AIPネットワークラボ

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平成30年度 AIPチャレンジPRISM加速支援・研究課題一覧

多階層感染症伝播モデルの構築と流行予測への応用

研究者:浅井 雄介 北海道大学 大学院医学研究院 助教

インフルエンザやSARS、HIVといった感染症は、感受性人口への接触により拡大するが、その感染力は感染者内でのウイルス量に大きく依存する。本研究では感染者の異質性を加味し、ウイルス動態とヒト―ヒト感染を統合した多階層モデルを構築し、ウイルススケールの変化がヒトスケールにどのような変化をもたらすか定量的な解析を行う。感染症流行拡大に寄与する因子を特定することで、感染症への早期対応・流行拡大の阻止が可能となる。

父子相互作用における神経基盤の解明

研究者:浅野 路子 東京大学 大学院総合文化研究科 特任研究員

これまでの子どもを対象とした研究では、母子相互作用を調べた研究が多く、父子相互作用を調べた研究は少ない。ASD児を対象とした研究では、子どもの向社会性の獲得には、母親だけではなく父親の応答や働きかけが重要であるとの報告があり、父親の子どもとのかかわりの重要性が示唆されている。本研究では、定型発達児の父親とASD児の父親を対象に、父子間の相互作用の質を評価し、その質と神経基盤との関係を明らかにする。

たんぱく質構造の正当性検証のための高性能アルゴリズムと精密なアロステリー予測手法

研究者:Adnan SLJOKA 関西学院大学 理工学部情報科学科 研究特別任期制助教

タンパク質構造の測定において核磁気共鳴分光法(NMR)は一般的であるが、NMRによって得られたデータは、その品質検証が困難である。そこで我々は以前にRIR(Random Coil Index)法とFIRST-ensemble法を組み合わせてNMRのデータの品質を評価する方法を提案した。この手法をさらに推し進め、Protein Data Bank(PDB)に登録されているNMRのデータから、高品質のデータセットを自動的に作成する仕組みを作りたい。この仕組みはタンパク質の構造計算の精度向上に貢献する。

状況依存なヒューマンロボットインタラクションにおけるフレーズの組み合わせ文法構造の教師なしグラウンディングのための確率的枠組み

研究者:Amir Aly 立命館大学 総合科学技術研究機構 専門研究員

本研究課題では、言語の潜在的な文法構造を推論するための統合フレームワークを構築し、言語の文法的かつ意味的表現の接続を可能にする、視覚を通した品詞と組み合せ範疇文法(CCG) の接地を行う。これは、単語とフレーズの意味的表現(文を構成するフレーズの理解)に加えて、単語間の構文的関係をロボットが理解するために役立ち、その結果、インタラクションにおける人間の指示の意味理解に繋がる。

寄り添うAIを用いた発達障害児のためのプレシジョン・ケア

研究者:大野 美喜子 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 研究員

本研究では、発達障害のレベルごとに行動パターンや事故の傾向を整理し、安全な生活環境づくりのための個別適合型教育支援ツールを開発する。具体的には発達障害支援施設と連携して個人識別型RGBDカメラ等を用いて行動データを収集し、発達障害レベルのデータを紐づけることで、各子どもの発達障害特性に基づく予防策を提示し、療育に関わる人のプレシジョン・ケア(精密ケア)を支援するための教育ツールを開発する。

地震津波災害時の企業間取引への波及推定

研究者:小川 芳樹 東京大学 生産技術研究所 特任研究員

南海トラフ地震時にサプライチェーン(SC)を通して企業間取引への経済的被害がどのように波及して復興していくかを多様なビッグデータを応用してシミュレーションする手法を開発する。そのために南海トラフ地震津波による各企業の被害を推定した上で災害直後の被害波及から復興段階までをSC全体にシミュレートする。最後に地震津波に対する産業立地構造の在り方と政策意思決定がSC全体にもたらすか影響を明らかにする。

子供のASD患者の発話分析による自動診断

研究者:﨑下 雅仁 静岡大学 大学院総合科学技術研究科 大学院生(修士課程)

自閉スペクトラム症 (ASD)は有病率が1〜2%の一般的な障害である。その診断は患者本人の検診時の状況や診察者、環境で変わることがある。本研究ではこれまで構築してきた発話コーパスを拡張し、子供の重症度予測や定型発達とASDの自動分類、音声認識による書き起こし作業の効率化を行う。本研究を通して潜在的にASDを特徴づけている発話特徴を見つけ、臨床での検診プロセスや言語リハビリのサポートの足がかりにする。

マーカレス3次元関節位置情報に基づく心拍推定に関する研究

研究者:宍戸 英彦 筑波大学 計算科学研究センター 助教

本研究では、スポーツトレーニング支援のためのマーカレス3次元関節位置情報に基づく心拍推定アルゴリズムを考案する。これまでの成果を用いて計測した3次元関節位置と心拍の関連性を機械学習することにより、スポーツ映像からの心拍推定を実現し、研究成果の実利用化の加速を目的とする。本手法によれば、心拍計測器を装着せずに心拍を推定可能とし,試合などの心拍計測器の装着が困難な状況への適用が期待される。

精密医療実現のための先端データサイエンス手法の開発

研究者:菅澤 翔之助 東京大学 空間情報科学研究センター 講師

個人の特性に合わせた最適な医療を行う精密医療に対する期待は年々高まっており、その実現に向けて、医療ビッグデータの解析は中心的な役割を担っている。本研究では、膨大な遺伝情報から価値のある知見を発見することが可能な先端データサイエンスの方法論を展開する。特に、機械学習法を駆使し、個人ごとに異なる治療効果(個別治療効果)に強く関連する遺伝情報(予測マーカー)を正確に発見する手法を開発する。

社会相互作用の自動計測・発達支援システム

研究者:関根 悟 慶應義塾大学 大学院社会学研究科 大学院生(博士課程)

本研究では、早期発達支援プログラム「運動・社会性支援プログラム」の実装化を行う。そのために、センシング・デバイスを開発し、リアルタイム・データを基に支援を進めるプロトコルを開発する。特に、2者間の社会的相互作用(アイコンタクト・接近・追従・同期)の自動計測およびフィードバックを実施する。「運動・社会性支援プログラム」という発達支援プラットフォームを設定し、心理学主導で工学分野との連携を図る。

ヒトの社会経済状況に関係し、精神状態や行動を導く脳内動的ネットワーク変化の解析

研究者:田中 敏子 情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター 研究員

近年、安静時脳内のネットワーク構造と性格の個人差や精神疾患との関係が示されるようになってきた。一方で、あるイベントが生じた際に起こると想定されるネットワークの変化についてはあまりよくわかっていない。本研究では、個人の判断やパーソナリティに結びつくと考えられる、イベント起因性のネットワークの変化を個人ごとに解析し、その構造変化と性格の関係を調べる手法を構築することを目的とする。

場所概念を用いた確率推論に基づく音声命令からのパスプランニング

研究者:谷口 彰 立命館大学 総合科学技術研究機構 プロジェクト研究員

本研究では、確率的生成モデル上での強化学習の確率推論問題への数理的な統合を通して、移動ロボットにおける場所概念を用いたナビゲーションを可能とすることを目指す。教師なし学習によりロボットが自らの経験に基づいて形成された概念知識を活用する方法について検討する。具体的には、「だいどころに行って」などの人の音声命令より推定された場所概念の目標状態へのパスプランニングを行う。また、ヒューマンロボットインタラクションによるナビゲーションタスクを行い、有効性を検証する。

VR没入体験を用いたワークショップの対面行動の評価

研究者:西田 智裕 名古屋工業大学 大学院工学研究科 特任助教

ワークショップにおいて1人でアイデアを考える際、ヘッドマウントディスプレイによる歩行のVR没入体験が有効とわかった。しかし、議論が難しくなる課題があった。顔と顔を向かい合わせる対面行動が阻害されるためと考えられる。そこで本研究では、VR没入体験を用いたワークショップにおける対面行動と心理的・生理的な影響について明らかにすることを目的とする。VR没入体験を用いたワークショップ設計への活用を目指す。

身体接触行動がもつ社会的機能の異文化多様性の理解

研究者:蜂須 拓 筑波大学 システム情報系 研究員

本研究では、人同士の触れ合い、身体接触が対人交流に及ぼす効果の異文化多様性の理解を目的とする。このために日常的に装着可能で使用が容易である身体接触計量装置の開発を行う。開発した装置を日米両国の心理学、デザイン学の研究協力者に使用・評価してもらい、装置を改良する手順を繰り返す。並行して、身体接触が対人交流に及ぼす効果を検証するための実験を設計し、日米両国での実験基盤を構築する。

区間値による欠損値補完

研究者:花田 博幸 名古屋工業大学 情報工学専攻 特任助教

機械学習の多くの手法は、データに欠損値が存在しないことを想定しているものの、現実のデータには欠損値が存在するものも多い。従来の、欠損値を単一の値で置き換える(それを繰り返すことも含む)アプローチの欠点を克服する手法として本研究では、欠損値を区間により補完し、結果得られる推定値も区間で出力することを考える。例えばある人の身長が不明な場合、それをありえそうな区間(「130~180cm」など)で置き換え、推定値も範囲で得ることを考える。

コンテキスト依存意思決定を支援するインタラクションフレームワーク

研究者:樋口 啓太 東京大学 生産技術研究所 特任助教

本研究では、インタラクティブシステムを利用する際にユーザが直面する、コンテキストに依存した意思決定を支援するフレームワークを提案する。提案手法では与えられたコンテキストに基づきユーザの選択を予測し、選択時に予測結果を提示することによりユーザの意思決定を助け負担を低減させる。有効性検証のために、画像フィルターの選択支援、移動に困難を持つ人へのナビゲーションという二つの実践的なアプリケーションを開発し評価をする。

非平衡物理学を用いた変分上限による近似手法の開発

研究者:二見 太 東京大学 大学院新領域創造科学研究科 複雑理工学専攻 大学院生(博士課程)

機械学習の実用にあたり、アルゴリズムが自身の出力をどれぐらい確からしいと判断しているのか見積もることは非常に重要である。そのためにベイズ推論ではテストデータに対するのモデルの尤度の値を確認するということが行われているが、既存手法では尤度関数を過大評価してしまうため、過度にアルゴリズムを信頼してしまったり、莫大な計算コストがかかるため現実的な方法が存在しない。本研究提案では計算量を抑えつつ尤度関数を過大評価しない手法の開発を非平衡物理の手法を用い開発する。

装着型装置を用いた顔入力インタフェースの発展

研究者:正井 克俊 慶應義塾大学 大学院理工学研究科 特任助教

本研究では装着型装置を用いた顔に対する入力手法を提案する。ウェアラブルコンピューティングの技術は装置の小型化により入力可能な空間が制限される。既存研究では眼鏡型装置を用いて顔表面の複数の箇所を手でこする動作をすることで、顔を入力空間として利用することができた。しかし、この手法ではスイッチのような限られた状態操作のみが可能であった。そこで本研究ではより多様で連続的な入力を可能とする手法を提案する。

機械学習を用いた卵巣がんの網羅的クロマチン構造解析

研究者:町野 英徳 国立がん研究センター 研究所 研修生

高異型度卵巣漿液性がんの段階的発がんモデル細胞のATAC-seqデータに機械学習を適用して各発がん過程における転写因子の結合部位プロファイル変化を予測する。抽出された転写因子に対してChIP-seqを実施して、機械学習の予測精度の検証と分子生物学的な機能解析を行い、高異型度卵巣漿液性がんの新規治療標的を探索する。さらに本研究で得られる卵管分泌上皮細胞のクロマチン構造データを利用して卵巣がん由来細胞の予測アルゴリズムを構築する。

深層学習を用いた感動の脳活動をもたらす音楽の予測

研究者:森 数馬 情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター 研究員

本研究では、深層学習を用いて感動する音楽を選出する手法を確立し、未知の音楽により感動したときの脳活動をfMRIで計測する。本研究が完成すれば、感動の神経基盤というユニークな学術的知見が得られるとともに、脳科学に基づいて感動する楽曲を選出する新たな音楽サービスの開発や作曲法の開発に貢献すると期待される。

大規模合意形成のためのArgument Miningの構造化技術とその応用

研究者:森尾 学 東京農工大学 大学院工学府 大学院生(修士課程)

本提案では、Argument Miningのための新しいスキームによるアノテーションと、新しい深層学習モデルによる精度の向上をめざす。また作成したコーパスを応用し、専門性の自動判定手法を開発する。

実世界言語現象に基づく含意関係コーパスの研究

研究者:谷中 瞳 理化学研究所 革新知能統合研究センター 特別研究員

一方の文が他方の文の意味を含むか否かを判定する含意関係認識システムは、自然言語処理の基盤を築く重要な技術である。実世界テキストにおける多様な文の意味を計算し、文間の含意関係を判定する手法は未だ発展途上であり、その問題の1つとして、実世界テキストに基づく含意関係コーパスが十分に存在しないことが挙げられる。そこで本研究では、実世界テキストにおける言語現象を対象とした含意関係コーパスの構築を目指す。

物体認識における確率的な正則化の検証

研究者:山田 良博 大阪府立大学 大学院工学研究科 大学院生(博士課程)

画像を『山』『椅子』『飛行機』といったカテゴリに分類する問題を一般物体認識と呼ぶ。自動運転等の社会的インパクトが大きい応用技術に貢献する基礎技術として、一般物体認識が果たす役割は大きく、期待が寄せられている。提案者は一般物体認識において、学習過程を確率的に狂わせる方法で世界一の認識精度を達成したが、この方法は従来の常識を覆すもので、解明が不十分である。そこで精度を改善するメカニズムを実験的に解析し,理論的な解釈を促進することを目指す。

縮退グラフからの列挙技法開発のさらなる深化

研究者:和佐 州洋 国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 特任助教

近年の計算機性能の向上により、グラフと呼ばれる緩やかな構造を持ったデータが、分野を問わず大量に収集できるようになった。一方で、その膨大な量のデータから有用な知識を得るための技術開発が喫緊の課題となっている。本研究では、そのような技術の基盤にある部分構造列挙に着目し,新たなアルゴリズムの開発を目標とする。特に、縮退数と呼ばれるグラフのパラメータに着目した列挙アルゴリズムの構築に焦点を当てる。

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