LCS-FY2018-PP-19
低炭素電源システムの安定化と技術・経済性評価(Vol.3)
—2050年の低炭素電源システムの技術開発課題—
概要
低炭素社会戦略センター(LCS)では、多様な再生可能エネルギーの技術開発評価に基づく定量的技術シナリオを構築し、電源構成にもたらす影響を評価している。独自の再生可能エネルギーの技術シナリオを用い、系統安定性を考慮した多地域電源構成モデルを開発してきた。
既報では、2050年の電源起源CO2排出量85%削減は2013年比で同等となる発電コストで実現可能であることを示し、低炭素電源システムの技術開発がもたらす経済的影響を評価してきた。本稿では、送電網強化を含む低炭素電源システムの系統安定性に寄与する技術とその経済性を評価し、電源起源のCO2排出量80~100%削減を実現可能とする道筋を示した。
再生可能エネルギーが大規模に導入されると系統安定化対策が必要であり、火力発電が持つ同期発電機の割合が低下することにより、特に慣性力の低下による影響が懸念されている。このため、系統安定度の対策として、蓄電池の普及、送電網の強化、慣性力の供給技術について評価し、低炭素電源システムの経済性を示した。また、CO2排出量を90%削減するケースでは、慣性力を持つ同期発電機の割合を半分とすることにより、年間総経費約5兆円の差が生じることを示した。同期発電機の割合を減らしてかつ系統を安定化させるための技術開発が重要である。特にCO2排出量を90%以上削減するには、慣性力の供給制約による発電コストへの影響が大きく、系統安定化のための新しい技術開発が必要となる。このように、技術開発の経済影響を評価し、重要技術開発項目を評価している。さらに、電力需要が増大すると技術制約が大きくなるため、今後検討を進めていく。
提案書全文
関連提案書
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