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- 山本量子ゆらぎプロジェクト
総括責任者 山本 喜久
(スタンフォード大学 教授/NTT基礎研究所 主席研究員)
研究期間:1993年10月~1998年9月
本プロジェクトでは、量子論のより深い理解と量子状態の人工的な制御を目指した研究を行なってまいりました。量子光学、メゾスコピック物理、操作マイクロスコピーの実験技術を発展させることで、光子・電子・原子の波動関数を量子レベルで制御する新概念の創出と実験による実証を目指しました。
光の量子状態制御としてスクィーズド光を発生するTJS形半導体レーザの開発および、光子を1つずつ発生する単一光子ターンスティル素子と単一光子を90%以上の量子効率で検出できる固体ホトマル素子の開発に成功しました。
半導体中の2次元電子ガスを用いて2電子の衝突を実現し、衝突による出力電流雑音の抑圧を観測しました。これにより、電子がフェルミ粒子であることに起因する2電子の量子干渉効果を実験により実証しました。
量子井戸微小共振器内のエキシトン・ポラリトンの振動現象を解明すると共に、エキシトン・ポラリトンの誘導放出現象を実証しました。また、単一原子接合をSTM探針で実現し、クーロンブロケード振動を観測しました。
単一の調和振動子を用いて外力を測定する場合、被測定量や測定法の選択にかかわらず普遍的な量子限界が存在することを明らかにし、重力波検出等で量子限界を越えるために提案された様々な測定法を否定した。
フェルミ縮退した2次元電子ガスを用いて2電子の衝突を実現し、衝突による出力電流雑音の抑圧を観測した。これにより、電子がフェルミ粒子であることに起因する2電子の量子干渉効果を始めて実験により実証できた。
振幅ゆらぎをショット雑音以下へ抑圧したスクィーズド光を安定に発生するTJS形半導体レーザの開発に成功した。これをFM分光と光干渉計へ応用し、検出感度が標準量子限界以上になることを確認した。
決められた時刻に光子を1つずつ発生する単一光子ターンスティル素子と単一光子を90%以上の高い量子効率で検出できる固体ホトマル素子の開発に成功した。これにより、単一光子を用いた量子力学の基礎実験や量子情報伝送の特性を改善することが期待できる。
量子井戸と微小共振器へ閉じ込められたエキシトンと光子が強結合して作るエキシトン・ポラリトンの誘導放出現象を実証した。これにより、将来半導体中でコヒーレントな物質波(ドブロイ波)を発生する道が開かれた。
単一原子で終端されたSTM探針と金属基板の間を流れるトンネル電流にクーロンブロケード振動が現れることを発見した。これは、今までの常識に反してSTM探針にバルクから絶縁された局在した電子状態が存在するための現象で、これを理論的に証明した。
▲上図は、半導体レーザ内部での量子ゆらぎを抑圧するメカニズムを示したもので、半導体レーザから光子数のゆらぎが抑圧された振幅スクイーズド状態の光を発生できます。
▲上図の(a)は通常のレーザ光の”量子ゆらぎ”を示す。(b)は振幅のゆらぎが抑圧された状態。(c)は位相のゆらぎが抑圧された状態をそれぞれ示す。