成果概要

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多様なこころを脳と身体性機能に基づいてつなぐ「自在ホンヤク機」の開発[2] エクソソームからこころの状態を読み取る技術の開発

2025年度までの進捗状況

1. 概要

研究開発項目2では、体液中の物質を測定することで「こころの状態」を読み取る技術を開発します。読み取られた情報は、「自在ホンヤク機」のシステムに入力され、コミュニケーション支援の最適化に役立てられます。この開発によって、コミュニケーションの形がさらに豊かで多様なものとなることが期待されます。

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内分泌系・自律神経系を介した情報伝達により、こころの状態とからだの状態には連関があります。
そのほかに重要な役目を果たしているとして最近注目されているのが、エクソソームという小胞です。

血液などの体液には、エクソソームという小さな小胞が含まれます。エクソソームは、細胞の老廃物を運ぶことに加え、細胞間の情報伝達も担っているとされ、がんなどの疾患のバイオマーカーとして注目されています。
エクソソームは、脳内の細胞にも取り込まれ、脳の状態の維持・変化と何らかの関係があることが指摘されています。しかし、エクソソームと「こころの状態」の具体的な関係は、ほとんど解明されていません

研究開発項目2は、エクソソーム中の物質と脳機能の連関を、生物化学的検査と人工知能(AI)によるデータ処理を組み合わせて解析します。これにより、エクソソームを介した「こころの状態」の測定、すなわち体液中の物質からこころを読み取る技術の開発に取り組んでいます。

2. これまでの主な成果

  1. 社会的ストレスによってエクソソームのタンパク質の量やその組成が変化することを発見
  2. 子どものASD者と定型発達者のエクソソーム構成の違いを発見
  3. マウスの行動特性を調べる新たな計測・解析システムを樹立、神経発達症モデルの病態の雌雄差を発見

成果1では、社会的ストレスを受けてうつ状態に陥ったマウスのエクソソームを調べてみると、その含有タンパク質の量や組成が大きく変化していることが分かりました。

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成果1の研究概要図 資料提供:星野・ナシリ(東京大学)

成果2では、子どもの自閉スペクトラム症(ASD)者と定型発達者のエクソソームに含まれるタンパク質組成を解析し、その違いを明らかにしました。さらに、AIを用いたASDの高精度な判定が可能であることを見出しました。

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成果2の研究概要図(資料提供:星野(東京大学))

成果3では、集団飼育中のマウスを個体識別しながら位置を記録し、その行動特性を解析するシステムを樹立し、神経発達症モデルにおける社会性の低下や病態の雌雄差を示しました。

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成果3の研究概要図(資料提供:大隅(東北大学))

このように、エクソソームと「こころの状態」との関係を明らかにするための基礎研究を進めています。

3. 今後の展開

どのようなエクソソームの組成の違いが「こころの状態」に寄与しているのか、さらに多角的に明らかにしていきます。また、脳活動や他の生理シグナル(自律神経など)(研究開発項目1)をエクソソーム情報と統合的に解釈し、こころの状態を多次元的に読み取る技術の開発を目指します。