な「死生学一般領域」で構成されている。前半に具体的な問題に触れ、後半では、宗教、文化、死生観、倫理、法律などから死生の諸問題を問うている。大学における一般講義向けを意図しただけあって、ケア従事者にのみならず、むしろ一般の人にとって「避けられない死」を考える内容でもある。
(依田育士:独立行政法人産業技術総合研究所情報技術研究部門 主任研究員)