成果概要
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多様なこころを脳と身体性機能に基づいてつなぐ「自在ホンヤク機」の開発[6]「自在ホンヤク機」にかかわるELSIの検討
2025年度までの進捗状況
1. 概要
研究開発項目6では、「自在ホンヤク機」の開発と社会実装に伴う倫理的・法的・社会的な課題(ELSI)を明らかにします。これにより、「自在ホンヤク機」が広く社会的に利用される環境づくりが期待されます。
「自在ホンヤク機」は、こころの状態を読み取り、それを私たちのコミュニケーション支援に使います。この点について、プライバシー保護や、新しいコミュニケーションの形について、不安を抱く人がいるでしょう。
また、「自在ホンヤク機」の研究と開発には、発達障害がある人々(当事者)が参加します。当事者がおかれた状況への配慮、特に、「自在ホンヤク機」が発達障害当事者への新たな差別を生まないようにすることも必要です。
研究開発項目6は、「自在ホンヤク機」の研究・開発・社会実装のあらゆる場面で生じうるELSIを明らかにするとともに、その解決に取り組んでいます。

2. これまでの主な成果
- 外部有識者との第三回ELSI検討会の実施
- 研究開発担当者との意見交換とELSI課題の調査・分析
- 目標9および「自在ホンヤク機」におけるガイドライン作成に向けたELSIの明確化
成果1では、2025年5月に東京大学本郷キャンパス医学系研究科にて第三回ELSI検討会「ELSIを考慮したAIの研究開発に向けて」を実施しました(ハイブリッド開催)。中尾悠里先生(富士通(株) データ&セキュリティ研究所)を講師にお招きし、社会の中の倫理的価値観を反映するAI研究開発について議論しました。また、研究開発チーム(張山PI・稲見PI・綾屋先生(熊谷PI))から「自在ホンヤク機」の研究開発にかかわるコメントがあり、最後に参加者全員で討論を行いました。本検討会により、自在ホンヤク機を実装する上でのAIのELSIの議論が進みました。

出典:https://jizai2050.org/inside-story/1312
成果2では、前年度に引き続き2025年10月と11月に開催されたプロジェクト全体会議にて、研究開発者と引き続き意見交換を行いました。全体会議での研究発表を受けて、特に機器の研究開発時と使用時に分けて、データ管理や研究への市民・患者参画(PPI)についてELSI上の懸念点・課題点を洗い出し、対策の方向性を検討、研究開発者と共有しました。

成果3では、MS9ELSIワーキンググループにおいて、目標9全体におけるELSIガイドラインの作成に携わりました。さらに、「自在ホンヤク機」のガイドライン作成にあたり、利用と受容、個人情報の取り扱い、法的視点からのリスク評価、生命倫理の4つの視点から、ELSIを明確化しました。

このように、研究開発者と協働してELSIを検討するというアジャイルな進め方により、「自在ホンヤク機」が社会的に受け入れられる環境づくりを推進しています。
3. 今後の展開
継続して、「自在ホンヤク機」に伴うELSIの理論的分析および科学者・工学者との合意形成を進めていきます。また、社会実装を目指す「自在ホンヤク機」およびコミュニケーション支援技術全般について、ELSIの観点からガイドブックを作成し公表することを目指します。
(東北大学:大隅典子・原塑、
東京大学:明谷早映子・中澤栄輔)