柔軟なヨコグシ的アプローチによる、現実的で実利を伴う温暖化対策の実現を目指しています
地球温暖化・地域再生
「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」研究開発領域(2008年~2013年度)
領域総括:堀尾 正靱 (龍谷大学政策学部 教授、東京農工大学 名誉教授)
地球温暖化と大規模な気候変動は、私たちが直面している多様な危機の中でも、解決すべき最も重要な課題の1つであり、自然エネルギー導入、地域活性化、農林業振興、持続型産業育成、タテ割り行政の打破と地方分権など、大震災からの復興とも共通する多様な課題につながっています。本領域では、2008年(平成20年度)のスタート時点から、2050年の温室効果ガス60~80%削減を目指し、人的・社会的シナリオの開発を重視した、「現場目線」に立った「社会技術」による社会技術研究開発プロジェクトを推進しております。
研究開発領域の概要
地球温暖化と大規模な気候変動は、私たち人類の活動が環境と共生しえない水準に達したことから発生している多様な危機の中でも、解決すべき最も重要な課題の1つです。
本領域では、2008年のスタート時点から、2050年の温室効果ガス60~80%削減を目指し、人的・社会的シナリオの開発を重視した社会技術研究開発プロジェクトを推進しています。現在進行中の12のプロジェクト(2012年10月1日時点)のフィールドは、北海道、東北、関東、中部、関西、中国、四国、九州と、ほぼ全国にわたり、再生可能エネルギーの導入と脱化石燃料の都市・農村づくり、農山村での自治のルール確立と産業創生による郷還り促進、都市農村連携による林業の再生、低CO2排出型社会への移行を促進する流通・金融のしくみ構築、それらを通じた地域産業の再生と創出等、意欲的な研究開発が進んでいます。それらの方法や成果を積極的に復興支援へつなぐ取り組みも進めています。
これまでの脱温暖化の研究開発の大半は理工学的シナリオに基づいたものであり、社会における導入・普及を進めるための仕組みづくりや人材の育成、主体の形成などが全くぬけおち、技術至上主義に陥っていました。本領域では、これらを克服し、社会システムの変革を伴う大きな課題に対して、理工学的シナリオと、社会における実現を図るための人的・社会的シナリオとを組み合わせ、「現場目線」に立った「社会技術」によるアプローチの創出を行っていくという新しい潮流を形成しようとしています。
研究開発領域の目標
- 脱温暖化・環境共生に関わる研究開発を、総合的で横断的な新たな発想に基づいて、持続可能な社会システム実現のための取組みとして構想し、地域の現場においてその科学的実証を試みます。また、それらが国内外で有効に活用されるよう、一般化、体系化を目指します。
- 活力ある地域づくりを、脱温暖化・環境共生の視点から再定義して進めるため、既存の取組みや施策、行政システム、制度等を科学的に整理・分析し、地域の新しい価値を見出すための分野横断的かつ内発的な計画・実践手法、新しい価値の評価手法、およびそれらの普及方法を開発します。
- 地域社会を総合的・分野横断的かつ内発的な視点から、持続性のある複合システムに発展させる豊かな問題把握
- 産官学市民連携および人文社会科学系と自然科学系の研究者の適切な連携
- 地域やプロジェクトの性格に合わせた、持続的・自律的な地域社会の主体形成および人材育成のための方法論の構築と実践
- 地域住民やステークホルダーが地域の未来を共有する多様な「場」の形成
※提案募集は2010年度で終了しました。
研究開発領域の運営体制
当領域は、領域総括のリーダーシップのもと、12人の多様なバックグラウンド・専門性を持つ領域アドバイザー、センター内スタッフ(企画運営室・フェロー)が緊密に連携・運営しています。