2014年(平成26年)3月31日をもちまして、領域の活動は終了致しました。

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脱温暖化をめざして
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領域総括メッセージ

「地域に根ざした脱温暖化・環境共生社会」のめざすもの

龍谷大学政策学部 教授/東京農工大学 名誉教授 堀尾 正靱

Photo  科学技術振興機構・社会技術研究開発センターの設立の趣旨である、科学技術を「社会の中にあるもの」として捉えるという視点に立つとき、わたしたちは、温暖化対策や生物多様性保全などの地球規模の環境問題についても、その解決に向けて、本質的で、かつ、ユニークな道筋を見出すことができます。地球規模の環境問題や石油価格の高騰は、現在の技術体系の部分的な問題ではなく、まさにこの数百年にわたる「近代化」と、この50年間に石油依存型の大量生産・大量消費社会が世界的に急展開したことがもたらした、現代文明社会の本質にかかわる問題であり、現在と未来のすべての人々の生活にかかわる問題です。
  この領域は、私たちの生活空間でもある現代の「技術と社会が一体となったシステム」を、脱温暖化・脱化石燃料・環境共生のシステムに改造することを大目標に掲げます。そして、その方法論確立の作業(研究開発)を、「具体的な生活者のいる場において、生活者の目線で、今すぐに可能で、しかもみんなでやれば大きな効果を生むはずの課題の定量的な検討」からはじめます。安価な石油の存在を前提にして開発された多様な技術は、いまや規格や法令などの社会的なシステムで縦割り的に管理・保護され、ライフスタイルとして私たち自身にしみ付いています。そんな中で、まず、脱温暖化・環境共生の、必ずしも大きな資本を必要としない適正な技術や未利用のものを、現行の制度等には、気兼ねしつつも捉われないで探してみます。平行して、その総合的な脱石油効果を明らかにし、さらに、社会の仕組みやライフスタイルのどこをどうしたら実施しやすいかを考えます。そうやって、技術と社会システムそれぞれを脱石油・環境共生型に大きく改造していく方法論の開発を進めます。2050年までに世界の温室効果ガスの発生量を半減するという、壮大な歴史的試みを成功させるために、いろいろなヒントを、この研究開発活動の中から生み出せたらと思います。
  大切なことは、地域の人々(主体)と研究者たちが、同じ目線で、ともに自発的に活動し、分野横断的に協働していくことです。地域のかたがたには、石油価格高騰時代にも活力のある地域づくりを目指して、必要な科学技術や社会システムについての知識も身につけ、新しい地域システムづくり(開発)を目指していただきたいと思います。また、研究者に望むことは、「地域の言葉」をマスターし、さらに、「分野をまたぐ協働」に必要な言葉や姿勢を発明し、これまでにない研究成果を生み出してもらうことです。

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