低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2016-PP-07

カーボンフリー水素の経済性とCO2排出量(Vol.1)

概要

 再生可能エネルギーの利活用形態の選択肢の一つとして、カーボンフリー水素を取り上げ、製造、貯蔵、輸送を経て最終ユーザーまでの、コスト、CO2排出量、エネルギー効率等について明らかにした。

 まず、水素製造は、木質バイオマスのガス化による水素製造プロセスを対象とし、2ケースの用役供給条件(ケースA:従来電力、燃料を購入、ケースB:エネルギー自立)では、コストはほぼ同一の1.8円/MJであったが、CO2排出量は、ケースAの10.3g/MJに対し、ケースBでは、0.9g/MJであった。
 次に、最終ユーザーは、FCV車(70MPa充填)での燃料利用を想定し、輸送距離を100kmとして圧縮ガス、パイプライン、液化等の流通形態について検討し、現状の電力や燃料を用いた場合(ケースA)の物流時のコストとCO2排出量を示した。
 さらに、低炭素排出を目指して製品水素(ケースB)を発電燃料に利用することを想定し、有機ハイドライド輸送と圧縮ガス輸送のケースについて、正味の発電に利用される燃料(正味発電燃料)基準のコスト、CO2排出量、エネルギー効率を比較検討した。この輸送条件では、圧縮ガス輸送の方が、有機ハイドライド輸送に比べ、コスト、CO2排出量、およびエネルギー効率の各項目で優位であることが分かった。

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