成果概要

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一人に一台一生寄り添うスマートロボット[4] スマートロボットの実用化方策

2025年度までの進捗状況

1. 概要

本研究開発項目は、スマートロボットの実用化方策の提案を目的としています。この研究開発テーマの遂行により、プロジェクトが目指す「一人に一台一生寄り添うスマートロボット」がグローバル社会において実現可能となり、ムーンショット目標3で目指すスマートロボットと共に暮らす未来の人間社会のよき実現に貢献します。この達成に向けては、地域や文化によるスマートロボットのニーズおよび社会受容性の差異が国際的な課題となっており、この点を挑戦的なテーマとして取り組んでいます。従来とはまったく異なる「ヒューマンファーストイノベーション」の発想で、倫理的・法的・社会的な課題(ELSI)の視点から、ケンブリッジ大学やスタンフォード大学などと連携し、理論的研究と国際比較調査を用いて取り組んでいます。
プロジェクトが目指すスマートロボットの世界的な受容には、次の4つステップが必要となります。

①国際比較調査により、地域や文化の違いによるスマートロボットに関するニーズの抽出、社会受容性の理解。②多様性とインクルージョンならびに倫理的・法的課題に配慮したスマートロボット開発原則の作成。③実証実験による設計・制御への反映。④利用者のスマートロボットリテラシーを向上するためのツールキットの開発。

ヒューマン・ファースト・イノベーション

2. これまでの主な成果

ELSIの視点から世界に通用するAIロボットの社会実装の要件を明らかにするため、予備的調査として1万人規模の国際比較を行い、その知見を踏まえ「スマートロボット開発原則案」を策定し、以下の3つの課題に取り組みました。

1)実践的課題:ELSI観点の分析と方策の策定
  • AIロボット実装におけるELSI観点の分析と具体的方策の策定を行いました。この研究により社会実装における倫理的課題への対応指針を示しました。
  • 介護・コンビニ・家事等の導入場面ごとに、倫理リスクアセスメント(Ethical Risk Assessment:ERA)を作成し、物理的・心理的・プライバシー・環境等のリスクを体系的に抽出し、AIRECの設計に資する知見を提示しました。
  • 工学系チーム・研究開発項目1~3と合同で、開発原則案とERAに基づき、各リスクレベルに応じた対応策と介護・家事のチェックリストを作成しました。
  • 2025年大阪・関西万博で展示されたAIRECデモンストレーションのヒアリング調査を実施し、心理的リスクに関する知見を拡充させ、チェックリストを発展させました。
2)法的課題:自律・責任の再検討
  • AIロボットが意思決定に関与することで生じる「自律の揺らぎ」を指摘し、自律を他者や文脈との関係性の中で再構築する必要性を提示しました。
  • 欧州・米国・日本等のAI規制の国際比較を行い、AIロボットの開発・利用に求められる国際的コンセンサスを確認しました。
3)理論的課題:AIロボットと人間の関係性のモデル構築
  • 技術的人工物の道徳的行為者性をめぐる技術哲学的研究、及び自律性と責任に関して研究を進めました。
  • 基礎情報学の階層的自律モデルや哲学的視座を援用し、AIロボットと人間の善き関係をめぐる価値観提示の道筋を示し、AIロボットのデザインをめぐる問題と解決の指針となる関係性モデルを構築しました。

これらの成果は国際学会、ケンブリッジ大学及び国連におけるアウトリーチ、国内学会等で発表しました。

AIロボットの社会実装のための倫理的・法的・社会的課題(ELSI)研究/研究の主要課題と成果

3. 今後の展開

今後は、AIロボットの社会実装において中核となる人間の尊厳、信頼、関係性といった観点からELSIを検討します。具体的には、以下の課題に取り組みます。

  • 介護領域を対象とし、AIロボットと人間の関係のあり方をケーススタディとして検討します。
  • とりわけおむつ交換作業を重要なタスクとして位置づけ、尊厳・自律・プライバシー・安全性・責任・ケア関係といった社会実装上の課題を集中的に分析します。
  • 情報サイト等を活用した継続的な情報発信を通じて、政策提言・国際ガイドライン形成への貢献を目指します。