緒方ファインポリマープロジェクト

総括責任者 緒方 直哉

総括責任者 緒方 直哉
(上智大学 理工学部 教授)
研究期間:1981年10月~1986年9月

 

 

高分子物質のうち、ポリアミド、ポリエステルなどの縮合系ポリマーを主な対象として、ポリマーに力学的機能、分離機能及び電気的機能など特異な機能を付与することにより、高度な付加価値を持った高分子材料の創出をねらいとしました。このため、分子設計をもとに単分子膜状ポリマーの合成及び分子量分布の制御について検討するとともに電気、熱、圧力、他物質などの刺激に鋭敏に反応するポリマーの合成の可能性を探りました。また、混合物を鋭敏に見分けて必要成分のみを選択的に分離する能力を持ったポリマーの合成法を見い出し、その後この成果をもとに光学異性体分離剤の開発に成功しました。さらに、完全グラファイト構造のパイロポリマーの合成に成功し、中性子線回折用モノクロメータなどへの応用展開を図りました。

成果

常温・常圧におけるポリマーの合成

縮合系ポリマーの分子設計の手法確立を目指す研究の一環として、カルボン酸系とブリコール系の原料からリン触媒を介してポリエステルを合成する反応を見出し、数種のポリエステルを合成した。

高機能性高分子超薄膜

芳香族縮合系のモノマーを水面に分散させ、水中に添加したコモノマーとの重縮合反応を行うことにより、単分子膜状芳香族縮合体を合成した。

高選択分離材料の創製

ポリマー担体に、アミノ酸の特殊な分子構造を有する機能団を規則的に固定して、物質分離機能を持つビーズ状の新規な材料を作成した。

人工ウレアーゼ

ポリマー担体に、アミノ酸の特殊な分子構造を有する機能団を規則的に固定して、物質分離機能を持つビーズ状の新規な材料を作成した。

グラファイトフィルムの合成(二次元グラファイト)

POD(パラフェニレンオキサシアゾール)を不活性ガス中で、高温で加熱処理することにより、単結晶グラファイトと同質の物理的性質を有する大面積グラファイトフィルムを合成した。

ポリナフタレンウイスカー(一次元グラファイト)

ペリレンエトラカルボン酸無水物を気相重合することにより、注入処理(ドーピング)を行うことなく、微細なウイスカー状(1μ幅)の導電性ポリマーを合成した。

高分子の単分子粒子の作成

高分子の希薄な溶液を水面上に展開することにより、有機高分子の超微粒子を作成した。

結晶性高分子の合成

剛直な分子鎖を持ち、高い結晶性を持つポリメタシクロファンを合成した。

 

graph1

▲光学異性体の分割剤の電顕写真
光学異性体を効率的に分離する材料の合成に成功した。ポリアミノ酸をポリスチレンビーズに固定したもので、多くの生理活性物質の生産プロセスに利用可能である。

graph2

▲グラファイトフィルム電顕写真
耐熱性の高分子を熱処理することにより、大面積の単結晶グラファイトフィルムの合成に成功した。鉄やアルミを上回る電導度を有し、軽量電極、X線モノクロメータへの応用が進められている。

研究成果

評価・追跡調査

プログラム

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