成果概要

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一人に一台一生寄り添うスマートロボット[3] スマートロボットの福祉・医療への展開技術の構築

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本研究開発項目では、介護、看護、医療(診断・治療)が行われる施設、病院において、働く人や訪れた人たちを支援するスマートロボット(AIREC, AI-driven Robot for Embrace and Care)の実現を目指し研究開発を行なっています。このような場所では人とAIRECが互いに触れ合うためやさしく安全に動かなくてはならず、さらに、治療などに使われる専用の各種道具を上手に使いこなさなければなりません。このような人との親和性、安全性などを考慮し、医療や福祉の現場で働けるAIRECの実現を目指し研究開発を行なっています。

2. これまでの主な成果

① 健康モニタリングを実現する情報基盤システムの開発

体温や脈拍などの生体情報を取得し、どのメーカーのどのような機種からのデータでも将来的にクラウドで一括管理できるシステムのプロトタイプを構築しました。生体情報取得センサを搭載したAIRECが対象者を自動認識して近づき、対話しながら自然な形で生体情報を取得し、その取得結果に基づく問いかけや注意喚起を行うフレームワークを実装しました(図1)。

図1
図1 センサ搭載AIRECによる健康モニタリングの様子
② 人に寄り添い、支えるロボットハンドスキンの開発

人の手に代わるバイオハイブリッド型ロボットスキンの実現を目指しています。傷ついても自己修復する機能を持つゲルや人の皮膚のようによく伸びるゲル(図2右)を開発しました。また、人の血管のようにロボットに必要な物質を運ぶ流路を埋め込んだゲル(図2左)も開発しています。

図2
図2 開発したハイドロゲル
③ 病院の検査・施設案内をする機能の開発

AIRECが相手に寄り添った案内を行うために、荷物運搬用の電動カートや電動車椅子がAIRECと一緒に動く院内インフラシステムを試作し、入院受付から病室までの約150メートルの試走を行いました(図3)。

図3
図3 AIRECと一緒に動くインフラシステムによる案内
④ 5R(正しい;患者、薬剤、用量、用法、時間)を守って与薬・薬管理が可能な機能の開発

5Rを担保する与薬支援ソフトウェアとそれと連携するロボットシステムの開発を行いました。薬の入ったケースを正しい患者さんのもとへ運び、正しい薬が入っているか確認して渡すロボット動作を実装し、実験室環境で実証しました(図4)。

図4
図4 ロボットによる与薬動作(左)と口腔ケア模擬動作(右)
⑤ 様々な場所で活用できるロボットハンドの開発

AIRECの医療展開に向けて、超音波プローブハンドモジュールと取り付け機構、操作時に加わる力を計測するセンサーを開発し、模型での実験を実施しました(図6)。口腔ケア用モジュールも開発しました(図4)。また、自己修復性のあるゲルとカメラ・力/温度マーカーを組み合わせたゲルセンサを開発し、力や振動、温度を取得する視触覚センサを搭載したAIREC用の指を構築しました(図5左)。また、自己修復ゲルの傷を検知するAIを構築しました(図5右)。

図5
図5 視触覚センサを搭載した指と傷検知AI
⑥ 福祉・医療ロボット設計と品質保証・国際標準化・リスク管理

AIRECによる身体負担のかからない介護動作生成を目指し、仰臥位→側臥位の体位変換をする際の被介護者の動作の軌跡を体型に応じてモデル化しました(図6上右)。日本ロボット学会にて研究専門委員会を立ち上げ、AIRECのような汎用的なサービスロボットが医療に関わる際の安全性や法規制などを整理し提言文書の作成を進めました。
人を支えるロボットであるAIREC特有のリスク管理方法を検討するため、体操等の動作を対象とするとともに、介護老人保健施設へのロボット導入による検証を行いました(図6下)。また、AIRECが支援時に接触する際のリスクを見据え、触れた部位の硬さや加わる力などを計測する手法や、AIRECに搭載されたカメラから支援対象者の運動機能評価を行うシステムを開発しました。

図6
図6 AIRECによる自動超音波プローブ操作(上左)と体位変換動作(上右)、体操支援(下)の様子

3. 今後の展開

今後は、これまでの開発成果のAIRECとの連携及びAI導入を行うことで、AIRECが人と触れ合いながら各機能を正確に自律的に行い、社会で活躍するための研究開発を、社会倫理を考慮した上で進める予定です。