細野秀雄教授(東京工業大学)の研究グループは2008年2月、最大26K※の転移温度を持つ新系統の高温超伝導物質(鉄を含むオキシニクタイド化合物:鉄ニクタイド系化合物)を発見しました。鉄を含む化合物でこれほど高い転移温度を示したものはなく、新しいタイプの高温超伝導物質であると考えられています。
この発見を契機に、新物質探索や超伝導発現機構解明等の研究が世界中で繰り広げられ、現在、50Kを超える転移温度にまで到達しています。
JSTでは、我が国発の優れた技術シーズである本研究の重要性を踏まえ、研究領域「新規材料による高温超伝導基盤技術」(Transformative Research-project on Iron Pnictides:略称 TRIP、研究総括:福山秀敏 東京理科大学教授)を2008年10月より本格的に開始し、本研究をさらに発展・加速させるための取組みを進めています。
※ 電気抵抗がゼロになる温度を指す。これまで32Kと表記していたのは、超伝導転移が起こり始める温度を指していた。
![]() | 成果について | |||
![]() | 新規材料による高温超伝導基盤技術(本研究領域詳細サイト) | |||
![]() | 中国科学技術月報 2009年2月号 | |||
特集:世界の最先端を行く日中の超伝導研究「鉄系高温超伝導材料研究の最新動向」「鉄砒素系新超伝導体の合成手法に関する研究」「FeAs系超伝導体の研究状況」「中国における高温超伝導技術応用の将来」etc 記事を読む・・・ | ||||
![]() | JSTNews(JST 広報誌 2008年12月号) | |||
絶縁体を電界効果で超伝導にすることに世界で初めて成功 新超伝導体の探索。 続きを読む・・・ | ||||
![]() | JSTNews(JST 広報誌 2008年5月号) | |||
金属系、酸化物系に続く、第3の高温超伝導物質の発見 “材料科学”が面白い! 続きを読む・・・ | ||||
本成果を推進する制度の紹介 | ||||
![]() | 戦略的創造研究推進事業(事業のサイト) | |||
![]() | ERATO(総括実施型研究 ERATOのサイト) | |||
![]() | SORST(発展研究 SORSTのサイト) |
TRIP 「新規材料による高温超伝導基盤技術」第3回領域会議 (公開シンポジウム) 開催報告 -2009年12月12日(土)~13日(日) 東京大学 小柴ホール- 戦略的創造研究推進事業・研究領域 「新規材料による高温超伝導基盤技術」(TRIP)では、約半年に一度の頻度で、研究総括(スーパーバイザー)・アドバイザー・研究者が一堂に会する「領域会議」を開催し、その中では、各研究課題の進捗状況の把握および研究者間の現状認識や情報共有などを図っています。今回は、前回(今年7月)に続いて、公開シンポジウム形式で開催いたしました。12月12日・13日の2日間にわたっての開催で、約170名の方にご参加いただきました。詳細はこちら・・・ |
![]() |
鉄系高温超伝導-細野教授による「新大陸」の発見で世界にフィーバー広がる | ![]() |
2008年、固体物理をはじめとするマテリアルズ・サイエンスにとっての大きな「事件」が、我が国から発生した。それは、東京工業大学・細野秀雄教授らがこの年2月18日に発表した、26ケルビンの臨界温度(Tc)で超伝導を示す、鉄オキシニクタイド化合物LaFeAsO1-xFxの発見であり、その後世界的な研究フィーバーへ一気に拡大した。筆者らは、日頃から細野グループの研究推進支援する研究資金のファンディング機関の立場から、「事件」直後よりフィーバーを見守り、我が国でこの研究を加速するための方策を進めてきた。以下これまでの経緯などを紹介し、研究者とは違った視点でこの研究の「未来」を述べたい。続きを読む・・・ |