JSTnews
JSTnews最新号
JSTnewsは、国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JST)の広報誌です。
2025年9月号
- 特集
- 子どもや若者の心の傷を「可視化」し
虐待・抑うつ・自殺ゼロ社会を目指す
動物の行動から「人間らしさ」の謎に迫る
集団観察からホルモン投与まで多面的に
P.03特集― 最後のフロンティア 「心」を科学する
「心」は目に見えないが、私たちの生活に大きく関与しており、近年「最後のフロンティア」として研究が加速している。今回の特集では、子どもや若者自身での表出が難しい被虐待・自殺リスクを可視化し、情動不安定性の仕組みを解明して新たな治療法の確立を目指す研究と、進化的にヒトに近いチンパンジーやボノボの社会性や認知機能を調べて知性の進化の謎を解き明かす研究を紹介。生物学および動物行動学の観点から「心とは何なのか」を探る。
P.04特集 1― 子どもや若者の心の傷を「可視化」し 虐待・抑うつ・自殺ゼロ社会を目指す

ストレスや虐待による心の傷は、身体的にも遺伝子の発現や脳内物質への影響があることが近年の研究からわかってきた。目に見えない心の傷を可視化できれば、精神的な病気に対する新たな治療の道が開ける可能性がある。神戸大学大学院医学研究科の菱本明豊教授は、子どもの虐待抑制や若者の抑うつ、さらに自殺リスクまでを包含したバイオマーカーの開発や生物学的仕組みの研究を通して、子どもや若者の虐待・抑うつや自殺をなくすべく、臨床医と研究者という両方の視点から研究に取り組んでいる。
P.08特集 2― 動物の行動から「人間らしさ」の謎に迫る 集団観察からホルモン投与まで多面的に

私たちは集団の中で他人と関わりながら生活をしている。他人を思いやって協力することもあれば、時には憎み合うこともある。仲間内で独自のルールを作り、そのルールが地域や国レベルに広がると、1つの文化が形成される。こうした「人間らしい心や知性」は、進化の過程の中でいつ、どのように獲得されていったのか。京都大学の人と社会の未来研究院で研究を進める山本真也教授は、動物の行動から社会性や認知機能を調べ「人間らしさ」の謎に迫ろうとしている。
P.12連載― イノベ見て歩き 第23回
人間には見えない光が検査方法を変える ハイパースペクトルイメージング内視鏡

社会実装につながる研究開発現場を紹介する「イノベ見て歩き」。第23回は、人間には見えない光を使って生体内の隠れたがんを見つけたり、表面からは見えない亀裂を探したりする装置を開発している東京理科大学創域理工学部の竹村裕教授を訪ねた。竹村さんは装置の実用化のめどが立った2024年に起業し、さまざまな企業から依頼を受けている。
P.14NEWS & TOPICS

- 研究成果
- 吸入麻酔薬が効く細胞内の標的分子を特定
- 研究成果
- 共重合でアクリルガラスを熱分解しやすく
- 研究成果
- 昆虫の体内でナノカーボンが蛍光特性獲得
- 研究成果
- 類似データの削除で多様な情報検索を高速に
P.16さきがける科学人― 数学を使ってシステムの安全性を証明する 信頼できるAIを構築する基盤技術を創出

京都大学 大学院情報学研究科 助教/国立情報学研究所 特任研究員
和賀 正樹
ISSN 1349-6085
編集発行/ 国立研究開発法人科学技術振興機構 総務部広報課
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