
総括責任者 宝谷 紘一
(帝京大学 理工学部 教授)
研究期間:1986年10月~1991年9月
環境に適応して機能を自ら制御する超分子の柔構造に着目し、自己集合、エネルギー変換、特定物質の輸送等、生体機能に深く係わっている機構の作動原理を探求しました。
研究により、細菌べん毛の全構造とその生成のメカニズムの解明、およびべん毛の生長を制御するべん毛キャップの発見と、これらのたん白質からのキャップ機能再構成に成功しました。
さらに、細菌べん毛モーターの構造を解析し、モーターの回転速度をサブミリ秒の時間分解能で計測、制御することに成功し、将来の超小型マシン構築への知見を得ました。また、チューブリンというタンパク質を膜小胞の中で自己集合させ、その集合力を用いて膜小胞を様々に変形させることに成功し、人工細胞実現への手掛かりを得ました。
成果
人工細胞のモデル
チューブリンというタンパク質を膜小胞の中で自己集合させ、その集合力を用いて膜小胞を様々に変形させることに成功した。
べん毛構造の解析
X線繊維回析解析法により、細菌べん毛の全構造とその生成のメカニズムを解明した。
べん毛モーターの動作特性の計測と制御
細菌べん毛モーターの構造を解析し、モーターの回転速度をザブミリ秒の時間分解能で計測、制御することに成功した。
ベン毛モーターの分子構築の解析
べん毛モーターを構成するタンパク質を解析し、回転力の発生、物理力の伝達、軸受ユニバーサルジョイント等の機能の構築様式を明らかにした。
べん毛形成様式の解析
べん毛を構成するタンパク質であるフラジェリンの動的結合様式を発見し、超分子がフレキシブルに他の分子を識別、結合していることを明らかにした。
微小管の形成・解体の制御
細胞内の骨格、染色体移動、膜小胞輸送として働く微小管の形成、解体の過程を明らかにした。


▲コンピューターグラフィックスで描いたべん毛の立体構造図