JST newsは、独立行政法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。JSTの活動と、最新の科学技術・産学官連携・理数教育などのニュースを、わかりやすくご紹介します。
JST理事長 中村 道治
科学技術振興機構は、今年4月から国立研究開発法人に移行します。国立研究開発法人の設置は、わが国の科学技術の水準の向上によって経済発展など社会に役立つように、研究開発の成果を最大化することを目的とします。わが国の科学技術力が相対的に低下している中での制度改革であり、私たちは科学技術イノベーションの総合的な推進機関として、原点に立ち返り高い目標に挑戦したいと思います。とりわけ、青色発光ダイオードやiPS細胞のように、卓越した研究で人びとの生活や社会を変える大きな成果を数多く生み出し、国際間での熾烈な競争下でわが国の存在感を高めていきます。そのため、トップサイエンスからインパクトの大きなイノベーションを創出することで実現していきたいと思います。また、喫緊の課題である優秀な次世代人材の育成は、各研究プログラムの優先課題としてとりあげ、若手研究者の参加を奨励し、メンター制を充実するなどして成果を挙げたいと考えています。私たちはまた、「科学と社会の共創」を21世紀における必然的な潮流として捉え、自然科学と社会科学の連携、市民参加といった新しい流れに挑戦します。これまでも社会技術や社会基盤の研究で一部着手してはきましたが、まだ緒に就いたばかりです。新しい学問体系をつくることも視野に、分野横断的な取り組みが加速するように支援します。わが国が新しい科学技術立国を実現するためには、プロセスを重視し、お手本のない道を切り開いていくことが重要です。皆さまのご理解とご協力をお願いします。
JST理事長 中村 道治
世界中の優れた研究者とのネットワークを通じて革新的な知の創造を目指す「オープンサイエンス」や、世界規模の価値連鎖の中で迅速に新しい産業やサービスを生み出す「オープンイノベーション」の時代が到来しつつあります。JSTもこの潮流を捉え、わが国の研究開発・イノベーション力の強化に貢献していきたいと考えています。
その一環として、JSTは今年2月、インドのニューデリーにリエゾン・オフィス(連絡事務所)を開設します。当面は仮事務所ですが、インド中央銀行から認可が下り次第、正式なオフィスを開設予定です。ニューデリーには民間企業のみならず、既に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や日本貿易振興機構(JETRO)、国際協力機構(JICA)、国際交流基金(JF)など多くの日本の公的機関が事務所を設置しています。これらの機関と協力し、日印科学技術協力のもと、基礎研究の加速やイノベーションの創出、人材育成に向けた現地活動を始めます。数年後に世界一の人口になると予想されるインドは、優秀な理工系人材を多く輩出するなど科学技術分野において高いポテンシャルを持っており、わが国の研究開発から産業化にいたる豊かな経験と組み合わせることで、両国はアジアそして世界の発展に大きな役割を果たすと確信しています。
JSTは、これまでもワシントン、パリ、北京、シンガポールに事務所を設けて活動してきました。研究開発の国際化、科学技術政策や戦略立案のための調査などで、今回のニューデリー事務所を含め活用していただければ幸いです。
JST理事長 中村 道治
わが国が第3期科学技術基本計画において、科学技術政策から科学技術イノベーション政策に舵をきって10年目の節目を迎えました。科学技術から社会経済的な価値(アウトカム)を確実に、迅速に実現し、国の持続的成長に貢献することがますます重要になっています。その中で、赤﨑勇教授、天野浩教授、中村修二教授が、高効率青色発光ダイオードを発明した功績でノーベル物理学賞を受賞する快挙があり、卓越した研究成果にもとづくイノベーションの重要性を多くの人びとが身近に認識できました。
JSTは近年、低炭素・循環型社会や健康長寿社会、安全・安心・快適社会の実現に向けて、戦略的基礎研究から革新的な技術シーズを生み出し、産業化に橋渡しするという観点で数多くの実績を積み重ねてきました。また、科学技術政策のシンクタンク活動、科学技術情報事業、理数系人材育成事業、科学コミュニケーション活動などを通じて、科学技術イノベーションの総合的な推進機関として、社会的課題の解決とわが国の持続的成長に貢献してきました。今後、これらの活動を強化する中で、以下のような研究開発文化を醸成し、わが国のイノベーション力の一層の向上を図ります。
明るい未来を実現するためには、科学技術イノベーションをもとにした国づくりが不可欠です。それはわれわれの叡智と努力のもとに必ず達成できると考えています。そのためJSTは、大学、研究機関、企業、社会がそれぞれの役割のもとに一体になって取り組む創造的な研究開発環境を実現します。皆様のご理解とご協力をお願いします。
JST理事長 中村 道治
青色LEDの成果にノーベル賞が決定し、心からお祝いを申し上げます。
この朗報に触れて、企業の研究所にいた頃を思い出しました。基板材料のサファイアと窒化ガリウム(GaN)では結晶格子の大きさがあまりにも違うため、極めて難しいと思われていましたので、赤﨑先生の研究室で良質の結晶ができたのには驚きました。また、豊田合成や日亜化学から製品が発売された時は、同じ半導体を扱う者として軽い嫉妬を覚えつつ、関係者の熱意とアイデアと粘りに拍手喝采でした。
今回の受賞決定のニュースでは、何人ものJST職員がテレビに出演し、新聞や雑誌の取材を受けました。研究成果を社会に結びつけるコーディネーター役として、また科学技術の的確な解説者として国民から信頼されるようになってきたと感じています。
一方で、研究者の皆さんにも、JSTの職員が日頃口にする言葉に耳を傾けていただいています。こういう未来社会を創りたいという思いや夢、ビジョンを胸に秘めながら地道に支援しているからです。また、国民と優れた研究者との架け橋になることで、セレンディピティ、すなわち思わぬ発見に気づく力が養われてきたと思います。
良い研究を見いだして伸ばすために、職員には常に自己研鑽が必要です。学会やシンポジウムの招待講演に登壇するだけの実力がある職員も多くいます。それだけに、もっと市民社会や海外に出て、ネットワークを広げて欲しいと強調しています。ゆくゆくは、日本を代表して世界で科学技術政策を語れる役職員を、数多く育てるのが私の夢です。
これからの世の中を変えるには、ビジョンを持った牽引者として前に出ていかなければならないと考えています。
JST理事長 中村 道治
将来にわたって持続可能な社会を実現し、産業競争力を高めていく上で、科学技術の役割はますます重要になっています。また、若い世代には、ノーベル賞クラスの優れた研究成果が大きな夢や励みを与えてきました。
その一方で残念なことに、一部で研究不正が世間を騒がせ、国民の不信を招く大変憂慮すべき事態となっています。
文部科学省は本年8月に「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」をとりまとめ、総合科学技術・イノべーション会議は9月に「研究不正行為への実効性ある対応に向けて」を提言し、研究不正を防止するための取り組みを研究者コミュニティや研究機関などに求めました。
これまでJSTでは、研究資金配分機関としての責任を重く受けとめ、研究不正を未然に防ぐ取り組みを行ってきました。具体的には、JSTの事業に新規採択された研究代表者や研究機関の事務担当者などを対象に研究倫理講習会を開くとともに、チーム内の研究者全員に対し、e-ラーニングによる研究倫理教材の履修を義務づけています。
新しい取り組みとしては、来年度採択の課題から、申請者が所属機関で研究倫理教育の講習を修了していることを応募条件に加えました。さらに、大学などで使える補助教材として、米国の教育ビデオの日本語字幕版も作成しています。
これらにより研究機関での倫理教育が一層充実し、研究者が自らを律して不正に関わらない意識の醸成につながることを切望しています。
※JSTの研究倫理への取り組みの詳細についてはHP(https://www.jst.go.jp/researchintegrity/)をご覧ください。
JST理事長 中村 道治
教育と研究、科学技術イノベーションを一体的に推進する取り組みとして最近期待されているのが、大学等におけるオープン・イノベーションのための拠点づくりです。JSTでも、昨年より文部科学省と連携して、COI(Center of Innovation)を全国の大学に構築してきました。今後、研究開発法人にも展開するとともに、府省連携の場としても活用したいと考えています。
これらの拠点では、さまざまな異分野の研究を融合し、わが国の新たな富の源泉とされる革新的なシステムやサービスの実現を目指した「統合型研究開発」を進めます。このために、社会実装を目指したシステム化研究、基礎科学の知見を実用可能な技術に統合する実現化技術研究、新たな知識基盤を生み出す基礎研究を一体的に進めることが重要です。
海外の先例として、米国NSFでは、国際競争力強化を目指して1985年から続くERC(Engineering Research Center)プログラムで、全国の大学に研究開発拠点を設置し、統合型研究の手法で包括的に前競争的研究開発(企業が製品開発を競う前の段階で、共通の研究基盤を共同で開発するもの)に取り組んで成果を上げてきました。人材育成にも特に力を入れてきています。
わが国の拠点づくりでは、NSFのモデルを参考にしつつ、産業構造の変革の加速や大学等の成果の産業界への迅速な橋渡しのために、産業界が能動的に参加することを特徴にしています。また、自然科学と人文社会科学との連携をはじめとする分野融合や縦割り文化の解消を通じて、大学等の改革に貢献することを期待しています。
これらの拠点が、統合型研究から生まれた技術や人材を蓄積し、オープン・イノベーション拠点として持続的に成長するように支援していきたいと考えています。
JST理事長 中村 道治
わが国は、科学技術イノベーション立国に向けて、研究開発の枠組みを大きく転換しつつあります。具体的には、総合科学技術・イノベーション会議の総司令塔機能の強化や、研究開発に関わる独立行政法人の国立研究開発法人化、医療分野の研究資金配分機関である日本医療研究開発機構の新設などの施策が進められています。こうした流れを受けて、JSTは科学技術とイノベーションを総合的に俯瞰し実施する機関として、長年培ってきた経験と未来社会に対する洞察を通じて、リスクを恐れずインパクトの大きい社会的、産業的価値の創生に挑戦していきたいと考えています。
実現に向け、JSTでは、中長期の具体的な行動目標を記した「アクションプラン2014」を策定しました。これをもとに、JSTの研究開発システムや研究開発プログラムなどの改革に取り組みます。例えば、統合化システムの研究や大学、研究開発法人と連携したイノベーションハブの構築に挑戦します。また、客観的なエビデンス(証拠)にもとづく政策提言能力の向上や、次世代を担う研究人材と研究マネジメント人材の育成、ダイバーシティの向上、さらには科学コミュニケーションの進化などの基盤形成プログラムの改革についても、具体的な目標を示しました。さらに、全事業横断的に国際化を進め、世界的な価値創造の連鎖に主体的に参加する方針を確認しました。
JSTは役職員一同、一丸となって、このアクションプランの実行に取り組み、新しい価値の創造を通して、日本の産業競争力の強化や社会的課題の解決に貢献してまいります。
※JSTアクションプラン2014の概要は、HP(https://www.jst.go.jp/pdf/actionplan2014.pdf)をご覧ください。
JST理事長 中村 道治
将来こういう社会をつくりたい、人々の生活をこうしたい、という未来像から振り返って、今どういうことをしておくべきかを考えるのがバックキャストの考え方です。この発想法で、昨年度から「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」を実施しています。文部科学省が推進する革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM、シーオーアイ・ストリーム)事業の一環で、挑戦的でハイリスクな研究開発を支援するものです。
少子高齢化先進国として、ずっと健康に暮らせる持続性を確保したい。尊敬される国を目指し、豊かな生活環境を構築したい。活気ある持続可能な社会を構築したい。これら3つのビジョンのもとに、昨年は全国の大学と企業がチームを組む12拠点をつくることができました。その1つ1つの拠点で、SF物語のような将来構想を10年後にかなえようと真剣な取り組みが始まっています。それぞれ、先進的なセンサー技術やナノマシン、横断的な情報処理など最先端の科学技術が実現の鍵となっています。
COI拠点以外にも、その候補として2年間試行する「トライアル」も14件選ばれています。さらにサテライトとして各拠点の中核機関と連携する企業や大学のネットワーク構築も進んでいます。
これまでにいくつかのCOI拠点を訪問して、将来に向けての抱負を伺いましたが、東北大学ではプロジェクトリーダーを筆頭に十数名もの研究員が企業から参加して大学のさまざまな分野の研究者と一体となって研究を進める活気溢れる現場を拝見して、手応えを感じました。
イノベーションは「つなぐ」ことであると考えています。共につくる「共創の場」をいかにわが国でつくっていくか、COIもその思いで文科省とJSTの間で具体化してきました。拠点ネットワーク化や異分野融合、産学官連携はすべて「つなぐ」ための取り組みで、これらをさらに深めていかなくてはならないと考えています。
JST理事長 中村 道治
JSTが最先端の計測分析技術を開発するプログラムを始めてから10年になります。2002年の田中耕一さんのノーベル賞受賞を機に、研究成果が形ある計測分析技術となって、新たな科学を生み出しているか、産業を強くしているか、という議論に端を発しています。
計測分析はマザーオブサイエンス(科学の母)と呼ばれ、あらゆる研究開発に欠かせない技術です。これまでにない計測分析技術は、新しい発見をもたらすとともに、多くの研究成果に結びつきます。
最先端の計測分析技術は、それを必要としている研究現場で磨かれることで、新たな開発につながり、ひいては学術や産業の発展に決定的な差をもたらすのです。まさしく「先んずれば制す」です。
しかしながら、日本はその流れをつかみきれていないという危機意識が広く関係者の間で共有され、JSTの「先端計測分析技術・機器開発プログラム」が誕生しました。文部科学省・JSTでは、日本発の最先端計測分析機器の開発を目指して、この分野における国の競争的資金の約4割を用いて本プログラムを推進した結果、大学や企業の研究者、技術者のご尽力により、これまでに40以上の製品が誕生しました。これらの機器はCRESTなどの最先端の研究チームでも数多く活用されています。売り上げも徐々に増えて総額で約450億円に上り、引き続き産業的にも大きく貢献していくと期待しています。
過去10年の総括のもと、先月新たな課題を募集し始めました。次の10年、これまでの成果を刈り取りながら、今後先端汎用計測機器でも大きな成果を出せるよう支援して参ります。必要とされているのは斬新な発想です。研究者の皆さんには、失敗を恐れず、思い切って挑戦してほしいと考えています。
※新規課題を7月25日まで募集しています。詳細はHP(https://www.jst.go.jp/sentan/koubo/)をご覧ください。
JST理事長 中村 道治
「サイエンスアゴラ2014」を東京・お台場で、11月7日から3日間開催します。
2006年の初回以降、多様な方々の熱心な企画により、全国の科学コミュニケーターの交流の場、あるいは科学コミュニケーションの深化、拡大の場としての地盤を固めてきました。今回からは研究者や研究者コミュニティの積極的な参加をお願いし、よりいっそう「科学技術と社会の対話の場」としての役割を打ち出していきます。
科学技術と社会はどのように関わっていけばよいのでしょうか。東日本大震災や原発事故を経験し、科学の信頼性が厳しく問われるようになりました。第4期科学技術基本計画では、「社会と科学技術イノベーションとの関係深化」として、国民と研究者や研究機関、行政が認識を共有しながら科学技術政策を進めることがうたわれています。今年に入ってからも、研究者の倫理が社会的に大きな話題となり、科学技術と社会の関係は緊密になるとともに、ますます複雑化しています。
科学技術が社会に関わるさまざまな場面で、一般市民と対話する「科学コミュニケーション」の進展が求められています。それに応えるためにサイエンスアゴラを再編成し、研究者コミュニティを含む多様な方々が議論できる場としていきます。
新しいアゴラでは、研究者の皆さんにその成果を国民に届けてもらい、社会との関係について対話し、成果を共に生かしていただきたいと思います。また研究者コミュニティの中でも、人材育成・キャリアパス、国民への信頼醸成、メディアとの関係性などについても、アゴラを機に議論が深まることを期待します。
「サイエンスアゴラ2014」では現在、広く科学に関わる方々による展示や講演、ワークショップを募集しています。皆さまの積極的で創意あふれるご応募をお待ちしています。
※出展企画を6月18日まで募集しております。詳しくはHP(https://www.jst.go.jp/csc/scienceagora/)をご覧ください。;
JST理事長 中村 道治
政府の緊急経済対策の一環で経済成長と企業の競争力強化を目指すため、JSTは昨年、産学共同で実用化開発を推進するプログラム「NexTEP(ネクステップ)」を始めました。国際競争が激化し、経営環境も厳しい中で、企業が大学などと連携し、比較的リスクのある開発に挑戦できるよう支援します。これにより、大学などの研究成果の社会還元を進めるとともに、民間主導のイノベーションにより持続的成長につなげます。
具体的には10年以内の開発について最大50億円規模の開発費で企業を支援します。JSTで50年以上続けてきた委託開発事業の仕組みを引き継ぎ、開発成功時には売り上げに応じた実施料納付と併せて一括又は10年年賦で開発費を償還いただきますが、不成功時には還付の9割が減免されます。また、必要に応じて本格的な開発に先立ち、企業による1年程度の導入試験を通して実現可能性を検証します。
昨年度は企業からの提案を3回公募しました。当初はこのプログラムを順調に進められるのか不安もありましたが、次第に、多くの企業からレベルの高い開発テーマを積極的にご提案いただけるようになりました。3回目には実に52件もの応募があり、企業の意識があきらかに変わってきたことを実感して、嬉しい悲鳴をあげています。
近く今年度の公募を始めるにあたり、このプログラムをどのように発展させていくかを検討しています。5年後、10年後に良い成果を確実に刈り取れるようにしたいと考えています。
※産学共同実用化開発事業(NexTEP)の公募時期は未定ですが、決定次第HP(https://www.jst.go.jp/jitsuyoka/)でご案内します。
JST理事長 中村 道治
いま、官民が協力して「成長戦略」を推進していますが、ものづくり、すなわち製造業をどのように強くするかということはまさに大きなテーマです。
政権交代以降、円安基調になりましたが、輸出品目はそれほど伸びていないという統計もあります。大手や中堅の企業が強い製品をつくるとともに、新しい事業に積極的に挑戦するベンチャー企業の設立や育成、支援が重要です。
昨年の「研究開発力強化法」の改正により、JSTの研究開発成果の実用化を目指す企業への出資が可能になりました。研究成果展開事業などで企業を支援してきた経験を生かして、ベンチャー企業を「出資」という方法でも支えていきます。
ただし、大規模な出資はJSTのミッションにそぐわないと考えています。むしろ基礎研究の成果を基に新しい製品をいち早く開発しようとの意欲に応え、一番リスクが高い創業初期に出資し、起業における“死の谷”を越える手助けとしたい。「JSTが支援するならば」と次第に他の機関、例えば国の投資機関や金融機関、投資会社などの資金が入りやすくなる呼び水となることを期待しています。
また、この春は内閣府主導で2つの大型プログラムが始まりました。府省の本質的連携を追及する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、JSTが支援を担当する課題の目標達成に全力を注いでいきます。
産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす科学技術イノベーションの創出を目指す「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)」では、JSTに運営基金が設置されました。総合科学技術会議に選んでいただいたプログラムマネージャーを支え、課題達成に向けて一段とアクセルを踏み込んでいくつもりです。