- JST トップ
- /
- 戦略的創造研究推進事業
- /
- ERATO
- /
- 研究領域の紹介/
- 終了領域/
- 国武化学組織プロジェクト
総括責任者 国武 豊喜
(九州大学 工学部 教授)
研究期間:1987年10月~1992年9月
このプロジェクトでは、精密な分子組織を人工的に創り出すために自己組織能をもつ化合物を設計し、分子レベルの精密さをもつ新しい材料を探索することを目指しました。
研究では、水面単分子膜において水素結合が有効な分子認識の手段となることを発見するとともに、走査トンネル顕微鏡や表面力測定装置を用いてエピタキシャル重合や分子間相互作用の新しい現象を見出しました。
さらに、分子鋳型法を新たに開発し、ポリマーシリケートや金属酸化物超簿膜の多層フィルムを初めて創り出しました。これらの2次元ポリマーや分子組織性セラミックスは新機能材料として期待されます。
相補的な水素結合機能をもつ水面単分子膜を用いて、核酸塩基、糖、アミノ酸、ATP などのさまざまな生理活性物質を高効率選択的に結合、認識することに成功した。
LB膜で修飾した雲母表面間に働く疎水的相互作用の直接測定やグラファイト表面上の有機分子組織体の直接観察から固体表面における分子配列構造や相互作用を明らかにした。
合金 2 分子膜を用いた分子鋳型法により, 高い分子配向性を示す精密シリカフィルム、金属酸化物超微粒子フィルムおよびモンモリナイトフィルムなどの作成に成功した。
3 個のベンゼン環よりなるオリゴフェニレンビニレン化合物で特にスルフォンアミド基を持つ化合物は Z 型の非対称 LB 膜を与え非線形光学効果を生じることを見出した。
分子的厚みの単離膜を 2 次元橋架けし機械的強度に優れた超薄膜を得た。種々の 2 次元橋架けした多層高分子膜も合成、イオン交換能の担持や電解質薄膜化などにも成功した。
フルオロカーボン鎖と炭水化物鎖を組み合わせた両親媒性化合物を新規に合成し、従来困難であるとされていた有機溶媒からの多層 2 分子膜の作成に成功した。
▲ナノメータレベルの超薄膜からなる多層膜状のシリカアルミナフィルム。
▲糖やアミノ酸などの生理活性物質を水溶液から取り出すことができる単分子膜。