成果概要
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一人に一台一生寄り添うスマートロボット[1] スマートロボットの身体と制御システムの構築
2025年度までの進捗状況
1. 概要
現在のロボットハードウェアは、その精度と耐久性(剛性)を重視するがゆえに極めて硬く重くなり、例えば接客、家事、福祉、看護、医療など、日常生活において人の支援を行うための安全性の問題を本質的にクリアできません。そのため、ロボットハードウェアを構成部材、表皮、関節などを含めて本質的に“柔らかく”し、人の全身を支えられるパワーを有しつつ、衝突しても人間に危害が加わらない受動柔軟性を備えたアーム等を有するロボットの身体を設計・製作します。具体的には、柔軟関節、柔軟皮膚、磁性流体アクチュエータ、高精度触覚センサに加えて、油剤・冷却剤・潤滑剤などの体液を身体に循環させることで自己修復・維持機能を持たせた、人と共存可能なドライ・ウェットハイブリッドスマートロボットを開発します(図1)。

2. これまでの主な成果
研究開発課題1-1: 人間との接触を伴う作業が可能なロボットシステムの構築
本プロジェクトで開発した世界最高水準の人共存型ドライロボット(Dry-AIREC)による人との物理的接触を伴う動作に関する各種実験を行うとともに、人の生体を模した新しいドライ・ウェットハイブリッドスマートロボットの実現に向けて、以下の研究開発を実施しました。
- 従来の深層予測学習の視覚注意機構に加え、関節状態の注意機構を導入することで、被介護者に過度な力をかけない体位変換動作を実現(図2)。RGB画像、セマンティック情報、奥行き情報などによる靴下と足の相対的位置推定法を開発し、大阪・関西万博2025の会場において、靴下装着支援のデモンストレーションを1週間に渡り実施(図3)。


- アクチュエータ内部・上半身構造部品内部に流路を通すことでホースレス化を図った、全18自由度の回転型流体アクチュエータによるロボットシステム(上半身)のハードウェアを開発(図4)。3指+1親指で構成される4指流体駆動ロボットハンド(ホースレス、全14自由度)の両手を開発(図5)し、上半身と統合。


- 指先(末節部)に視触覚センサ、中節部に受動的修復ゲルを備え、人工血小板(80µm程度)が流れる流路を備えた指形状のロボットモデルを製作(図6)。

研究開発課題1-2:スマートロボット用ミドルウェアの構築
RT System Integration Frameworkの改良を進め、利用者を認識して会話し、Dry-AIRECによる腕の接触により脈拍を計測し、利用者の体調を診断する健康モニタリングサービスを実現しました。
研究開発課題1-3:スマートロボットの頭脳を実現するコンパイラ協調低消費電力AIプロセッサの開発
4コア構成のAIアクセラレータプロトタイプチップをTSMC 28nmの半導体技術で設計・製造することで、低消費電力AIアクセラレータプロセッサチップを開発しました。
3. 今後の展開
引き続き、介護分野を中心に、人との接触を伴う各種応用場面を想定したDry-AIRECへのAI実装、回転式流体アクチュエータロボットによる移乗介助動作開発、能動・受動的自己修復機能やウェット型触力覚センサを備えたロボット開発を進めます。さらに、低消費電力AIプロセッサのDry-AIREC への導入・検証など、ロボットハードウェア、ミドルウェア、AIチップ実装を統合的に進める予定です。